「リアリティの追求よりも絆に重みを」ジョン・ウー監督が語る映画『マンハント』への思い

2月9日(金)から公開の映画『マンハント』。高倉健主演でも映画化された西村寿行原作の『君よ憤怒の河を渉れ』を再映画化したサスペンス・アクション作で、ダブル主演をつとめるチャン・ハンユーと福山雅治ら豪華俳優の共演も話題を呼んでいます。

今回は、本作のメガホンをとったジョン・ウー監督を直撃。『男たちの挽歌』『レッドクリフ』など、数々の名作を世に放ってきた巨匠が本作に込めた思いを伺いました。

──今回、ダブル主演をつとめたチャン・ハンユーさん、福山雅治さんについてお聞かせください。

ジョン・ウー監督(以下監督):チャン・ハンユーは中国で非常に人気があり、強い男性を演じることが多かったのですが、今回、この役を演じることは彼のキャリアにとてもプラスになってくると思います。

(C)2017 Media Asia Film Production Limited All Rights Reserved.

福山雅治さんは、以前CMで一緒に仕事をしたことがあり、そのときから高く評価していました。非常に感受性が豊かで、他の人に対しても配慮を持っている。彼を見ると1960年代のハリウッドのスターたちを思い出します。いつかぜひ映画を一緒にやりたいと思っていました。

──オリジナルとなる映画『君よ憤怒の河を渉れ』では、主人公の杜丘が真実を追求していくとともに、ヒロイン・真由美とのロマンスも描かれていますが、一方本作ではドゥ・チウと矢村の友情や信頼がメインとなっているように思うのですが、監督がこの作品で訴えたかったことは?

監督:小説の再映画化を決めたときに、ストーリーの展開も新たに原作の小説に基づいて作ることになったんです。そのため、映画のリメイクというより原作小説からのリメイクになっています。

なので、原作での杜丘と真由美のロマンスもとてもいいと思っていたのですが、どちらかというと、今回は愛情よりも友情、ドゥ・チウと矢村の絆、異なる背景を持つ二人であっても絆を育むことができるというドラマに焦点をあてていきました。

──本作は、女性たちの活躍も非常に印象的でした。それぞれに魅力的な女性のキャストが揃った作品作りはいかがでしたか?

監督:本作に登場する女性たちはそれぞれ多彩な個性を持っています。ハ・ジウォンが演じた殺し屋は殺気に満ちていますが、一方で自分の運命すらコントロールできない非常に悲しい人。アンジェルス・ウーはプロの殺し屋そのもので、徹底的に敵をやっつける厳しさを見せていました。ヒロインの真由美は愚直であり、その愚直さがあるからこそ絶対に負けないというキャラクターです。

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今回、たくさんの女性を登場させたのは、私は今までの作品で男性しか撮れないとよくいわれてきたので、女性も同じように撮れるのだとアピールしたかったからですが、実際に撮ってみてもっと撮りたいと思いました。なので、次回作も女性が主人公のアメリカ映画です。

──國村隼さん演じる天神製薬の社長・酒井は会社人としては非常に切れる人物ですが、反面、息子に対しては甘い一面があります。オリジナルでも真由美の父親が子供に甘いという面が描かれていますが、監督ご自身もお子さんがいらっしゃる立場として、そうした気持ちを理解しながら、酒井親子のドラマを描かれたのでしょうか?

監督:酒井を演じた國村さんとは、25年前に一度仕事をしたことがあり、今回は友人としてお願いしましたが、またこのような形で協力できたことを本当にうれしく思っています。

酒井の父親としての気持ちはよくわかりますし、自分も同じような気持ちにときどき陥ります。私も自分の仕事や夢に時間を費やして、子どもたちと過ごす時間があまりなく、本当に申し訳ないといつも思ってきました。

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私自身、ガンにかかったときに、家族が一生懸命私の世話をしてくれて、そこで初めて気がついたことがたくさんありました。今まで家族に対して自分があまりしてあげられることがなかったので、これからは彼らの悩みを聞いてよくしてあげることなどに時間を使いたいと思っています。

──本作はカメラワークの動きが激しい映画で、映像のエフェクトも使われていましたが、導入した狙いは?

監督:今回は、ロケをした都市からいろいろなインスピレーションを受けました。大阪は活力に満ちた非常に魅力的な場所だったので、カメラワークも動きがあるものにしました。写実よりも動きがあるものに私は重みを置きたかったので、場所や人物についてはリズミカルな描写を心がけ、エフェクトもそうした狙いがあってのことです。

──監督は、かつて『ストラングルホールド』というビデオゲームを作られていますが、『マンハント』をゲームにしたいと考えていますか?

監督:それはあったらいいですね。今までのアクション映画は、ハードで荒々しいところがありますが、『マンハント』の場合は、どちらかというと漫画的なところがある作品でもありますし、ゲームへの興味もあります。

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──『マンハント』は激しいアクションシーンが展開する中でも、登場人物たちの絆のドラマがしっかりと浮き彫りになるのを感じました。アクションとドラマのさじ加減というのは、難しいところだと思いますが、監督が映画を作る上で心がけていらっしゃるのはどのようなことでしょうか?

監督:本作では、ロマンチックで漫画的なところも要所に盛り込みました。登場人たちの絆も重要なポイントであり、リアリティを追求するよりも絆を感じてもらうことに重点を置いた。

私は今までラブストーリー、陰謀、サスペンスなど、いろいろな要素が入った映画を撮ってきましたが、その中で、変わらないものがあります。それは、友情、正義、人と人の絆、愛、美しさといったものを表現したいということ。本作もドゥ・チウと矢村が互いに誤解があり敵視していたのが、次第に理解しあい協力し合う関係になっていくというもので、テーマはあくまでも“友情”です。

──最後になりますが、「シネマズby松竹」の読者に向けて、メッセージをお願いいたします。

監督:この映画は、文化や社会背景の異なる二人に焦点をあてて、彼らの友情、絆を描いていますが、今回10数年ぶりに、また自分のスタイルの映画をもう一度撮ることができて非常にうれしく思っています。ロマンチックで情熱的で、激しくて新しいアクションが盛り沢山なので、ぜひ、楽しんでほしいです。

──ありがとうございました。

映画『マンハント』は2月9日(金)より、TOHOシネマズ新宿ほか日本公開。

http://gaga.ne.jp/manhunt/

(取材・文:田下愛)

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    ライタープロフィール

    田下愛

    田下愛

    フリーランス・ライター。雑誌、書籍、Webメディアで、幅広いジャンルの仕事をこなして活動中。ファンタジー映画が大好物で、『オズの魔法使い』『ナルニア国物語』『アリス・イン・ワンダーランド』など、魔法やおとぎの国を扱った作品にはすぐ飛びついてしまいますが、一方、『レインマン』のような人間をきっちり描いたドラマも好き。石ノ森章太郎先生をリスペクトする昭和特撮フリークでもあります。

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