『孤狼の血』は“誰が観ても面白い”最高のエンタメ・ムービーだ!ヤクザ映画初心者にもオススメしたい5つの理由

©2018「孤狼の血」製作委員会

5月12日より、映画『孤狼の血』が公開されます。本作は、端的に言ってめちゃくちゃ面白い! R15+指定がされていることや、“ヤクザもの”であることから敷居の高さを感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、その心配はほとんどいりません。なぜなら、本作は「誰が観ても面白い」レベルの、最高のエンターテインメントなのですから!

以下からは、「誰が観ても面白い」理由と、映画そのものの魅力を、ネタバレのない範囲でたっぷりと紹介します!

1:カタギの方も感情移入がしやすい! これは日本版『トレーニング デイ』だ!

ヤクザ映画と聞いて、多くの方が真っ先に思いつくのは『アウトレイジ』シリーズでしょう。豪華俳優陣の共演、ヤクザという組織同士の“揉め事”が抜群に面白く、中高年の観客を中心に絶大な人気を博していたのは言うまでもありません。

その『アウトレイジ』がとても優れた作品であることを前提として、“カタギ(普通の職業)の方にとっては感情移入がしにくい”という難点も同作にはある、と筆者は考えていました。なぜなら、「全員悪人」というキャッチコピーが示しているように、基本的に登場人物のほぼ全てが悪どいことを考えていて、息を吸うように罵声を浴びせ続けたり、暴力を振るったりしているからです。カタギの人にとっては、“まるで別世界の人間の話”にも思えてくるでしょう(もちろん、それも『アウトレイジ』の面白さの1つですが)。

しかし『孤狼の血』は、『アウトレイジ』に比べ、はるかにカタギの方が感情移入をしやすい内容になっています。なぜなら、物語の導入部は「新人刑事が、粗暴な先輩刑事に言われるがまま、メチャクチャな捜査に協力をする」というものなのですから。新人刑事は真っ当な人間であり、ある意味では“観客の代弁者”と言うべき存在でもあるのです。

この導入部から、デンゼル・ワシントンとイーサン・ホークが主演を務めたアメリカ映画『トレーニング デイ』を思い出す方も多いでしょう。こちらも同様に、新人刑事がベテラン刑事のメチャクチャな麻薬捜査に同行し、不信感を募らせていくという物語なのですから。事実、『孤狼の血』の原作小説の作者である柚月裕子は、『仁義なき戦い』や『県警対組織暴力』という往年のヤクザ映画に影響を受けていたことはもちろん、『トレーニング デイ』も好きな映画だったのだそうです。

『孤狼の血』および『トレーニング デイ』がエンタメとして優れている理由は、誰もが“まともな新人刑事”に自身の姿を投影しやすく、“ヤバい世界に放り込まれてしまった”という状況を、主人公の困惑した気持ちとシンクロして楽しめることにもあります。これこそ、ヤクザたちが主人公であった『アウトレイジ』にはなかった魅力。導入部分の“掴み”が抜群に上手いため、『孤狼の血』はヤクザ映画が苦手という方、または観たことがないという方にとっても、存分におすすめできるのです。

©2018「孤狼の血」製作委員会

2:松坂桃李が“真っ当に見えて危うさもある”新人刑事を熱演! その狂気的な面も見逃すな!

本作の大きな目玉の1つは、松坂桃李と役所広司がW主演を務めているということ。結論から申し上げれば、この2人が主役であるということが映画の価値を最大限にまで高めており、そのキャリアの中でも1、2位を争うハマり役になっていました!

松坂桃李が演じる新人刑事は、前述した通り真っ当な人間です。ひどく乱暴な捜査に難色を示したり、時には女性と仲良くなったり、時には正義感を持って行動したりと、とにかく“普通”なのです。しかしながら、映画が進むにつれて、松坂桃李という役者からとても普通とは思えないギラついた野性味や、狂気的な面が徐々に垣間見えるようになっていきます。

この“一見すると普通だけど、狂気的な面も垣間見える”ことがポイントです。松坂桃李は、近年では『彼女がその名を知らない鳥たち』で薄っぺらいクズ男を、『不能犯』では人間離れした存在感を放つ犯人を、『娼年』では狂ったようにセックスしまくる青年など、良い意味で極端な役が多かったのですが、『孤狼の血』ではその極端さが“隠れているようで隠れていない”絶妙なバランスのキャラになっている、と言っていいでしょう。

同時に、松坂桃李演じる主人公は“まともでなくなっていくかもしれない”という危うさをも持ち合わせているため、観客は終盤に行くにつれて、彼の精神状態を推察したり、本気で心配してしまったりもするでしょう。“主人公に感情移入ができる”というのは、やはりエンタメの基本中の基本。この主人像および、松坂桃李というスター俳優の熱演もまた、多くの方にオススメできる大きな理由なのです。

余談ですが、松坂桃李演じる主人公の内面は、すべてが論理的に説明できるわけではなく、ある一定の“謎”も残しています。「なぜ彼がその行動をしたのか」を、一緒に観た方と話し合ってみたり、原作小説を読んで“補完”してみるのも、また一興ですよ。

 

©2018「孤狼の血」製作委員会

3:役所広司が演じるのは“ほぼ悪人”! ダークヒーローのような魅力を堪能しよう!

