恋に右往左往するヒロインを楽しめる4作品

人間、何かに夢中になると周りのものが見えなくなって、周りの人を振り回したり、傷つけたりするものです。しかも、たいていの場合は当の本人に悪気がなかったり、自覚がなかったりする場合が多いです。なまじ、周りの人間は事情を知っていたりするので強く言えなかったりするから “うん、まぁ、いいけどさぁ…”という感じで終わってしまうことも。

それが、人の感情が良くも悪くも強く出る色恋沙汰になるとより一層、どうしようもなくなります。しかも軽い気持ちで変なことを言うと、それが本人の心や人生を思いっきり傷つけたりしかねないので、何も言えなくなったり・・・。

そこで今回は、恋に右往左往するヒロインを楽しめる4作品を紹介します。

『勝手にふるえてろ』

勝手にふるえてろ

(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

意外にもこれが映画初主演となる松岡茉優の新作『勝手にふるえてろ』。芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を大九明子監督がいい具合にテンポアップした恋愛映画(?)。
中学卒業後一度もあっていない初恋の相手“イチ”と、突然告白してきた同僚の“ニ”の間で揺揺れる恋愛経験ゼロのOLヨシカ。突然“イチ”と再会できそうになり、脳内妄想と現実恋愛の間で右往左往する。

『君の膵臓をたべたい』で見せたあの不器用好青年はどこへ行ったのか?という感じの北村匠海の“イチ“の唐突な突き落としぶりと、主題歌も担当した黒猫チェルシーの渡辺大知の“ニ”の正直空気が読めないぶりと果たしてどっちがいいのか? どっちもよくないのか?

ヨシカは映画の終わりでは一応の答えを出しますが、果たしてそれは正解なのかはわかりません。ただ、初めて恋愛に挑むことになったヨシカの姿は凛々しくもあります。

【作品情報】
『勝手にふるえてろ』
全国公開中

『伊藤くん A to E』

©「伊藤くん A to E」製作委員会

どうしようもない男・伊藤と絡んだ4人の女“A〜D”とそれをネタに脚本家としてカムバックを果たそうとする女流脚本家“E”を描く『伊藤くんAtoE』。

Aの島原智美(佐々木希)は5年間も伊藤と友達以上恋人未満を続けている、伊藤にとって都合のいい女。呼ばれればいつでもどこでも駆け付ける彼女は伊藤とのセックスが一度もないことに思い悩みます。かなりぞんざいな扱いを受けて、時には別の女性のためのプレゼント調達係までも。それでも気持ちが続く彼女はどこかでいつか振り返ってくれるだろうと思って追い続けます。

Bこと野瀬修子(志田未来)は本当にやりたいことのつなぎ気分で塾のアルバイトをしていますが、同じ塾で働く伊藤にストーカー気味に付きまとわれます。それでも振り切れなくて、本当にやりたい仕事の方もうまくいかず、自己啓発セミナーを受けようとします。しかしその会場に伊藤がいたりして…。

CとDは親友同士。Dの神保実希(夏帆)は大学時代から伊藤に片思い中、ただ処女だということが重いといわれて自暴自棄になります。その相談を親身に聞いている親友のCの相田聡子(池田エライザ)は実希が伊藤に夢中になるのがなんとなく嫌で、伊藤を誘惑してしまう。

そしてこの“A〜D”をネタに脚本を書いて一発当てようと狙う、かつての人気脚本家のEこと矢崎莉桜(木村文乃)は“A〜D”をネタにしているつもりがその姿を伊藤にネタにされて脚本にされてしまう始末。元カレのドラマプロデューサーに泣きつき、しがみつき、伊藤に仕事を奪われまいと醜態と晒してしまいます。

しかし、“A〜E”は伊藤との経験を自分なりにやり切った後は、仕事に、夢に、友情にもう一度突き進みなおします。どんな悪い恋愛でも、やり切ったあとの姿は清々しくもあります。

【作品情報】
『伊藤くん A to E』
2018年1月12日(金)より全国公開

『嘘を愛する女』

嘘を愛する女 サブ1

(C)2018「嘘を愛する女」製作委員会

5年間同棲していた相手、桔平(高橋一生)の名前から何から全部嘘だったことを知ったキャリア志向でちょっと嫌な感じの女、川原由加利(長澤まさみ)の真相探しの旅を描いた『嘘を愛する女』。

約束の時間に現れず、おまけに行方不明。やっと居場所が分かったと思ったら病院で、しかも相手の桔平はくも膜下出血で意識不明。病院経由で警察があれこれ調べると名前も仕事も何もかも嘘。よくよく考えると携帯も持たず、キャッシュカードも持っていない。浮世離れした人間かも、くらいに思っていたが疑い始めたらどんどん思考が悪い方向に。警察から捜査を頼んだ探偵までも桔平の存在は詐欺師だ、逃亡者だと半ば犯罪者扱いする始末。最初は由加利も同じ気持ちで桔平の真の姿を追いかけ始めますが、その“嘘”の中に隠された真相が見え始めたとき、桔平への想いと過ごした日々、そして何よりも桔平の自分への想いを知ることになります。

最初はろくに桔平の見舞いもしなかった由加利ですが、すべてを知ってからは目覚めることのない桔平の世話を甲斐甲斐しく続けるように。そしてそれはちょっとした幸せを呼び起こすことになります。

【作品情報】
『嘘を愛する女』
2018年1月20日(土)より全国公開

『今夜、ロマンス劇場で』

​©2018 映画「今夜、ロマンス劇場で」製作委員会

戦前のオペレッタ映画の中から、その映画を愛する映画青年・健司(坂口健太郎)に遭うためにやってきたお姫様・美雪(綾瀬はるか)の物語『今夜、ロマンス劇場で』。いろいろありながら惹かれあう二人ですが、お姫様は人のぬくもりを知った時この世から姿を消してしまうという運命の持ち主。二人の決断と、そこから二人が愛を育み過ごす人生は過酷な日々となります。それでも姫は互いの愛、自分の愛を信じ続け最後まで寄り添い続けます。

【作品情報】
『今夜、ロマンス劇場で』
2018年2月10日(土)より全国公開

恋に右往左往してこそ…

最近の恋愛映画ではコミックやライトノベルを原作にした映画、いわゆる“キラキラ”と称される(揶揄される?)作品が多いです。我々が過ごした学生時代と似て非なる学生時代を舞台に周りを巻き込み、傷つき、傷つけあいながらも恋愛に右往左往しています。

このキラキラ映画はジャンル全体のイメージや作られ方もあって、作品の物語部分を見ないでいろいろと言う人がいますが、やっぱり恋に右往左往するヒロインの姿、突っ走る姿は清々しいものがあります。

そもそも、源氏物語からシェイクスピア、ギリシャ神話などなどはるか昔から人々は恋愛に一生懸命で、時にまわりを巻き込みもがいてきました。そしてそんな一生懸命な姿の物語を人々は愛し続けきました。そしてそれは今もこれからも変わることはないでしょう、人が自分の恋に恋し続ける限り…。

(文:村松健太郎)

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    ライタープロフィール

    村松健太郎

    村松健太郎

    村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年目に入った映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、イベント運営に携わる一方で各種記事を執筆。

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