マーベル初夏のアメコミ映画まつり第二弾!「ローガン」。衝撃的で感動的な、この映画を楽しむためには。

■「役に立たない映画の話」

(c)2016 TWENTIETH CENTURY FOX

「シリーズ全部見てなきゃ、楽しめない映画なんですか!?」

女の後輩 前回取り上げた「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」とは、また全然違うタイプの映画なんですね。「ローガン」。

先輩 これもまた、マーベルの作品なんだけど、「X-MEN」シリーズは、スタートが早かったことで、他のマーベル作品とは違う展開をしていたのさ。

女の後輩 それでウルヴァリンが「アベンジャーズ」に登場しないんですか?

先輩 「X-MEN」シリーズは、フォックスのフランチャイズで、マーベルとしてはその第1作の映画化が行われた時点で、まだ自社製作を行っておらず、映画化権だけをフォックスに渡した。そこから「X-MEN」がシリーズ化されていくわけだが、第4作「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」の次に2011年に公開された「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」は「X-MEN」シリーズのスピンオフという扱いで、その続篇「ウルヴァリン:SAMURAI」はそのスピンオフ第2弾。そしてその次に製作された2014年の「X-MEN:フューチャー&パスト」では2つの時代にまたがる物語で、新旧シリーズのキャラが総登場。続く2016年公開の「X-MEN:アポカリプス」で、「X-MEN」シリーズはようやく完結を迎えたってわけ。

女の後輩 なんなんですか、その複雑なシリーズ展開は!! これだからアメコミ映画のシリーズは・・もう!!結局「ローガン」は、シリーズのどこに位置するんですか!?

先輩 うーん・・まあウルヴァリンというキャラクターを認識していれば、シリーズをすべて見ていなくてもかまわないと思うけど、でも第1作と2作目あたりは見ておいたほうが良いかな。プロフェッサーXも登場するし。

女の後輩 だから長いシリーズものはイヤなんですよ!!特にアメコミ映画は、1本の映画に主役として出たキャラクターが、別の映画にちょこっと出ていたり・・。

先輩 でもなあ、「ローガン」を見るに当たって、やっぱり彼がそれまで壮絶な戦いを経験してきたことは、しかと認識しておいて欲しいぞ。でないと、彼がなぜ衰弱しているかが分からないし、その特殊能力がどんなものか分かっていないと、この映画が描いている深い哀しみが伝わってこない。

女の後輩 結局イチゲンさんお断りな映画なんですか? だったら「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」のほうが楽しめそう。

(c)2016 TWENTIETH CENTURY FOX

「ライダーキックが出来なくなった仮面ライダーと考えてみたら?」

先輩 いやいや、「ローガン」という映画は、アメコミ映画という枠を破った画期的な作品であると同時に、壮大な悲劇なんだよ。それを理解するためには、ある程度「X-MEN」シリーズについての知識は必要。というか、それがあったほうが楽しめる。よりこの映画の悲劇性にどっぷりと浸れるわけだよ。

女の後輩 悲しい作品なのは分かりますが、そのためにお勉強をするのは面倒ですよ、正直言って。

先輩 ならこういう風に考えたらどうかなあ?つまりローガンを日本の、例えば仮面ライダーとかウルトラマンだと考える。彼らが地球を守るために敵と戦い続けたあげく、心身共に大きなダメージを受けてしまい、その特殊能力にも限界が来てしまった。いうなれば「ローガン」という映画は、そういう筋立てだよ。

女の後輩 仮面ライダー・・クウガとかアギトとかをイメージすれば良いんですか?

先輩 1号とか2号とかV3のほうが、世代的に分かり安いと思うが(笑)。

女の後輩 そこまで古くはないですよ。確かにそう言われると、イメージしやすいかな。要するに、仮面ライダーの体が老化して、ライダーキックが出来なくなってしまう。つまり戦い続けた男の人が、最後の時を迎えようとしている映画なんですね。

先輩 そう。それはローガンだけじゃなくて、かつてX-MENたちを組織したプロフェッサーXことエグザビアの身にも起こっていて、彼も今や衰弱して療養中の身だ。

女の後輩 仮面ライダーで言うと、立花のおやっさんがヤバくなっているみたいなことですか?

先輩 古いね(笑)。まあそういうイメージで良いだろう。

(c)2016 TWENTIETH CENTURY FOX

「結局、単体の映画として面白いんですか?」

女の後輩 結局のところ、大きな爪を出して敵を撃退するヒーローが、治癒能力が衰えて死の危険にさらされている。そこに陰謀を企てる人たちが登場して、謎の少女をかくまったローガンが、最後の戦いに挑む。そういうストーリーなんでしょう?

先輩 まあそうなんだけど、その最後がねえ、とても余韻のある終わり方で、思わず涙してしまう人も少なくないんじゃないかと思うよ。

女の後輩 でも、それも「X-MEN」のシリーズを何本か見ていないと、味わえないわけでしょ? 感動するためには予習が必要なんでしょう? じゃあこの映画単体としてはどうなんですか?

先輩 いやいや、1本の映画として完成度は高いし、何よりもクライマックスからラストにかけては感動的で衝撃的だ。けど、それを充分に味わうためには・・・。

女の後輩 過去のシリーズ作品を見たり、知識が必要だというんでしょう? なんだかややこしいですねえ。もっと単純に行きませんか?

先輩 まあそうだけどさあ・・・逆に君が過去のシリーズ作品を一切見ずに、知識さえも頭の中に入れることなしに「ローガン」を見てご覧よ。そちらのほうが新鮮な発見や喜びがあると思うよ。

女の後輩 先輩の言うその壮大な悲劇性が、どこまで味わえるか、じっくりと見聞してみますよ。

先輩 もしそういう状態で君が見て、「ローガン」を面白い。とても感動的だと思ったのならば、この映画はマーベルやアメコミ映画のファンだけではなく、もっとたくさんの観客を獲得出来るだろうね。責任重大だぞ、おい(笑)。

女の後輩 プレッシャーかけないでくださいよ。私としても、「ローガン」が面白かったら、逆にこれまでの「X-MEN」シリーズを見たくなるかもしれません。そういう見方があっても良いですよね。

先輩 もちろんだ。映画をどう見るかなんて、鑑賞者の自由だよ。まあとにかく、やってご覧。成果のほどを楽しみにしているよ。

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(企画・文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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