『ハリー・ポッター』の映画を気に入ったら原作へと進んでみよう!


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『ハリー・ポッター』は、J.Kローリング原作の全7作のファンタジー小説を実写映画化した作品。

映画を観る前に読むか後に読むかはさておき、『ハリー・ポッター』は、映画を好きになったなら、原作も非常におすすめ。映画で描かれる「ハリー」の世界をさらに深く広く味わうことができます。

『ハリー・ポッター』原作の魅力について、今回は考察してみました。

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原作を読むと…魔法の世界のイマジネーションが広がる!


第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』で、オリバンダーの店でハリーが魔法の杖を手に入れる場面。魔法の杖は様々な木と魔法生物が原料になっていて、同じものは2本と存在しない。最適な杖をえらぶため、ハリーが何本も杖を手にとって試してみますが、原作では、オリバンダー老人が杖の材質や特徴を細かく説明してくれています。

「ぶなの木にドラゴンの心臓の琴線。良質でしなりがよい」
「黒檀とユニコーンのたてがみ、バネのよう」
(出典:「ハリー・ポッターと賢者の石」/J.K.ローリング作 松岡佑子訳 静山社)



ユニコーンのたてがみ、ドラゴンの心臓など、ファンタジックな言葉が次々出てくるのが、とても素敵!ユニコーンの魔力が宿った杖ってどんな杖なんだろう?と、イマジネーションをかきたてられます。

この杖の場面は映画にもあるのですが、映像でいわゆる木の杖の詳細な違いを表すのは、なかなか難しいもの。むしろ、言葉だけの描写のほうが、杖1本1本の魅力が鮮明であり、なおかつ読者が自由に想像を膨らませることができます。「ハリー・ポッター」原作シリーズの中には、そんな読み手にイマジネーションを広げてくれる描写がたくさんあるのです。

原作を読むと…もっとハリーが好きになる!


たとえば『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、前作で学友の死という悲しみを背負ったハリーに、追い打ちをかけるように困難が続々とやってきます。

マグルの前で(自分といとこを守るためにやむなく)魔法を使った罪で魔法省の尋問を受けるハリー。さらに、新聞から中傷され、クラスメイトからは誤解を受け、魔法省がさしむけた新任教師からもにらまれてしまう。そして、ハリー自身、悪夢に苦しめられる日々。

この苦しむハリーの心情が、原作では映画よりもさらに緻密に描かれています。たとえば、魔法省の尋問を待つ間のハリーの心情を描く原作の描写が下記です。

「退学になったらどうしようと考えるたび、恐怖が針のようにちくちくと体内を突き刺した。(中略)言葉に出して言うこともできず、ロンやハーマイオニーにも話せなかった」
(出典:「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 上」/J.K.ローリング作 松岡佑子訳 静山社)



ハリーの目線から物語が綴られる原作では、ストーリー展開とともにハリーの心情が語られます。それだけに、読者は主人公ハリーの喜び、苦しみや悲しみ、そして、勇敢さを十分に理解し、共感することができるのです。実際、上の描写を読んだだけでも、ハリーが実は非常にデリケートで悩み深い等身大の男の子であることがわかりますよね。

また、『不死鳥の騎士団』では、ハリーが大嫌いなスネイプ先生の過去を覗くところがあり、その体験によって、ハリーのスネイプに対する感情が変化しています。スネイプの過去をハリーがどう感じたかは、原作のほうが詳細に描かれていますので、それを読んだとき、意地悪なスネイプ先生を見る目が変わるかもしれません。

原作を読むと…キャラクターがもっと好きになる!


尺にかぎりがあるせいか、映画『ハリー・ポッター』は、原作におけるストーリー展開の軸とならない部分がかなりカットされています。そして、それゆえに、原作の見せ場が映画では描かれない憂き目にあっている以下のような脇役たちがいます。

屋敷しもべ妖精のドビー


第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』で初登場した妖精のドビー。原作では第2作と4作以降のすべての作品に登場して、ハリーを助けるのですが、映画では、2作目のあと『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』まで出番がなく、ドビーが果たした役目を別のキャラクターが担う場合も。この忠実なるしもべ妖精が敬愛するハリー・ポッターのためにどんな働きをしたのかは、原作で確かめることができます。

チョウ・チャン


ハリーの恋の相手となる美少女チョウ・チャン。原作ではハリーとデートに出かけているのですが、残念なことに映画ではそのシーンはありません。同じくハリーとの関係においてほかの女性に嫉妬する描写もカットされているので、チョウ・チャンは、原作のほうがより人間味ある女の子らしさを楽しめると思います。また、彼女を見てときめいたり、赤くなったり、頭がパニックになったりと、恋するハリーの心情も原作ではよりたくさん描かれています。

ウィーズリー一家


ハリーの無二の親友・ロンと彼の兄妹たちに両親のウィーズリー一家。ハリーの強力な味方である彼らは原作、映画ともにきわめて重要な脇役です。

彼らについては、「え、見せ場は映画でちゃんとあるでしょ?」とみなさん思われるかもしれませんね。確かに、重要なところはもちろん映画でも登場しています。ただ、いかんせん全7作通して大活躍をしている彼らは、マグルの文明が大好きな家長のアーサーがマグルのものに興味を示す場面や、優等生の三男パーシーと家族の間に起きる確執など、映画で描かれなかった名場面がとにかく多い。ロンも、ホグワーツで重要なポストにつく話などが映画に出てこなかったのは、なんとも寂しいところです。

ちなみに筆者は原作を読んでから映画を観たのですが、そのときに「原作のそのまま!」と一番びっくりしたのが、ロンとその兄であるいたずら好きの双子・フレッドとジョージ。彼らは原作、映画を通して本当に魅力的で『ハリー・ポッター』になくてはならないキャラクターたち。その魅力を十分知るためにも、ぜひ、原作を読んでみてください。愛すべきウィーズリー一家がますます好きになること間違いなしです!

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(文:田下愛)

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