『覚悟はいいかそこの女子。』は今年最も過小評価されている傑作!その魅力を全力で語る!

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

集英社の雑誌「マーガレット」で2014年に連載された椎葉ナナの同名人気コミックを、中川大志と唐田えりかの共演で実写映画化した『覚悟はいいかそこの女子。』。予告編からの印象では、他の人気少女コミック原作物と同様、十代の若者向けの痛快青春恋愛コメディに思えた本作を、今回は公開初日の最終回で鑑賞してきた。万が一、主演俳優のテンションが高すぎると、観客が白けてしまって失敗しかねないジャンルの作品だが、果たしてその出来と内容はどうだったのか?

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

ストーリー

幼い頃から女子に囲まれてきたイケメンの“愛され男子”古谷斗和(中川大志)。自分はモテると思い込んでいる斗和だが、実は付き合った経験ゼロで、もちろん非リア充…。
ある日、彼女ができた同級生から「所詮、お前は観賞用男子だ!」と言われた斗和は、「(イケメンのオレが)彼女を作るなんてチョロい」と、高らかに「彼女作ります!!」宣言。狙うは学年一人気だが、幾人の男達からの告白を断り続ける難攻不落のクールビューティー・三輪美苑(唐田えりか)。そんな美苑に自信満々に告白する斗和だったが、「安っぽい告白」と一瞬でフラれる始末!!まさかの展開に、現実を受け入れられない斗和は、とにかく躍起になって、再三、アプローチを続けるが、撃沈の連続…。
しかし、そんなアプローチを続ける日々の中で、次第に斗和は美苑の優しさや、人柄に触れ、本気で彼女を好きになり始めるのだった。そんな時、彼女の視線の先に美術教師・柾木隆次(小池徹平)がいることに気づく…。人生で初めて恋した相手に認めてもらうべく、見た目はイケメン、中身はヘタレな斗和が、本気で大奮闘! 果たして彼は、初彼女をゲットできるのか!?

予告編

中川大志の好演で、主人公の魅力が倍増!

本作のポスターで前面に出ているのが、中川大志演じる主人公の斗和。生まれつきイケメン過ぎる外見に頼り過ぎて、実は自分からは女性に対して行動を起こしたことがない、恋愛経験ゼロの完全なヘタレ男子だ。

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

そのため、常にその外見と中身との落差を外部に悟られないかとビクビクしながら生きているのだが、そんな彼が友人たちに宣言した手前、難攻不落のクール系女子で学校一の美少女・美苑を落とすために、ひたすら猛アタックと試行錯誤を繰り返すラブコメと予想して、今回鑑賞に臨んだ本作。

確かに、映画の序盤は人気コミックスが原作だけに、主人公の勘違い振りとドタバタコメディを中心に進行する。だが、実は映画はここから観客の予想を裏切り、なんと男の成長物語&真剣な恋愛映画へと見事に変貌を遂げることになる!

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

事実、自分のイメージとプライドを守ることばかりを考えて、相手の気持ちよりもマニュアルを頼って行動していた斗和が、ついに自分の気持ちよりも美苑の幸せを第一に考えられるまでに成長するその姿は、思わず観ている側も「お前、よくやったな!」と認めずにはいられない程の達成感を与えてくれるもの。

一見ヘタレで全く男としてカッコよくない主人公に、これほど観客が共感し感情移入出来るのも、やはり今回主人公の斗和を演じた中川大志の演技力があればこそ! 実は斗和が意外と男らしい内面を持っていることが、彼の素晴らしい演技によって充分伝わってくるので、観客も自然と斗和に感情移入出来るという訳だ。実際、映画の終盤で斗和が見せる、決して美苑への思いやりと優しさを忘れないその誠実さには、同じ男ながら思わずグッときたと言っておこう。

数々の苦労と試練を乗り越えて、自身の内面までもイケメンに変身させた斗和は、果たして愛する美苑の心を見事ゲットできるのか? 観客も応援せずにはいられないその結末は、是非劇場で!

