新宿中央図書館&中野区立中央図書館で、映画関係の調べ事を上手にする方法。

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ふつーの図書館でも、映画関係の調べ事は出来る。

先輩 この間の松竹大谷図書館と東京国立フィルムセンター図書室の利用の仕方が評判が良かったようなので、今度は新宿中央図書館と中野区立中央図書館を使って、映画関係の調べ事をする方法を伝授しようというわけだ。

後輩 松竹大谷図書館も、フィルムセンター図書室も、確かに蔵書量も多くて利用しやすいんですが、松竹大谷図書館は土曜日に空いてないのがちょっとなあ・・。

先輩 それと、周囲の声を聞くと、やはり閉架制だと、さて自分の探している本かどうか、内容が確認出来ないのが難点だという声もあってね。

後輩 一般の人は、近所の図書館を利用することが多いんじゃないですか。

先輩 なんたって、うちのマンションは3つの図書館に囲まれているからな。もう選び放題だぜ。

後輩 それ、別にあなたが自慢することじゃないと思いますが(笑)、新宿中央図書館にはよく行かれるんですか?

先輩 ここの参考調査室は、もはやおれの事務所だ(笑)。コーナーにある大きなデスクは、永遠にキープしてあるから、他の人は利用しないように。

後輩 公共の施設を勝手に私物化しないでください!!

先輩 ただ、大きめの図書館で映画関係のディープな調べ事は無理かと言うと、そうではない。むしろ幅広い範囲から、様々な事実を知ることが出来るぞ。

後輩 新宿中央図書館で、映画関係のことを調べるんだったら、映画書の棚に行けば良いですよね。

先輩 いや、おれの場合、断然参考調査室なんだ。ここには新宿区にまつわる地域資料や各種の統計、白書などが並んでいて、自由に閲覧することが出来る。中でも調べ事に最も役立つのは、新聞の縮刷版だね。

後輩 昔の新聞を・・ですかあ?

先輩 例えば昔公開された映画について調べる時なんて、まず新聞の縮刷版で、芸能欄や文化面を見る。大手新聞は皆、映画の批評を掲載しているから、そこを見ることで、当時その作品がどう評価されていたかが分かる。

後輩 公開当時の評価と、今の評価が違うってこともあるんですか?

先輩 よくそこに気づいた。あるんだよ、これが。例えば、現在では名作の誉れ高い昭和29年製作の「ゴジラ」だが、公開時にはほとんどゲテモノ扱いされていて、当時の朝日新聞の批評に「企画だけの面白さ」なんて書かれたりしている。

後輩 今や日本映画を代表する名作の1本なのに。

先輩 そういうことは、けっこうあるよ。同じ昭和29年に公開された「七人の侍」が、キネ旬ベストテンのトップじゃなかったり。

後輩 ええーっ!? そーなんですかあ!!??

先輩 ・・・お前、何にも知らないんだなあ。またご隠居にどやされるぞ。

後輩 第何位だったんですか?

先輩 3位だよ。1位が「二十四の瞳」、2位が「女の園」。どちらも木下恵介監督作品で、当時としては黒澤より木下監督のほうが、評論家の評価は高かった。だからこういう評価のされ方の変遷をたどる意味でも、新聞の縮刷版は有効だぞ。

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新聞広告には、映画宣伝のコンセプトが反映されている。

先輩 それともうひとつ。新聞の縮刷版を見ることによって、新聞広告の変遷を把握することが出来るんだよ、映画のな。

後輩 最近ではあまりウェイトを置かれてないようですが、新聞広告は。

先輩 まあそうなんだが、70年代から90年代初頭ぐらいまでの新聞広告は面白いよ。あらゆる映画の宣伝戦略、コンセプトがすべて新聞広告に反映されている。つまり、その映画がどういう風に売られたかを、新聞広告を通して検証出来るんだぞ。

後輩 先輩の著書に、やたら新聞広告が多いのは、そのせいですか?

先輩 編集者がそうしているだけで、おれは書籍に写真や図版を掲載する必要はないと思っている。まあ文章を理解する助けにはなってるかな。

後輩 なんだかよく分かりませんが、新宿中央図書館の参考調査室は、映画関係の調べ事にも使えるということですね。

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検索機を使いこなして、レアな文献を発掘せよ!!

先輩 参考調査室だけでなく、新宿中央図書館にはちゃんと映画書も収蔵されていて、こちらは貸出もOKだ。

後輩 検索とかも出来るんですか?

先輩 もちろんだ。各フロアにある検索機を使って、目的とする書籍がどこにあるか。あるいはキーワードを入力して、どんな本があるかを一望することが出来る。

後輩 でも、やっぱり新しい本が多いんでしょ?

