「半沢直樹」ファンが映画『七つの会議』を絶対に見るべき理由

目下、全話平均視聴率20%越えという、破格の数字を叩き出しているがTBS日曜劇場枠で放映中の堺雅人主演のドラマ「半沢直樹」。この数字はNHK大河ドラマや朝の連続テレビ小説並みの数字で、まさに国民的ヒット作品と言えるでしょう。

前シリーズの最終回で視聴率42.2%(平成時代のドラマ最高視聴率)という紅白歌合戦やサッカーワールドカップ日本代表戦に匹敵する数字を記録した大ヒットドラマの待望の2ndシーズンなので、高視聴率を記録するのも当然と言えば当然なのですが…。

それでも、1stシーズンの放映されていた7年前と比べてもテレビの見られ方が変わっている中でハイレベルな視聴率をキープし続けていることはやはり驚異的と言えるでしょう。

・・・しかし。

『半沢直樹』は週に一回、日曜日にしか見ることができません。その間の“半沢欲求”を埋める最適なのがAmazonプライムで今年・2020年8月より配信が始まった映画『七つの会議』です。

©2019映画「七つの会議」製作委員会 

ちなみに同じ池井戸潤&日曜劇場作品で言えば「ノーサイド・ゲーム」や「下町ロケット」、数少ない映画化作品『空飛ぶタイヤ』もAmazonプライムで見ることができます。しかし、『半沢直樹』とのシンクロ率で言えば何と言っても『七つの会議』です。

まず、監督が『半沢直樹』の演出の福澤克雄であることはもちろん、脚本の丑尾健太郎も「半沢直樹」の2ndシーズンの脚本を担当しています

キャスト面では、半沢の親友で何かと頼りになる渡真利役の及川光博、半沢の宿敵・大和田役の香川照之、半沢と因縁深い金融庁検査官の黒崎役の片岡愛之助、ラスボスの東京中央銀行の頭取・中野渡役の北大路欣也がメインキャラクターとして出演。

さらに、緋田康人や赤井英和、須田邦裕など「半沢直樹」1stシーズンに出演した面々も顔をそろえています。

ちなみに、日曜劇場&池井戸潤原作ドラマの出演歴で調べなおすと『七つの会議』のメインキャストのほぼ全員が該当。該当しないのは主演の野村萬斎だけというような状況です。

公開前までシークレット扱いだったラストに登場する監査の聞き取り役には「陸王」の役所広司が登場します。

まさに日曜劇場&池井戸潤ドラマ版のアベンジャーズというような映画が『七つの会議』なのです。

映画『七つの会議』とは?

『七つの会議』の舞台は中堅電機メーカーの東京建電。

ここには“鬼”と恐れられる営業部長の北川(香川照之)が君臨しています。

営業部にはエースの坂戸(片岡愛之助)率いる営業一課と万年二番手の原島(及川光博)が率いる営業二課があって、一課は常にノルマに到達している一方で、二課は常にノルマ未達で北川の叱責を浴び続けています。


その北川も親会社のゼノックスには頭が上がらず常務の梨田、そして“御前”として畏怖されている徳山社長(北大路欣也)の意向には逆らうことができません。
エース集団の営業一課において、悩みの種はぐうたら社員の万年係長の八角(ヤスミ)の存在。北川や梨田のいる場でも居眠りをするぐうたら社員で人呼んで“居眠りハッカク”。
定例会議で赤っ恥を欠かされた坂戸課長は八角にきつく当たりますが、八角はなんとこれに対してパワハラで訴えるという対抗処置に打って出ます。


笑い話のネタにしかならないと東京建電社内では思われていましたが、人事部の監査によってパワハラは認定されて、坂戸課長は営業一課長の職を解かれてしまいます。
後任に入った原島は事務の浜本優衣と共に真相を追っていきます。


すると、かつては八角はエースとも言える営業実績を誇っていたこと、坂戸が行っていたある事がら、さらには東京建電全体を取り巻く驚くべき事実に突き当たります。

映画『七つの会議』と『半沢直樹』の共通点と異なる点

『七つの会議』と『半沢直樹』の共通点は、分かりやすいところでは先に挙げた通りスタッフ・キャストの部分でしょう、製作幹事もTBSです。
また、双方のメインキャストで見比べると、『半沢直樹』ではオネェ言葉が印象的なキャラクターを演じている片岡愛之助は、ここでいたって普通(?)の凄腕の営業マンというキャラクターを演じています。クセという分ではかなり薄いのですが、彼が物語の発端を作る役なので見逃しは厳禁です。

一方、彼の後任として重責を任される及川光博のキャラクターは、重責に耐え続け苦しみ続ける中間管理職で、『半沢直樹』の渡真利の飄々としたキャラクターに比べると、こちらは眉間にしわが寄りがちなキャラクターです。ただ、物語が進んで行くと熱さも籠ったコメディリリーフ的な立ち位置になるので共通点もあります。

営業部長役の北川役の香川照之とゼノックスの“御前様”北大路欣也は、面白いぐらい『半沢直樹』と同じキャラクターになっています。

特にクライマックスの御前会議に登場する北大路欣也はそのまま東京中央銀行の頭取室の席に座っていても驚きません(笑)。

香川照之と北大路欣也の並びは作り手側の意図的な“『半沢』重ね”狙いなところもあるのかもしれませんね。一種の遊び心と言えるでしょう。

遊び心と言えば一瞬だけ登場する坂戸元営業一課長の兄の勤め先が東京中央銀行になっています。

ストーリーの展開で言えば「半沢直樹」と同様に多くの個性的な人間が複雑に絡み合った経済エンターテイメントであると同時に、深い謎解きと意外な展開が絡み合った経済クライムサスペンスとなっているところも同じです。

もちろん、物語の後半になればなるほど濃くなる、豪華キャストの顔芸芝居の連発も見ることができます。

狂言界のプリンス野村萬斎を筆頭に歌舞伎界の片岡愛之助、香川照之、古典芸能から春風亭昇太や立川談春など、さらに演劇畑の勝村正信、役所広司、橋爪功、鹿賀丈史などなど表情と眼力で勝負してきた面々が揃っているので、『半沢直樹』並みの顔芸芝居を堪能することができます。

「半沢直樹」2ndシーズンも前半戦の「ロスジェネの逆襲」編だけでも歌舞伎界からの市川猿之助(香川照之=市川駐車の従兄弟)や尾上松也、劇団☆新感線の古田新太、TEAM NACSの戸次重幸などなど演劇畑の役者で溢れていて、顔芸芝居は健在です(ちなみに賀来賢人や池田成志などなど外連味の多い作品で知られる劇団☆新感線作品出演経験者がとても多いです)。

まさに濃縮版・凝縮版「半沢直樹」(&日曜劇場)というべき『七つの会議』。

日曜日以外の“半沢が見れない状況”を埋めるためにも、さらにいえば『半沢直樹』2ndシーズン放映終了後の“ロス”を埋めるためにもこの機会に映画『七つの会議』をご覧になるのはいかがでしょうか?

©2019映画「七つの会議」製作委員会 

(文:村松健太郎)


    ライタープロフィール

    村松健太郎

    村松健太郎

    村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年目に入った映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、イベント運営に携わる一方で各種記事を執筆。

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