衝撃の傑作『累』、土屋太鳳と芳根京子の合法的キスシーンの連続に観客興奮!

©2018映画「累」製作委員会 ©松浦だるま/講談社

講談社の「イブニング」誌で5年に渡る連載を先頃終えた同名人気コミックを、土屋太鳳と芳根京子の共演で映画化した話題作『累 -かさね-』。9月7日の公開を前に、主演の二人が仲良くバラエティ番組に出演していたのを、ご覧になった方も多かったのでは?

観た人に強烈な印象を残す、そのポスターデザインや予告編から、正直かなり怖い映画と誤解されそうな本作。果たしてその内容と主演二人の演技は、どのようなものだったのか?

ストーリー

幼い頃より自分の醜い容姿に劣等感を抱いてきた女・累(芳根京子)。
今は亡き伝説の女優・淵透世(檀れい)を母に持ち、母親ゆずりの天才的な演技力を持ちながらも、母とは似ても似つかない容姿に周囲からも孤立して生きてきた。そんな彼女に母が唯一遺した1本の口紅。それはキスした相手の<顔>を奪い取ることができる不思議な力を秘めていた。
ある日、累の前に、母を知る一人の男、元舞台演出家の羽生田(浅野忠信)が現れる。累は羽生田の紹介で、圧倒的な“美”を持つ女・ニナ(土屋太鳳)と出会う。ニナはその美しい容姿に恵まれながらも、ある秘密を抱え、舞台女優として花開くことができずにいた。
運命に導かれるように出会い、“美貌”と“才能”というお互いの欲望が一致した二人は、口紅の力を使ってお互いの顔を入れ替える決断をする。

予告編

実は舞台女優の内幕を描く女性映画だった!

天性の優れた演技力を持ちながら、その醜い外見のために周囲から差別され続ける累。そんな彼女が初めて自分が輝ける場所を見つけたことから起こる悲劇を描いた本作は、主演の二人、土屋太鳳と芳根京子の見事な演技を得て、観る者の心を掴んで離さない上質の人間ドラマとなっていた。

特に、劇中で上演される『かもめ』や『サロメ』などの舞台劇の内容が、主人公の二人、累とニナが置かれている状況を反映していたり、彼女たちの人生にも大きな影響を与えるという展開は、怖そうな映画と思って劇場に足を運んだ観客の予想を、いい意味で裏切ってくれて実に見事!

©2018映画「累」製作委員会 ©松浦だるま/講談社

女優にとっての重要な要素である“美貌”と“演技の才能”という、互いの利害関係で繋がっていた累とニナの関係性が、やがてお互いの内面を理解し二人のパワーバランスが逆転する中で、果たしてどのような結末を迎えることになるのか? その衝撃の結末は、是非劇場で!

やはり見どころは、主演二人の演技力対決!

母親の形見である口紅をつけてキスすることで、相手と自分の顔が入れ替わるという設定のため、お互いに共演相手と自分の役とを演じ分けるという、実に難しい演技が要求される本作。それだけに、主演の二人、土屋太鳳と芳根京子の演技対決は、本作の大きな見どころとなっている。

今までのような元気で明るい学生役とは違う、非情に傲慢な性格の憎まれ役として登場する土屋太鳳と、原作の累の雰囲気を実に忠実に再現している芳根京子。この二人が顔だけ入れ替わるのだが、ちゃんと観客には中身が同じ人物のままだと分かる演技をしているので、観客側が「あれ、今どっちだっけ?」と混乱することがないのが凄い!

©2018映画「累」製作委員会 ©松浦だるま/講談社

さらに、ニナ本人の演技が累よりも下手だと観客に分からせる土屋太鳳の演技力は、舞台シーンで披露するそのダンスの素晴らしさと併せて、主人公である累の悲しく複雑な内面を見事に表現している。

このように、共に高い演技力を持つ二人が、ラストで登場する舞台劇『サロメ』で見せる演技対決は正に必見!文字通り観客を圧倒するその演技力は、是非劇場でご確認いただければと思う。

©2018映画「累」製作委員会 ©松浦だるま/講談社

今回の映画版での、原作からの改変点は?

