『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』がとにかく熱い!ソイヤァッ!

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日本が世界に誇るモンスター、「ゴジラ」。1954年に誕生して以来多くのファンを魅了し、ついには海を越えてハリウッドまでゴジラを描くようになった。2014年には再びハリウッドで映画化され、ギャレス・エドワーズ監督が新たに描いたゴジラの世界線はモンスターズ・ユニバースを構築し、さらなる可能性を観客に提示してみせた。

ギャレス版『ゴジラ』の公開後にはジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督が『キングコング 髑髏島の巨神』を放ち、その結末において新たな怪獣の登場を示唆。その怪獣の姿は日本人にとって馴染みのある姿をしており、「今後“あの怪獣たち”が姿を現すのか」と劇場内が色めき立った瞬間を覚えている。そしてその予告通り、ゴジラ・モスラ・ラドン・ギドラが一堂に会することになった。その名は、そう。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』!

見紛うことなき“平成ゴジラシリーズ”だ!

ギャレス版『ゴジラ』ではゴジラの起源について言及し、同時にムートーという怪獣とのバトルを描いた。前作は焦らしに焦らしてゴジラが登場したものの、卓越したストーリーラインが映画を牽引し、ハワイでのゴジラ初登場シーンに花を持たせることになった。カメラが見上げるとそこには確かに怪獣王・ゴジラの姿があり、ためにためての咆哮には「待ってました!」と快哉を叫びたかったほどだ。巨大な怪獣たちが街を蹂躙する様子はVFXマンらしいギャレスのこだわりぬいた構図が見事で、終盤におけるゴジラVSムートー戦を大いに盛り上げた。

ギャレス版(=レジェンダリー版)ゴジラの続編製作が決定し、望むらくはギャレスに再び登板してほしかったところだが、2016年の段階で降板。その後『クランプス 魔物の儀式』のマイケル・ドハティが監督として抜擢されたわけだが、本音をいえばギャレスが描いた世界観を踏襲してなおかつ大作へ仕上げることができるのだろうか、という心配がよぎった。ところが時が経つにつれドハティ監督が生粋どころか“ガチ”すぎるゴジラファンであることが明らかとなっていき、予告編が公開されるや四大怪獣が猛り狂う姿は紛れもなくゴジラ映画であることを証明してみせたのだ。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の公開を迎えていざ鑑賞してみると、とにかく本編は驚きの連続だったと言える。ギャレス版が抑揚を利かせたエンターテインメントだったのに対し、ドハティ版は振りきれんばかりにエンターテインメント性を重視しているではないか。もちろん登場怪獣が多いこともあって相応に見せ場が増えるのは必然だとしても、その見せ場の熱量がとにかく半端ない。さもドハティ監督が「君たちが観たいのはこんな怪獣バトルだろ?」と笑みを浮かべる姿が容易に想像できてしまうほど、観客が“怪獣映画に求めるもの”をきっちり描いているのだ。

なるほどこれは、とすぐに気づく。ギャレスがゴジラという物語そのものを描いていたのに対し、ドハティ監督は日本における“VSシリーズ”を堂々とハリウッドで(潤沢な資金を使って)映画化したのだと。最先端のVFXを駆使し現代的な要素を多く含みながらも、どこか感じる懐かしさ。その正体こそ昭和・平成・ミレニアムシリーズを通して描かれてきたVSゴジラの精神であり、ゴジラファンのドハティ監督がゴジラの母国・日本に向けたラブレターでもあったのではないか。

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ハリウッドの中心で日本特撮愛を叫んだドハティ監督

ドハティ監督のゴジラ愛、ひいては日本特撮映画愛は相当なもので、もちろん怪獣バトルを含め本編内でも至るところで確認ができる。モスラはオリジナルにあるインファント島の小美人の設定をしっかりと踏襲していて、ギドラの出自についても同様だ。また驚いたことに本作は金子修介監督による“平成ガメラシリーズ”とモチーフが重なる部分が多く、たとえば怪獣の上陸がすなわち大規模な災害であることをラドン戦やラストバトルではっきりと描いている。そのラドン戦における空中バトルは、『ガメラⅢ 邪神<イリス>覚醒』におけるイリスVS自衛隊戦とも重なる。

