「キセキ ーあの日のソビト」は青春映画の傑作!歌だけじゃ無いその魅力とは?

(C)2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

1月28日の公開以来、連日劇場は満員!ネットでも高評価を得ている話題の映画、「キセキ ーあの日のソビトー」。
メンバー全員が歯科医と音楽活動を両立、一切メディアに顔出しをしないことでも有名な、人気男性4人組ボーカルグループ「GReeeeN」。
彼らのデビュー前からブレイクまでの足跡を描く本作は、メジャーデビュー10周年の記念として、正に彼らのファンにとってたまらない内容となっている。

そんな本作を、先日の公開初日舞台挨拶レポに続き、今回は新宿バルト9で鑑賞して来た。
土曜日の夜の回だけあって、チケットは完売!観客層はさすがに若い女性が多かったが、年配の方や男性一人で来場されている方々も見受けられた。
GReeeeNのファンだけでなく、多くの観客を取り込んでヒットを続ける本作。果たして、その出来はどうだったのか?

予告編

ストーリー

厳しい父の反対を押し切り、家を飛び出したミュージシャンの兄JIN。
そして、父の想いを受けて歯医者を目指す弟ヒデもまた、仲間と共に音楽の魅力に引き寄せられていた。
音楽に挫折した時、弟たちの才能を知ったJINは、そんな彼らに自分の夢を託すことを決意する。
歯医者はやりたい、歌もやりたいけど、恐ろしい父親には秘密にしたいー。
そこで彼らがとった、ありえない作戦!?それは、前代未聞の顔出しなしのCDデビューだった・・・。(プレス資料より)

(C)2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

音楽だけじゃない、キャスト陣の自然な演技に注目!

本作の最大の見所は、実際に出演キャスト自身がボイストレーニングを積んで、自らGReeeeNの楽曲を歌っているという点だ!
単にGReeeeNの楽曲の再現に留まらず、そこに各キャストの個性がプラスされた新しい魅力が味わえるため、普段GReeeeNの曲に馴染みの無い自分にも、劇中で流れる彼らの曲は確実に響いた、と言っておく。

もちろん、主演の二人、松坂桃李・菅田将暉を始めとする、出演キャストたちの自然な演技が、楽曲以上に作品の魅力を高めているのは言うまでもない。
音楽に全てを賭ける兄、あくまでも音楽を楽しみながら仕事と両立しようとする弟とその仲間達など、変に力む事無く等身大の若者の姿をスクリーン上に表現したその演技力!
魅力的な楽曲と素晴らしい演技、この二つがあってこそ、GReeeeNの曲に馴染みの無い層を巻き込んでの、今回の大ヒットに繋がったのは間違いない。

ただ、息子に容赦なく「鉄拳制裁」を振るう、あまりに厳格すぎる父親の描写には、かなりドン引きする観客もいると思うのだが、そこを絶妙に補うのが母親役の麻生祐未の好演だ。残念ながら彼女と対照的に、他の女性キャストである平祐奈と忽那汐里の印象が余りに薄く、特に平祐奈の役が、JINとヒデの父にGReeeeNの音楽を紹介するための「記号」として存在するように見えてしまう点は、彼女の演技が素晴らしかっただけに、個人的に非常に残念だったとしか言いようがない。

(C)2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

最後に

ここで改めて伝えておきたいのは、本作がGReeeeNの人気やヒット曲に便乗した、単なる「企画物」映画では決してなく、そのメッセージ性と志の高さが観客に確実に伝わってくる、青春映画の傑作だということだ。

その反面、GReeeeNのサクセス・ストーリーを期待して見に行かれた方には、思いのほか前半の兄JINのエピソードが長い点に、不満を持たれるかも知れない。
ただ、後半で明確になる「余裕と楽しむ心があってこそ、人々の心に響く物が生み出せる」というテーマを描くためには、前半部のJINと父親との確執、メジャーデビューに際してのプロデューサーとの確執を描くことが必要だったことが判るはずだ。

GReeeeNの楽曲を知らない方、若者の音楽に興味が無い方が見ても、世代に関係なく絶対に心に感じる物がある本作!
まだまだ上映は続く模様なので、騙されたと思って是非劇場へ足を運んで頂ければと思う。

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(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ
    映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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