前述してきた通り、松坂桃李演じる新人刑事はとても親しみやすいのですが、もう1人の主人公であるベテラン刑事役の役所広司は行動も言動もメチャクチャで、良い意味でちっとも感情移入できません。風態からして汚いし、時には違法行為をも辞さないのですから。現実社会では一番お近づきになりたくないタイプの、“ほぼ悪人”を演じきっていました。

しかしながら、この役所広司のキャラクターは“痛快無比”でもあります。キャッチコピーにもなっているセリフ「警察じゃけぇ、何をしてもいいんじゃ」に代表されるように、現代社会で遵守しなければならないルールやコンプライアンスなど度外視、“目的のためなら主題を選ばない”や“他の誰にもできないことをやる”というダークヒーローのような魅力もあるのですから。

役所広司は、『シャブ極道』というタイトルからして超危険な映画で覚醒剤中毒の若頭を熱演していたり、『渇き。』ではクズな父親を演じるに当たって「これほど最低な男を演じられるなんて役者冥利につきます!」と嬉しそうにコメントしていたりと、元々こうした極端な役にノリノリなお方なのでしょう。広島弁のしゃべりにも全く違和感がなく、楽しそうに(しかも全身全霊で)演じられているのがスクリーンから伝わってきました。

また、脇を固める役者陣も豪華絢爛です。真木よう子、江口洋介、中村獅童、ピエール瀧、竹野内豊、石橋蓮司、滝藤賢一、音尾琢真、駿河太郎、中村倫也、阿部純子、矢島健一、田口トモロヲなどなど、主役でもおかしくない、人気と実力を兼ね備えた俳優ばかり! たとえ出番が少なかったとしても、それぞれが忘れられない存在感を放っているのがたまりません。

その豪華俳優陣による物語の構造を乱暴にまとめるのであれば、「正義感の強い松坂桃李 & メチャクチャでクズな役所広司 VS 見るからに怖そうなベテラン俳優たち」になるでしょう。これほど贅沢に、日本トップクラスの役者が集結した群像劇のドラマは、もう2度観られないかもしれません。これだけでも、本作はそれぞれの役者のファンに、絶対に映画館で観て欲しいのです。

 

©2018「孤狼の血」製作委員会

4:ミステリーの要素も強かった! キャラクターそれぞれの“思惑”にも注目!

本作がヤクザものでありながら、万人にオススメしやすいもう1つの理由は、ミステリーの要素が強いことです。事実、『孤狼の血』の原作小説は「このミステリーがすごい!」2016年版国内編の第3位に選ばれたり、第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞したりと、そもそも“ミステリーとして”高く評価されていたのですから。

役所広司演じるベテラン刑事の目的や、真木よう子演じるクラブのママの過去、ヤクザ同士の抗争の理由は、様々な謎を呼びながらも、ある驚くべき真実へと帰着します。そこには原作にはない+αの工夫も盛り込まれ、新たなカタルシスを作り出すことに成功していました。これもまた、『アウトレイジ』シリーズにはない魅力でしょう。

この面白さは、善と悪という二元論だけでは語ることができない奥行きのあるキャラクター描写と、複雑に絡み合った人間関係があってこそ。彼らそれぞれの思惑を“推理”しながら観てみるのも良いでしょう。

 

©2018「孤狼の血」製作委員会

5:バイオレンスシーンにも妥協なし! 近年稀に見る“濃い”映画だ!

本作の監督は『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』など、R15+指定大納得の過激な映画を手がけてきた白石和彌です。本作でもバイオレンスシーンがてんこ盛りで、白石監督のエクストリームな作家性がまさに全開。特に、原作小説にはない“ブタ”の描写、音尾琢真演じる全身イレズミのヤクザにしかけた“拷問”は本当にヒドい!(褒めています)

しかしながら、この過激さこそが『孤狼の血』の一番の魅力と言っても過言ではありません。本作のプロデューサーたちは「中途半端なものは求めてない」「役者とスタッフの全員が振り切っている」ことを重視したそうで、容赦のないバイオレンスも、その妥協のない姿勢から生まれたものなのでしょう。映画本編からは、その過激な描写も相まって「かつての『仁義なき戦い』のような、アツくてギラギラとした本気のヤクザ映画を現代に送り出す」という、製作陣からの熱意がダイレクトに感じられるのです。

本作が何より万人にオススメできる理由は、スタッフとキャストが本気で作り上げた、“濃い”映画であることなのかもしれません。同時に、松坂桃李演じる新人刑事には感情移入がしやすく、ミステリーの要素も備えており、誰もが最初から最後までハラハラドキドキできるのですから……。

 

©2018「孤狼の血」製作委員会

 
ここまでの説明で、お判りいただけましたでしょうか。往年のヤクザ映画が好きであったという方はもちろんのこと、ヤクザ映画を観たことがないという方や、それぞれの役者のファンにも大推薦できる理由を……。良い意味で“古臭い”昭和末期のヤクザ抗争の雰囲気を、現代の映画館で堪能できるというのも、またとない僥倖となるはず! ぜひ、大画面のスクリーンで、熱い男たちのドラマを見届けてください!

(文:ヒナタカ)

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