性同一性障害の主人公を中谷美紀が演じる傑作ミステリー「片想い」




こんにちは、八雲ふみねです。
今回ご紹介するのは、10月21日からWOWOWプライムにて放送スタートの「片想い」。
累計発行部数100万部を超える東野圭吾最大の問題作と言われる原作をドラマ化しました。

八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.125



「人を殺した」…。

帝都大学アメリカンフットボール部だった西脇哲朗が、チームメイトの早田幸宏らと開いた部の同窓会の帰り道。偶然遭遇した元女子マネージャーの日浦美月から、衝撃の告白を受ける。

彼女の告白は殺人だけにとどまらず、自分は性同一性障害で現在は男として生きているという衝撃的なものだった。あまりの出来事に当初は絶句していた哲朗だったが、元マネージャーで哲朗の妻の理沙子、そして美月の元恋人・中尾功輔らも加わり、美月を守ろうと決意。

そんな折、美月が失踪。哲朗は美月を探すうちに、次々と苦悩に満ちた事実に直面する…。



東野圭吾最大の問題作にして傑作、
切望された映像化がついに実現。


世界中で“性の多様性”が叫ばれる現代、東野圭吾が“ジェンダー”を題材に書き上げた傑作ミステリー「片想い」。

性同一性障害の主人公・日浦美月を演じるのは、今作がWOWOW初主演、そして東野圭吾作品初参加となる中谷美紀。驚愕なのが、そのビジュアル。役作りのために筋力トレーニングを重ねてガッシリとした肉体を作り上げ、さらには髪の毛を15センチもカット。凛々しくも美しいイケメンぶりに、驚いた方も多いことでしょう。

その一方で、男性らしさを追求しながらも“どうあがいてもホンモノ(の男)にはなれない”悲哀まで見事に表現。この美月役は中谷美紀以外では考えられないほどの存在感をみせています。

また共演には、豪華俳優陣が集結。スポーツライターの西脇哲朗に桐谷健太、その妻・理沙子に国仲涼子、元アメフト部で事件の謎を追う新聞記者・早田幸弘に大谷亮平、同じくアメフト部の元部員で美月の元恋人・中尾功輔に鈴木浩介。

どのキャラクターも、事件の真相を追えば追うほど、また美月に隠された秘密を知れば知るほど、背負うものが大きくなる役どころばかり。その感情の揺れを実に情感豊かに演じ、予測不可能なストーリーをさらにミステリアスに盛り上げています。



人は誰もが“自分らしく生きたい”もの。
その切なる願いを優しくも切ない眼差しで映し出す。


学園モノ、刑事モノ、サスペンス、本格的な推理劇と、発表するごとに作風が変化するのが東野圭吾作品の魅力のひとつ。ミステリーと言えども“犯人探し”に終始することなく、その底辺となる人間ドラマや社会問題に焦点を当てているのも面白いところです。

本作では性同一性障害の主人公を軸に、事件をきっかけに再びフォーメーションを組むアメフト部同窓生たちの友情と絆の物語が繰り広げられます。30代も半ばを過ぎ、恋愛や結婚、仕事に行き詰まりを感じながらも、過ぎ去った青春の日々を裏切るまいと生きる元チームメイトたち。性別に関係なく、誰もが“自分らしく生きたい”と願い苦悶する、青春群像劇としても見応えある内容となっています。

本作をドラマとしてより見応えあるものにしているのは、メガホンを取った永田琴監督の手腕によるところも大きいでしょう。WOWOWで東野作品を手がけるのは「分身」「変身」に続いて3作目となる永田監督。聞くところによると、大学時代はチアリーディングで活躍していたとのことで、さすが、アメリカンフットボールに関する知識や試合の雰囲気などに精通しているだけあって、ストーリーの根底に流れるアメフトと人間模様を絡めた設定がしっかりと浮き彫りになっています。

そのため、美月を取り巻く元アメフト部のチームメイトが「何故彼女のためにこれほどまでに奔走するのか」という理由が明確に伝わってきて、ストーリーにさらなるリアリティをもたらしています。何気ないシーンでもアメフトに例えられる描写が登場するので、各ポジションの役割だけでも簡単に把握しておくと、より深くドラマを楽しめますよ。



桐谷健太が黙っていると、
会場はまさかまさかの…。


放送スタートに先駆けて開催された完成披露試写会には、中谷美紀、桐谷健太、国仲涼子、大谷亮平、永田琴監督が登壇。
八雲ふみねが司会を務めました。




撮影中のエピソードで賑やかに盛り上がり、その後のフォトセッション時に珍事が勃発。

ある記者さんが「クールな表情で…」と登壇者の皆さんにリクエストしたところ、会場からは何故か大きな笑いが。トーク中、中谷さんが桐谷さんについて「黙っていると、とってもハンサム」とお話してらっしゃったのを思い出しのでしょうか。キリリとした桐谷さんの表情が、どうやらお客様のツボにハマった様子。

その笑いが登壇者にも飛び火、「真面目な顔すると笑われるんだよなぁ〜」とボヤく桐谷さんに、またまた皆さん大爆笑でした。




「男になりたいけどなりきれない。そのもどかしさを常に感じながら、同じ悩みを抱える方々が見て違和感がないようにと繊細に演じたいと思っていました」と撮影を振り返る、主演の中谷美紀さん。

何故、事件は起こってしまったのか。

美月の、哲朗の、理沙子の、中尾が下す決断とは。

そして「片想い」の意味とは…。

全6話、最後まで観ないとトリックが分からない“仕掛け”になっています!

作品情報


連続ドラマW 東野圭吾「片想い」
10月21日(土)WOWOWプライムにて放送スタート
毎週土曜 夜10:00 全6話 第1話無料放送

原作:東野圭吾「片想い」(文春文庫刊)
監督:永田琴
出演:中谷美紀、桐谷健太、国仲涼子、大谷亮平、鈴木浩介 ほか
公式サイト http://www.wowow.co.jp/dramaw/kataomoi/

(文:八雲ふみね)

八雲ふみね fumine yakumo


八雲ふみね

大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
「シネマズ by 松竹」では、ティーチイン試写会シリーズのナビゲーターも務めている。

八雲ふみね公式サイト yakumox.com

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