先輩 それがとうでもないんだ。以前大映の名物社長だった永田雅一という人の名前を検索にかけたら、大昔に出版されていた「映画自我教」という書籍がヒットして、驚いたのなんの。1958年発行。そんな本、もう読めないと思っていたのに「貸出も出来ますよ」と。もちろん借りて読んだけど。

後輩 歴史の長い図書館だけに、収蔵している書籍も多岐にわたるんですね。

先輩 ただ、新宿中央図書館は数年前に、下落合から大久保に移転して、今、小学校の校舎を使っているんだ。だから書棚にない本を倉庫から出してもらうべく頼むんだけど、体育館を倉庫にしているそうで、頼むたびに気の毒な感じがして(笑)。体育館で蔵書を探すのは、体力が要るからなあ。

後輩 ここの司書の方たちも、「気は優しくて力持ち」なんですか?

先輩 うん。おれのオーダーには確実に応えてくれる。というのも、こちらは目的とする書籍が分かっているから。それが分からない場合は検索機を使えば良いし、とにかく1度行ってみてご覧。あ、下落合のあった図書館跡には、最近新しく下落合図書館が出来て、ちょっと行ってみたけど、なかなか面白そうなとこだぞ。

後輩 そこは映画関係の書籍の蔵書とかはどうなんですか?

先輩 それはまだ、これから少しずつ開拓していくよ。ふっふっふっ・・。

後輩 下落合図書館の司書の皆さん、無理難題を持ちかけるおっさんに要注意(笑)!

先輩 何を言っておるか。おれは応援しているんだぞ。どれURL も貼り付けておくか。
https://www.city.shinjuku.lg.jp/library/tosho01_002153.html

中野区立中央図書館の、隠れた名物は映画ビデオ。

先輩 対して、中野中央図書館。中野駅南口から近いなかのZEROホールの地下にある大きな図書館で、これまた拙宅から近いので、ちょくちょく利用している。

後輩 やはり参考調査室で、新聞の縮刷版を漁っているわけですか?

先輩 まあな。新宿中央図書館は、朝日新聞の縮刷版を戦前から書棚に並べてあるけど、中野中央図書館は朝日、読売、毎日とメジャー紙が揃っている。ただしすべて平成元年以降のものしか並べていないから、それ以前のはカウンターで司書の人に言って出してもらうしかないわな。

後輩 一般の映画図書はどうなんでしょうか?品揃えというか棚揃えは?

先輩 まあ、可もなし不可もなし。常識的な書籍が並んでいて、検索してもこれといって珍しい本は発見出来なかったなあ。

後輩 じゃあ新宿中央図書館と比べて、映画関係の調べ事には向かない感じですか?

先輩 いやいや、それは違う。ここの隠れた名物は、地下2階にあるビデオ貸出コーナーだ。

後輩 DVDなんでしょ?

先輩 違う。今時ビデオテープ、VHSだ。しかもその数がけっこう豊富。だからマメに探せば、ビデオソフトになっていても、DVDやBDになっていない作品を発見出来るかもしれない。

後輩 今時VHSって・・・ビデオデッキなんて、とうにありませんよ。うちは。

先輩 うちはまだあるが、ここ数年電源を入れていない。だがなあ、特にここの日本映画の品揃えは大したものだから、ビデオデッキを通電して、今時VHSで日本映画の名作を続けて見るのも良いかもしれんぞ(笑)。

後輩 フィルムの雰囲気とかがよく出るかもしれませんね(笑)。

先輩 利用する人、たくさんいるのかなあ。それから、中野区も新宿区も、最寄りの図書館で検索をして、その図書館に書籍がなくても、区内の図書館にあれば取り寄せてくれる。こういうサービスをしているの、知ってた?

後輩 いえいえ。だったらうちの近所の図書館からでも、先輩の本を取り寄せて読むことが出来るんですね。

先輩 その通りじゃ。おれもちょくちょく利用するけど、早い時は、オーダーした翌日に本が届いたと連絡が来る。時間がかかっても3日程度ということが多かったなあ。

後輩 通常に貸出もしてくれるわけですね。

先輩 もちろんだ。ただし言っておくが、中野区の図書館は利用者にメールアドレスを提出させ、1日でも延滞があると「お返しいただきましたか?」とメールが来る。もうしつこいぐらいに、1日おきに来る。

後輩 それって先輩が、期限どおりに返さないからじゃないですか(笑)。ちゃんと返却期限は守りましょうよ。

先輩 こっちにも都合があるわけだし、そもそもおれは本を書くのも読むのものろい。今度の本なんて、締め切りから1ヶ月半遅れて納品した。

後輩 もう・・・ちゃんとしましょうよ。大人なんですから。

先輩 だから、延滞図書は近場の中野区の図書館へ夜中に行って、ブックポストにこっそり返してくるんだ(笑)。

後輩 うーん・・・・なんか「居候 三杯目にはそっと出し」みたいな感じですね(笑)。まあともかく、これで「映画関係の調べ事を図書館で上手にする方法」シリーズも終わりですね。

先輩 なに言ってるんだ。第3弾もやるぞ。我が国の図書館の最高権威・国立国会図書館だ。そこに乗り込むぞ!!

後輩 まだやるんですかあ?

先輩 第3弾を待たれよ!!

後輩 だれに言ってるんですか?

先輩 国民。

(企画・文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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