実は、男が真の愛とは何かを知るまでの戦いの物語だった!

前述した通り、確かに序盤の30分ほどは予想した様な青春恋愛コメディとして展開する本作。

ところが、最初は自分の下らないプライドのために告白を続けていた斗和の心に、次第に美苑への興味が生まれていくことになる。

そもそも斗和は、本当に相手を好きで告白したのではなく、友達の前で恥をかかないために咄嗟に選んだのが、美苑というクールな学校一の美少女だったという訳だ。

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

どんなに工夫を凝らしてアプローチしても素っ気無かった彼女の冷たい態度の理由や、彼女の私生活の意外な秘密が明らかになるにつれて、ついに斗和も真剣に彼女を想うようになるのだが、その過程が丁寧に描かれていて実に見事なのだ。

確かに、いきなり美苑のアパートの隣の部屋に斗和が引っ越してくるなど、コミックス原作らしい展開も登場するのだが、斗和の両親が非常に自由な考えの持ち主だという点も同時に描かれているので、「あ、この両親ならOK出すかも」と観客が自然と納得出来てしまうのも上手いと言える。

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

加えて、コミックスの映画化によくある様な安易に告白してすぐ付き合ったりする展開を排し、とにかく主人公が無様に苦労を重ねて人を好きになることの意味と素晴らしさを知る展開も、本作の完成度を高めてくれている。

ヘタレ男子をそのまま受け入れてくれる、女神の様な女の子が登場する男にとっての夢物語とは違い、本作の主人公はちゃんと自分のダメっぷりに正面から向き合い、恥をかきながら経験を重ねるという正攻法で、彼女の心を掴もうと努力する。

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

そう、本作で描かれるのは、変な計算や駆け引きなしに、相手の内面を理解し素直な気持ちで接することがいかに大事か? ということだ。

相手のことを第一に考えての行動や態度が心を開かせ、やがては自身を成長させて相手の心を掴むことに繋がるという本作の結論は、恋愛に悩む全ての人々に勇気と希望を与えてくれるもの。

きっと自分もやれば出来る! そんな想いで映画館を後に出来る本作。ポスターや予告編の印象だけで判断せず、是非男性にこそ観て頂きたい傑作です!

最後に

実は本作を演出したのは、あの井口昇監督! この名前を聞いて「おお、それなら観に行かなければ!」そう思ったファンの方も多いのでは? 過去に『片腕マシンガール』や『電人ザボーガー』など、主にエンタメ作品を世に送り出してきた井口監督が、満を持して挑む人気コミックスの実写化作品とくれば、これはもう期待するなと言う方が無理な話だろう。

とは言え、ポスターや予告編から連想されるキラキラした十代の恋愛模様に、普段の井口昇監督作品とのギャップを感じて、今回かなりの不安を抱えながらの鑑賞となったのも事実。

だが大丈夫、そんな不安は一切不要だった!

ここまで述べてきた通り、井口監督ならではの主人公を見守る優しい眼と、ヘタレで自信の無かった男がいかに彼女に相応しい男に成長していったか? その激闘の道のりをエピソードの積み重ねでじっくり描く手法は、正に期待以上と言う他は無い。

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

更に、本作で美苑を演じる唐田えりかが、とにかく可愛く魅力的に撮られているのも、井口監督ならではのこだわりだと言えるだろう。先頃公開されて高い評価を得た、濱口竜介監督の映画『寝ても覚めても』での彼女の役柄とは、また違った魅力が満載なので、ここも是非チェックして頂ければと思う。

©椎葉ナナ/集英社 ©2018映画「覚悟はいいかそこの女子。」製作委員会

残念ながら、現時点でのネットでのレビューや感想の数は、かなり少ないと言わざるを得ない本作。

だが断言しよう、『覚悟はいいかそこの女子。』こそ、今年最も過小評価されている恋愛映画の大傑作なのだ! 原作コミックスのファンだけでなく、一人でも多くの方に観て頂きたいので全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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