それから劇中で某キャラクターが手のひらで顔を隠し、すっと持ち上げた瞬間に笑顔を見せる場面がある。これはもしかすると、いやもしかしなくても『大魔神』へのオマージュではないのか。もしも平成ガメラシリーズや大魔神にオマージュを捧げていたのだとしたら、ドハティ監督の愛情表現はもはや映画好きの少年が持てる欲望すべてをぶつけた“夢小説”のようなものだ。そんなオタク気質なドハティ監督こそ実に愛すべきクリエイターなのかもしれない。

言うなればドハティ監督の愛情表現に巻き込まれる形となったキャスト陣だが、新加入のカイル・チャンドラーとベラ・ファーミガ、そして『ストレンジャー・シングス』の名子役ミリー・ボビー・ブラウンの親子がなんとも濃いキャラクター設定になっている。劇中ではそんな親子関係を皮肉ったセリフまで飛び出しているのだから、なかなかのツワモノ親子だと言えるだろう。そして頑なに「ゴジラ」という正式な発音を守り続ける芹沢博士こと渡辺謙が前作に続いて出演しており、彼とゴジラがどのような関係を築くのかという点でも本作は大きなポイントとなっている。

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ゴジラ愛を叫んだのはドハティ監督だけではない!

これまでにハリウッド版『ゴジラ』はローランド・エメリッヒ監督によるものとギャレス監督の本シリーズが製作されているが、どちらにも成しえなかったことをやり遂げたのが『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』だと言える。そう、伊福部昭が生み出した“ゴジラのテーマ曲”の使用だ。昨年公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』にてゴジラのテーマ曲が使用されたことも衝撃だったが、いよいよ本家本元であるゴジラ映画でそのメロデイが高らかに鳴り響いたのだ。

どの場面で使用されているか明かすと興味を削ぐことになってしまうので伏せるが、これはひとえにドハティ監督による演出と、音楽担当ベア・マクレアリーの見事な仕事ぶりが実を結んだと言える。その高揚感はハリウッド大作という土壌を得て否応なしに高まり、同時に伊福部昭という偉大な作曲家が遺した楽曲の伝承という意味でも、本作でテーマ曲が使われたことは意味があったのではないか。さらにマクレアリーはゴジラのテーマに「ソイヤッ!」「ゴッジッラ!」と掛け声(コーラス)を入れてしまったのだから、なんとも挑戦的なスタイルだ。しかもそれがピタリとスコアにマッチして効果を上げているのだから見事としか言いようがない。

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ゴジラのテーマ曲だけではない。モスラのテーマ曲をも取り込み、さらりとフレーズを忍ばせたかと思いきやこれでもかとしっかりメロディを聴かせる大盤振る舞い。それだけでも音楽面としては“お腹いっぱい”なのだが、マクレアリーはさらなる挑戦を見せている。それが、般若心経をスコアに取り込むという大胆な手法を採用したギドラのテーマだ。本作はレコーディング風景がYouTube上にアップされているので状況が確認できるが、ゴジラのテーマでは法被衆が掛け声を上げ、ギドラのテーマでは僧侶が読経するという、スコアリングセッションとは思えないような光景が広がっている。

ドハティ監督と同じくマクレアリーもまたゴジラを愛するファンであり、ハリウッド作品でありながらゴジラという存在を基にして日本へのリスペクトを映画音楽で示した姿勢は、日本人映画ファンとして嬉しい限り。テーマ曲を使用するだけでなくコーラスで“和”を象徴する芸当はなかなかできるものではない(ざっと思い返してみたけれど、和の掛け声を取り入れた楽曲は日本を舞台にしたハンス・ジマーによる『ラスト サムライ』ぐらいしか思い出せない)。そのアイデアもさることながら、結果的にゴジラの迫力やギドラの不気味さを限りなく増幅しているのでぜひとも音楽に耳を傾けてほしい。

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どうなる、モンスター・ユニバース

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』公開直後に来年の話をするのも無粋かもしれないが、ゴジラを中心としたワーナー×レジェンダリーの「モンスターズ・ユニバース」は来年公開の『ゴジラVSコング』(原題)へと引き継がれる。もちろんコングとは『キングコング 髑髏島の巨人』に登場したキングコングを指し、圧倒的な身長差について“コングはまだ成長期にある”という設定でカバーするという見方がある。それにしてもパワーバランスが気になるところだが、気になるといえば役柄不明ながら日本から小栗旬が参戦しているのも楽しみな点だろう。果たしてどのようにストーリーにからむことになるのか。とにもかくにも、まずは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』をエンドロールも含めてしっかりと目に焼きつけてほしい。

(文:葦見川和哉)

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