『ローガン・ラッキー』はダメ人間版の『オーシャンズ11』だ!?その見どころを解説!

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11月18日(土)より、映画『ローガン・ラッキー』が公開されます。本作は『オーシャンズ11』シリーズのスティーブン・ソダーバーグ監督が、4年前の引退宣言を撤回してカムバックした最新作。映画批評サイトRotten Tomatoesで93%の満足度を獲得した本作の魅力がどこにあるのか、ネタバレのない範囲でたっぷりとお届けします!

1:犯罪のド素人集団だからでこその“おかしみ”と“ハラハラ”があった!

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『オーシャンズ11』シリーズは、犯罪のスペシャリスト集団による“華麗”とも言える強奪作戦が見どころになっていましたが、対して『ローガン・ラッキー』のチームを構成するのは犯罪のド素人集団、しかも“ダメ人間”の集まりであるということがミソになっています。

何せ、主人公は離婚された上に、理不尽な理由でリストラされ、金ナシ、職ナシ、家族ナシという最悪な状況。その弟は戦争で片腕を失った冴えないバーテンダー。そんなダメダメな兄弟が、彼らよりもさらにポンコツな仲間(元覚せい剤中毒の田舎者)を雇い、一発逆転を狙って全米最大級のカーレースの売上金を強奪しようとする、という物語なのですから。観ている間、「本当に大丈夫なの?」と良い意味で不安にさせてくれます。

この強奪作戦に加えて、彼らは「伝説の爆破師を脱獄させて、爆破だけ手伝ってもらって、終わったら監獄に戻す」という、ムチャすぎるミッションにも挑まなければならなくなります。誰もが「無理だろ!」とツッコみたくなることは間違いありません。

これこそが、『ローガン・ラッキー』の面白さ。『オーシャンズ11』シリーズの主人公たちはプロフェッショナルなので、その作戦や盗みの手腕には当然のように“安心感”がありましたが、『ローガン・ラッキー』の主人公たちにはそうした堅実さが欠落しています。しかも、物語上でもあえて“事前に作戦の詳細を説明しない”うえ、とんでもないアクシデントにも遭遇するため、その作戦が半ば“行き当たりばったり”にも思えてきて、どんどん不安感が増してくる……。主人公たちが犯罪のド素人集団の上にマヌケだからこそハラハラする。『オーシャンズ11』シリーズでは有りえなかった笑いとサスペンスがてんこ盛りなのです。

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ちなみに、ソダーバーグ監督自身、本作について「『オーシャンズ11』の従兄弟版だ」と表現した一方で、「ただチームにはお金も最新技術もない、まるで“オーシャンズ”の真逆のような作品でもある」とも語っています。まさにその通り、ソダーバーグ監督らしい軽妙な語り口やチーム強奪ものの面白さはそのままに、『オーシャンズ11』シリーズの華麗さとは真逆の、泥にまみれたような人間くささやおかしみを、たっぷりと楽しめるのが、この『ローガン・ラッキー』なのです。

2:超豪華俳優が共演! ジェームズ・ボンドや『スター・ウォーズ』シリーズのあの人も!

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本作の大きな目玉と言えるのが、“超”がつくほどの豪華キャスト。主人公のダメオヤジを演じるのは『G.I.ジョー』や『フォックスキャッチャー』のチャニング・テイタムで、その弟が『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』および『最後のジェダイ』に出演しているアダム・ドライバーなのですから!

チャニング・テイタムは、同じくソダーバーグ監督とタッグを組んでいた『マジック・マイク』で美しい肉体美を披露していましたが、今回はその筋肉が微塵も役に立ちません。出で立ちから言動まで「あっ、ダメだこいつ」な印象ですが、同時にかなり感情移入がしやすい、人間臭いキャラでもあるので、誰もが好きになれるのではないでしょうか。

アダム・ドライバーは、今年公開された『パターソン』の平凡なバス運転士にも通じる、良い意味での地味な役(冴えないバーテンダー)にピッタリとハマっています。その憂いを帯びた表情は、『フォースの覚醒』のヘタレな悪役カイロ・レンにも見えてきて、なんだか母性本能がくすぐられます。ダメ男が好きだという女性にこそ観てほしいですね。

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極めつけが、伝説の爆破師を演じるダニエル・クレイグ! 彼は刑務所の中で白黒の囚人服を着たまま登場し、なぜか板東英二のごとくゆで卵を要求し、時には「ヒャッハー!」と北斗の拳のザコキャラのような笑い声をあげます。いやいや、ジェームズ・ボンドに何させてんねん! いいのかこんなことして!(褒めています)

その後も、「ボンドは絶対にこんなこと言わない」な言葉をバンバンと放つので、『007』のファンこそが大いに笑えるのではないでしょうか。

脇を固める女優陣も、また豪華です。『ボーイズ・ドント・クライ』のヒラリー・スワンク、『バットマン ビギンズ』のケイティ・ホームズ、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のライリー・キーオ、『エイリアン: コヴェナント』のキャサリン・ウォーターストンと……「えっ?この人がこんな感じに出てくるの?」と驚けるでしょう。特に、ヒラリー・スワンクの「マジメで粘り強いけど、周りをバカにしている(しかも反対に周りにバカにされる)」感じのキャラは必見ですよ。

3:チャニング・テイタムの経歴が元ネタだった? 共感できる理由はこれだ!

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本作『ローガン・ラッキー』の脚本は、なんと新人脚本家であるレベッカ・ブラントの処女作です。彼女は「どこの監督に持ち込めば良いのかわからなかった」ほどに脚本の売り込み方も知らなかったのですが、その脚本を読んだソダーバーグ監督に「とてもワクワクした。2週間経った頃は、この作品を他人に監督させたくないと思った」と言わしめたほど完成度が高かったのだとか。

実は本作の脚本は、主演のチャニング・テイタムの意外な経歴にインスパイアされていたのだそうです。そのチャニングの経歴というのが、「アメフトの奨学金を得てフロリダでプレイすることになっていたが、シーズン開始前に膝を壊してしまい、ストリッパーになっていた」というもの。「もしも、チャニングがストリッパーにならずに、田舎に帰っていたら……」という“IF”が、『ローガン・ラッキー』の物語になっているのです。

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また、プロットには実際のニュースも取り込んでいたそうです。そのニュースというのが、「埋立地に作られたサーキット場に陥没穴ができてしまい、その修復のために失業中の炭鉱作業員が雇われた」というもの。レベッカ・ブラントは、自身が代々地元の炭鉱で働いていた家庭で育っていたので、そのニュースをとても身近に感じていたのでそうです。

『ローガン・ラッキー』がサーキット場での現金強奪という犯罪を描いていながらも、どこか親しみやすく、そして共感ができるのは、こうして“挫折をしたことがあるスターの経歴”や“身近な出来事”を下敷きにして、プロットを作り上げたことにもあるのでしょう。それでいて先が読めない驚きの展開も満載で、娯楽性の高さと、人間ドラマの面白さが両立している、誰もが楽しめる物語が構築されている、というのは賞賛するしかありません。

重圧な雰囲気や壮大さはまったくありませんが(だからでこそ)、ダメダメな人たちに共感し、クスクス笑って、時にはハラハラして、そしてホンワカとあたたかい気持ちになれる。そんな映画を観たいという方に、この『ローガン・ラッキー』をおすすめします。

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(文:ヒナタカ)

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