女に改造された殺し屋の復讐劇!『レディ・ガイ』の魅力とミシェル・ロドリゲス兄貴へのインタビュー!

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1月6日より公開の映画『レディ・ガイ』は、大作映画では決して成し得ない奇抜な発想と独創性で楽しませてくれる、“エッジの効いた”快作でした! その魅力と、主演を務めたミシェル・ロドリゲスへのインタビューをお届けします!

1:凄腕の殺し屋が目覚めたら、ミシェル・ロドリゲス兄貴に性転換手術されていた!

まあとにかく、予告編を観てください。その素晴らしさがすぐにわかりますから。(立木文彦のナレーションが最高!)

おわかりいただけたでしょうか。『レディ・ガイ』の最大の特徴、それは「凄腕の殺し屋が女に改造(性転換手術)されてしまった!」という耳を疑うようなプロットにあります。そして主演は『バイオハザード』や『ワイルド・スピード』シリーズで男よりもカッコ良い“兄貴”っぷりを見せつけたミシェル・ロドリゲスなのです!

ミシェル兄貴が抱かれたい女ナンバーワン(筆者調べ)なのは言うまでもないことですが、今回は元・男性という設定なのでその“男気”がさらに前面に押し出されているんですよ!

しかも、今回のミシェル兄貴は特殊メイクで“男性だったころ”の殺し屋までも演じているのです! とても大切なことなのでもう一度書きますが、映画の序盤ではミシェル兄貴が特殊メイクで屈強な男を演じているんですよ! 髭面のミシェル兄貴が低くした声でバーにいる女をひっかけて、しかも男のムキムキボディのヌードを披露したりするんですよ! 何だそれ! 幸せか! その男性版ミシェル兄貴の姿は予告編ではよく見えないので本編で確認するんだ!

さらに、そのミシェル兄貴が、バーでひっかけた女(友だち)と再会し、“百合”的な関係にもなるという、たまらない要素までもあったりもするのです! とにかく、これだけは告げておきましょう。ミシェル兄貴のファンは絶対に映画館に駆けつけるんだ! そのカッコ良さに惚れること間違いなしだぞ!

2:敵となる狂気の女医を演じるのは『エイリアン』シリーズのあの人だ!

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豪華キャストはそれだけではありません。なんと、ラスボスとなるのは『エイリアン』シリーズや『アバター』などでもおなじみのシガニー・ウィーバーなのです! そう、「元・男性の殺し屋のミシェル・ロドリゲス VS 狂気の女医のシガニー・ウィーバー」という、映画ファンにとって垂涎もの、ブッ飛んだ発想の対戦カードが組まれているのですよ!

今回のシガニーは、悪役ながら文学について確かな教養を持っており、狂気的だけでなく、1人の人間の“歴史”を感じさせる厚みのあるキャラクターを演じきってます。ミシェル演じる元・男の殺し屋と、シガニー演じる狂気の女医がどのように巡り会い、それぞれにいかなる価値観が浮き彫りになっていくか、そこにも期待してみると良いでしょう。

3:作風は意外とハードボイルドだ! ウォルター・ヒル監督らしさも満載!

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監督が『48時間』や『ウォリアーズ』などのウォルター・ヒルであるということも重要です。その作風は、“男の世界”を描いていることと、ひたすらに“ハードボイルド”なことにあると言っていいでしょう。主人公には悪く言えば不器用、良く言えば実直な者が多く、そこにとてつもないカッコ良さを感じるのです。

今回は1人の主人公の内面をナレーション込みで描いているということで、ウォルター監督作の中ではシルヴェスター・スタローン主演の前作『バレット』に近い内容になっています。男勝りな女性が登場するという点では名作『ストリート・オブ・ファイヤー』にも通じているとも言えるでしょう。

そんな監督の作家性のおかげもあり、勢いのある予告編の印象に比べると、本編のボンクラ度は低めになっています。アクションよりも登場人物の“生き様”がメインに描かれるため、ドンパチしまくる派手な映画を期待すると、肩すかしに感じてしまうのかもしれない……ということは否定できません。

しかし、ウォルター・ヒル監督作が好きであれば「待ってました!」と感激できる作風ですし、監督作を知らなかったとしてもシビレるほどにカッコ良い“美学”の数々に惚れ惚れとできるはず。今回はナレーションでその美学を語ってくれるのが男よりもクールなミシェル兄貴なのですから、心から「ウォルター監督で良かった!」と思うことができました。

ちなみに、本編に“まるでマンガ”な演出がありますが、これはウォルター監督の「現実の日常で起こるものではないことを示唆している」「マンガやグラフィックノベルのように自由な物語にしたかった」という意向の元に採り入れられたものだったのだそうです。その演出もまた、ウォルター監督のハードボイルドな作家性とベストマッチでした。(ちなみに、本作の原案は1970年に持ち込まれたもので、後にウォルター監督がグラフィックノベル化もしていたそうです)

4:性転換という題材が批判されたことも? 監督からの“答え”はこれだ!