今回の映画版は、原作コミック第1巻の第7話から始まる形を取っている。なにしろ原作は全14巻に渡る長編コミックスであり、この膨大な内容を2時間にまとめることは到底不可能なため、実は今回の映画版では原作コミック4巻の前半までを映像化するに留めているのだ。そのため、原作の4巻から登場する最重要キャラや口紅誕生の秘密、そして累の出生の秘密や母親の本名などは描かれず、あくまでもニナと累との関係を中心にストーリーが展開することになる。

©2018映画「累」製作委員会 ©松浦だるま/講談社

加えて、原作コミックでは右頬に傷を負う前の幼少時から、累が“は虫類”のような口元の醜い女の子として描かれているのに対して、映画版では全く醜い少女には描かれていない。正直これでは、何で累が小学生時代にいじめられていたのかが、観客には理解し難くなってしまうため、やはり幼少時の累の外見の再現には、原作に則した何らかの工夫が必要だったのではないだろうか?

事実、今回累を見事に演じた芳根京子が、特殊メイク(頬の傷は別として)に頼ることなく、その演技力だけで見事に原作コミックの累の外見に近づけてくれていただけに、この小学生時代の累のシーンは余計に惜しい!と思ったと言っておこう。

©2018映画「累」製作委員会 ©松浦だるま/講談社

もう一つ、映画版での重要な変更点は、原作コミックス第1巻の1~2話で描かれた累の小学生時代のエピソードを、映画の終盤に配置した点だ。実は原作では、累の高校の演劇部時代のエピソードも3~6話で描かれているのだが、この部分が映画版ではカットされているので、本編では累がいきなり高い演技力を披露するような形になってしまっている。

同様に、丹沢ニナの過去のエピソードも大幅にカットされているため、なぜニナの目の下にクマがあるのか? の意味が、観客にはわかりにくくなってしまっている。

もちろん、『かもめ』のオーディションのシーンや、映画の終盤で観客を圧倒する『サロメ』の舞台の様子などは、やはり映画でなければ味わえないものであり、舞台に魅入られた二人の女性を巡る物語として再構築されたこの映画版は、原作未読の観客にも単体の作品として楽しめるように、充分配慮して作られた作品だと言えるだろう。

幸い映画公開に合わせて、電子書籍版が2巻まで無料購読できるサイトが多いので、映画鑑賞後に疑問を持たれた方は、是非そちらをお試しいただければと思う。

©2018映画「累」製作委員会 ©松浦だるま/講談社

最後に

初日の興行成績ランキングでは、初登場5位の成績だった本作。予告編やポスターの印象からは、怖い映画のような印象を受けてしまいそうなだけに、女性の中には鑑賞を躊躇されている方も多いのではないだろうか?

でも、大丈夫!
舞台女優としての成功を目指す二人の女性の姿を通して、どうしても外見の美醜で人間を評価しがちな、我々の常識を揺さぶる衝撃の展開をみせる本作こそ、実は女性に是非観ていただきたい内容の作品なのだ!

確かに、今回の映画版で描かれるのは原作コミックの4巻までの分量でしかないため、はっきりとした結末を期待する観客にとっては、多くの謎を残したままの終わり方に不満を持たれるのも良く分かる。ただ、下手にオリジナル脚本として原作全編を2時間にまとめることをせず、あくまでもニナと累との関係性に絞って抽出した今回の選択は、実に懸命な判断だったのではないだろうか。

©2018映画「累」製作委員会 ©松浦だるま/講談社

原作ファンとしては、映画版の深い余韻を残すラストに続く展開を想像して、既に心は続編への期待で一杯だと言っておこう。映画の公開日に合わせて発売された原作コミックスの最終巻を既に読まれた方ならば、累が迎えた衝撃のラストを良くご存知のはず。

そう、実は『累』の物語は、映画版の後からが凄いことになっているのだ! 今はただ、一日も早く続編が製作されて、累のその人生の結末をスクリーンで観る日が来ることを願って止まない。

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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