映画専門図書館を、上手に利用する方法。松竹大谷図書館/フィルムセンター図書室

■「役に立たない映画の話」

松竹大谷図書館のスタッフは「気は優しくて、力持ち」。

後輩 しかし先輩も図書館が好きですねえ。

先輩 そもそもインターネットで調べ事をする。そういうのに抵抗があるんだよ。

後輩 なんでですか?便利じゃないですか。

先輩 誰が書いたか分からないことを、そのまま鵜呑みにするのは危険ってものだ。それを参考にして原稿を書く場合は特にそうだし、だいたいおれが求める情報は、ネット上にはない(笑)。

後輩 興行の歴史だとか、80年代の洋画のブッキングの数だとか、そんなデータばかり調べてるんだったら、普通の図書館じゃ物足りないんじゃないですか?

先輩 いやいや、おれ御用達なのは、映画関連書籍や雑誌を収蔵している映画専門の図書館だよ。

後輩 そんな図書館、あるんですか?

先輩 あるわい。まったくお前は不勉強だなあ。まずは松竹大谷図書館。ここは東銀座の駅からすぐ。東劇ビルの向かいのビルの3階にあるぞ。

後輩 そこに行くと、色んな映画の資料とかが読めるんですか?

先輩 もちろんだ。ただしここは閉架式というスタイルをとっていて、読みたい本を用紙に記入すると、スタッフの人が出してくれるというやり方だ。

後輩 書庫に入って好きなように読むことは出来ないんですか?

先輩 館内に図書カードやパソコンもあるから検索出来るし、司書の人に「こういう本を・・・」と相談してもいい。ここのスタッフの女性たちは、皆さん親切で明るい人ばかり。おれが頼んだ「ぴあ」のバックナンバー数年分とか、大量の書籍や雑誌を即座に出してくれる。ほんと、「気は優しくて力持ち」の女性ばかりで、頭が下がるよ。

後輩 そうすると、「この本を読みたい」「調べ物に必要」といった目的で行かないといけないわけですね。

先輩 図書館というものは、そもそもそういうものだよ。あ、それと館外への貸し出しもしていないから、そのへんも注意するんだぞ。

準備稿や予告編の台本も・・。

後輩 昔の映画雑誌やパンフレットとかもあるんでしょう?

先輩 それどころか、古い作品のプレスシートや、日本映画の旧作のシナリオもある。検索すると、思わぬシナリオに出会う可能性もあるんだよ、これが。

後輩 どういうことですか?

先輩 作品によっては、準備稿や予告編の台本もある。

後輩 それは面白そうですね。検索いっぱいしちゃおうかな。

先輩 ただし、館内の閲覧室はそれほど広くないから、ひとりでデスクを独占しないこと。これはマナーの問題だな。

後輩 分かりました。先輩の話を聞いていると、何か面白そうな映画の本と出会いたくて・・というよりも、「この本がどうしても必要」という、いわば調べ物をする時に、とても便利な図書館のようですね。

先輩 それはそうだよ。おれの著作はここの協力なくして成立しない。必要なページは1部だけコピーをとってくれるけど、モノクロでA4が1枚50円、B4は100円だ。しかも大量にコピーする必要があって、閉館時間までに受け取ることが出来ない場合は、後日郵送してくれるというサービスがあるんだ。これはありがたい。もちろん郵送料は追加されるが、目の前に京橋郵便局がある地の利を活かした、うれしいサービスだよ。ちょくちょくこれにお世話になるけど、頼んだ翌日には届くし。

後輩 気配りが行き届いた図書館のようですね。

先輩 うん。ひとりひとりの要望をかなえるために、親身になってくれるところだと思うよ。あと、映画関係だけじゃなくて、演劇に関する資料も揃っていて、館内を見ていると歌舞伎に関する調べ事をしている人も多いね。
http://www.shochiku.co.jp/shochiku-otani-toshokan/

フィルムセンター図書室では、映画雑誌読み放題!?

先輩 もう1箇所、映画専門図書館が京橋にある。東京国立近代美術館フィルムセンターの4階にある図書室だ。

後輩 フィルムセンターって、昔の映画とかを安い料金で上映しているところでしょ。

先輩 国立だからな。7階の展示室ではテーマを決めて展覧会もやっているし、収蔵している映画関係の書籍、雑誌、年鑑などもかなりの数に上るぞ。

後輩 ここも閉架式なんですか?

先輩 そうだ。ただここの場合、閲覧室が広いので、室内の本棚に「キネマ旬報」のバックナンバーが揃っていて、これは自由に読むことが出来るんだよ。

後輩 それはありがたい。

先輩 もちろんキネ旬だけでなく、映画関係の雑誌は最新号と過去数ヶ月のバックナンバーを読むことが出来る。あと、君には無縁だと思うけど、イギリスの映画雑誌なども本棚にずらり並んでいて、時々外国人の人がバックナンバーを読んでいるのを見かけるよ。

後輩 コピーサービスもやっているんですか?

先輩 やってるよ。カラー1枚100円、モノクロ1枚30円だ。ただしコピーの受付時間は午後零時30分から5時30分までで、それ以外の時間帯ではダメだ。

「調べる」ことの楽しさを知って欲しい。

先輩 それと、フィルムセンター図書室では君みたいに新しく刊行された映画関係の書籍も閲覧室に置いてあるから、君みたいに「なんか面白そうな本はないかなあ?」という人も自由に読めるぞ。

後輩 それは良いですねえ。公然と立ち読みが出来る (笑)。

先輩 ちゃんと座って読みなさい。フィルムセンター図書室の閲覧室のデスクは、電気スタンドもついていて使いやすく、窓から見える景色も良い。春先だと日当たりの良さに、ついうとうとしてしまうことも・・(笑)。

後輩 眠らない!!

先輩 とにかく、ネットでちゃちゃっと検索するのも手軽で良いかもしれないが、こういうところで過去の文献に当たると、より深い知識が身につくこと請け合いだよ。「調べる」ということはとても楽しいことだし、例えうまく調べられないとしても、図書館スタッフに相談すれば、ヒントが得られることも少なくないぞ。

後輩 そうですね。これは面白そうだ。今度行ってみますよ。

先輩 どちらも図書館だから、館内では静かに。それと収蔵文献は1点しかないものがほとんどだから、絶対に破損したり汚したりしないこと。これはもう、お約束だ。

後輩 フィルムセンターのホールで映画を見て、その帰りにここに寄るというコースも良いですね。

http://www.momat.go.jp/fc/research/library/

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(企画・文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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