グローバルホークのパイロットが追い込まれていく映画『ドローン・オブ・ウォー』

無人偵察機「RQ-4グローバルホーク」が横田基地に到着し、10月まで日本で運用するというニュースが先日ありました。北朝鮮情勢で色々勘ぐりたくなりますが、グローバルホークと聞いてある映画を思い出したので今回それをご紹介します。

映画のタイトルは『ドローン・オブ・ウォー』。

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無人偵察機のパイロットを描くお話なのですが、パイロットの精神状態が徐々におかしくなっていく様を描きます。現代の戦争について様々考えさせられる映画でもあります。

邦題に“ドローン”は入っているが、グローバルホークのこと

“ドローン”と聞くと、最近家電量販店でも売っている小型のドローンを思い浮かべる方も多いでしょう。日本での公開のタイミングでドローンが良くも悪くも話題になっていたので、それでタイトルに混ぜ込んだものと思われます。

英語のタイトルは「Good Kill」となかなかストレートなタイトルだったりします。

実際は前述のグローバルホークのパイロットを描くお話。

ちなみにグローバルホーク、全長は14m、全幅は40mと小型旅客機並の大きさがあります。映画での“ドローン”というワードも相まってもっと小さいのかと思ってましたが、かなり大きいことがわかります。

戦場に行かなくても精神が蝕まれる

この映画を鑑賞した時はまだシネマズには携わっておらず個人ブログで映画の感想を書く身だったのですが、当時この映画を以下のように表現していました。

戦場シーンの無い『アメリカンスナイパー』

ビンラディン暗殺の無い『ゼロ・ダーク・サーティ』

どちらの映画も戦争を描きつつ、最もクローズアップされるのは主人公の精神状態。『ドローン・オブ・ウォー』も主人公トミーの精神状態の行く末を描きます

主人公トミーは元々F16戦闘機のベテランパイロットで、その後グローバルホークのパイロットになりました。ラスベガスの空軍基地のコンテナの静寂の中でリモート操縦をする仕事。そこで毎日中東地域の空爆をコントロールしているのです。

映画では戦場の映像は映らず静かにゲームで攻撃ボタンを押しているが如く空爆がされていく様を描きます。“世界一静かな戦争映画”という評もよく見ます。

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主人公のトミーはゲームが如く数々空爆し人命を奪う仕事に違和感を抱いていきます。相手がアメリカの敵であっても何十人の命がボタン操作1つで奪われていってるわけです。静かなる任務であっても、その違和感の積み重ねでトミーは精神を病み始めてしまうのです。

やがて精神状態はズタボロとなり、家族とも亀裂が生じ、酒を煽り、自らのアイデンティティがわからなくなるまで崩壊していきます。静かに、しかし確実に崩れていく彼の精神を私たちは映画で目撃するのです。

ピンポイント爆撃や戦争に関する問題提起はありません。偏ったプロパガンダ映画でも全然ありません。ただし戦場に行かずして戦争に苦しむ一人のパイロットを見ることで様々考えるものがあります。“仕事に病む”と広義の表現を取れば、日本の社会でも当てはまる問題、考えるべき課題が数多く見えてきます。

非常に重い作品ではありますが、戦場の悲惨な映像などは無くバイオレンス描写が苦手でも鑑賞することができます。

ちなみに(余談ですが、)この映画の作曲担当はクリストフ・ベックさん。そう、『アナと雪の女王』の作曲家です。仕事の幅、広すぎ…。

既にソフト化されていますので、気になった方はゴールデンウィークの一本にいかがでしょうか。

(文:柳下修平)

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