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実は、本作における性転換という題材は、製作される前から批判の対象になっていたこともあったそうです。これに対し、ウォルター監督は「映画にはトランスジェンダーの考え方に反論したり揶揄する意図はない」、「映画はその批判の答えになると思っている」、「トランスジェンダーは重要な要素であるが、テーマはあくまでも復讐である」などと答えています。

本編を観てみると、トランスジェンダーの方を傷つける意図はまったく感じられません。詳しくはネタバレになるので書けませんが、むしろ性自認に悩んでいる方や、トランスジェンダーに関心のある方こそが勇気づけられるメッセージも内包している、とも言えるのではないでしょうか。

なお、ウォルター監督によると、シガニー演じる女医が殺し屋に性転換手術をしたのは「復讐のため」と「彼に人生をやり直して良い人間になるチャンスを与えるため」と「根本的なトランスジェンダーの理論(自分が男か女かは“心”で決まるということ)をテストするため」であると明言しています。この女医の言い分に、殺し屋がどう落とし前をつけるのか……そこにも注目してみてください。

5:ミシェル・ロドリゲスへのインタビューをお届け!

ここからは、主演のミシェル・ロドリゲスへの特別インタビューをお届けします! 男性の特殊メイクをした時の役作りや、好きな日本のアニメなどについて語っていただきました!

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——本作では特殊メイクで男性の時の主人公も演じられていました。何か思うところはありましたか?

顎や鼻もメイクして、胸も押さえつけてた状態で4日間、時には12時間以上もメイクしたまま過ごさなければいけなかったら大変だったわ。こんなにもチクチクとくすぐったい経験は人生でなかったわね。メイクを取った時「ああ、自分は女なんだな」と安心したわ。

——“目覚めたら女性になっていたことを知った”時の演技が本当に素晴らしかったです。その演技において、難しかったことなどはありますか?

私はもともと男のように生きる術と言うか、“マッチョなマインドセット”というものを持っていたと思うの。それは私に兄がいて、「お兄ちゃんみたいになりたい」「張り合いたい」という気持ちがあったおかげでもあるわね。今回は一番身近な異性である兄について「男というのはどういうものなのか」「お兄ちゃんが朝起きてペニスがなかったらどう思うか」と考えたり、あるいは「大企業を牛耳っている人が朝起きて全て失ったらどうなるか」ということも想像したわね。とにかく、「自分が自分たらしめているものを全て失う感覚」というのを念頭に置いて演じたの。

——『ガールファイト』で主演されてから17年、何か女優として変わられたことはありますか?

17年と聞くと、なんだか私が年寄りに感じるわ! 実は、今まで女優をやってきて、虚しさを感じてしまった部分もあるの。というのも、私は男性中心の暴力的な社会で、銃を持って生きてきたような役が多くて、「そういう役はもうやり終えたな」って思っているのよ。だから、これからは新しい自分を発見したり、自分の女としての価値を表現していきたいわね。また、映画における女性の役割って“主人公の恋人”だったりが多いから、私はもっと“女性から見た女性の声を発する役”もやってみたいわね。

——日本ではミシェル・ロドリゲスと聞くと、『ワイルド・スピード』シリーズのレティを思い浮かべる方が多いと思います。『ワイルド・スピード』のファンに、『レディ・ガイ』で演じられたフランク・キッチン(主人公)をどのように観て欲しいですか?

素直な気持ちで観て欲しいわ。私自身は、この映画で男性も演じたから、落ち着かないというか、こそばゆいうか、直視できない感じもあるというのが正直なところなの。だから、『ワイルド・スピード』のファンが、この映画を観てどう思うかを逆に質問したいわね。

——ウォルター・ヒル監督の演出は他の監督と比べていかがでしたか?

ウォルター監督の作品は良い意味で男臭いけど、彼自身はとても“紳士”だったわ。例えば、私を気遣ってくれたのか、劇中のセックスのシーンをなるべく短くしてくれたりしたの。70年代からずっと活躍しているビッグな監督が、ここまで作品に思い入れを持って仕事をされていたのも嬉しかったわ。もちろん、撮影のセンスも抜群よ。

——本作(原題は『The Assignment』)の日本でのタイトルは『LADY GUY』になっています。個人的には最高のタイトルだと思うのですが、いかがですか?

アハハハハ! 『ガイ・レディ』と言ったほうが正しいのかもしれないけど、クールなタイトルだと思うわ!

——好きな日本映画やアニメ作品はありますか?

『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』ね。日本のアニメは新たな未来像というか、情熱的なものを感じさせてくれるし、映像技術にも多大な貢献をしてくれたわ。日本に帰属している素晴らしい作品なので、2017年の実写映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』では日本人に主人公を演じてほしかった、というのが本音ね。

——『レディ・ガイ』を「このような方におすすめしたい!」ということはありますか?

明確に“誰に”というのは正直に言ってわからないけど、強いて言うのであれば「いろいろなことに好奇心を持っている人」や「エッジの効いた、主流でないものに何かを感じられる審美眼を持っている人」には良いかもしれないわね。それはアーティストの方かもしれないし、トランスジェンダーやゲイの方かもしれないし、性転換そのものに関心のある方かもしれないわ。一般的な作品とは言えないからでこそ、決まりきった考え方を好む人よりも、様々な事柄への理解が広い人に向いているかもしれないわね。

まとめ

『レディ・ガイ』は決して派手な映画ではありませんが、その分“ミシェル・ロドリゲスとシガニー・ウィーバーという女優の魅力”と“監督のハードボイルドな作家性”が存分に発揮されています。新年一発目の映画としても、もちろんオススメですよ!

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(文:ヒナタカ)

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