『マスカレード・ホテル』感想、木村拓哉が2019年を華やかにスタート!

Ⓒ2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 Ⓒ東野圭吾/集英社 

正月三が日も過ぎたところですが、2019年はまだまだ始まったばかり。このひと月くらいは、どこかしら華やかな気持ちで過ごしたいものです。

そんな気持ちを大いに持続させてくれる格好の映画が、木村拓哉をはじめとするオールスター・キャスト大作『マスカレード・ホテル』です。

累計310万部を突破する東野圭吾のベストセラー小説シリーズの第1弾を原作とするこの作品、公開は1月18日と、まだちょっと先ではあるのですが……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街353》

こちらもせっかくの2019年の初原稿、華やか気分を盛り上げるためにも、今からご紹介しちゃいましょう!

エリート刑事がホテルマンとして
豪華ホテルに潜入捜査!

『マスカレード・ホテル』のストーリーは……都内で3件の殺人事件が発生し、その事件現場に残されていた不可解な数字の羅列から、これらが予告連続殺人事件であると断定。

警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介(木村拓哉)は、その数字が次の犯行現場を示している事に気づき、次なる4番目の犯行がホテル・コルテシア東京であると睨みます。

かくして警察はホテル・コルテシアの潜入捜査を敢行。

新田は同ホテルの山岸尚美(長澤まさみ)の指導を受けながら、フロントクラークとして犯人を追及していくことになりますが、利用客の“仮面”を剥がそうとする新田と、「お客様の安全が第一優先」とするポリシーから“仮面”を守ろうとする尚美は、まさに水と油で衝突することもしょっちゅう。

ホテルを訪れる利用客も、それぞれどこかクセ者風で、誰が犯人でもおかしくないほどに怪しい!?

ちなみにホテルを訪れる人々は濱田岳、前田敦子、笹野高史、高嶋政宏、菜々緒、宇梶剛士、橋本マナミ、田口浩正、勝地涼、生瀬勝久、松たか子など。

果たして犯人はこの中に?

いや、もしかしたら石橋凌や鶴見辰吾、東根作寿英、石川恋などホテル側の人間、もしくは意外と渡部篤郎や篠井英介、梶原善、泉澤祐希、そして小日向文世など警察内部の者の犯行だったりして?

それとも実は、あのお笑い界の大御所が真犯人!?

とにもかくにもお正月映画としてふさわしい華やかなオールスター・キャストで攻めるこの作品、ミステリ映画としてこれ以上の筋を明かすのはルール違反なので避けたいところですが、要するに木村拓哉がホテルのフロントクラーク=本作のホストとして次々と登場する豪華キャストを出迎えながら犯人を突き止めていく構造になっていて、そこが本作のゴージャス感を否が応にも高めてくれています。

また彼の相棒(?)となる生真面目な尚美に扮する長澤まさみとのデコボコ・コンビによるバディ・ムービーとして成立させているところも、映画の王道として頼もしいところ。

監督は『HERO』シリーズなど、木村拓哉とは20年以上も共に作品を作り続けて来た鈴木雅之なだけに、木村の個性を知りつくした上での彼の新たな魅力の描出に腐心しつつ、あたかも『オリエント急行殺人事件』などオールスター密室空間ミステリ映画としての情緒を構築。

鈴木作品に欠かせないシンメトリの画面構図や、それに基づいて東宝スタジオに建てられたホテル・コルテシア東京の豪華絢爛たる美術セット、さらには名キャメラマン江原祥二による縦横無尽の移動撮影、佐藤直紀による流麗な音楽など、スタッフワークからして観客を超豪華ホテルに誘う体制が出来上がっています。

求められているもの以上の
高みをめざす木村拓哉の姿勢

さて、昨年『検察側の罪人』で観る人に善悪の定義を問う難役に果敢に挑み、役者として大いにステップアップした木村拓哉ですが、今回はむしろ従来の“キムタク”としてのイメージを大事にしてファンの期待に応えつつ、その上で新たな一面を見せようと奮闘しているところが好もしく垣間見える好演です。

刑事役は意外にもこれが初めてとのことですが、一方で本作はホテルマンを経験しながら人間として成長していくという側面も巧みに体現しています。

これは誉め言葉と捉えていただきたいのですが、彼が扮する新田刑事は最初ワイルドな風貌なのに、それが潜入捜査のために髪をいやいやホテルマン・カットにさせられた直後の姿をパッと見たとき「わ、全然似合ってない!」と思ってしまいました!?

しかし、映画の進行とともにその姿がどんどん似合って見えていきます。そこに本作の演出のポイント、演じる上でのポイントが秘められているようにも思えてなりませんでした。

役者・木村拓哉の作品を見るたびに唸らされるのは、自分が何を求められてその作品にキャスティングされているのかを十分把握した上で、その域からさらに数段超えるための努力を惜しまない、いわば常に高みを求め続ける姿勢にあるように思えます。

今回に関しては『HERO』などこれまで彼が築き上げてきたイメージを大事にしながら(その意味では『検察側の罪人』とは真逆のスタンスであり、見方を変えれば『検察側~』あればこその本作ともいえるかもしれません)、東野圭吾原作作品ならではの華やかなオールスター・キャストの代表として、一方では彼らを迎えながら個々の魅力を引き出すホストとしての役割を自分に課していく姿勢が効を奏しているのです。

質の高い日本映画がコンスタントに作られるようになって久しい昨今ですが、映画ならではのゴージャス感を体現した作品およびスターとなると最近なかなかお目にかかりにくくなってきている中、木村拓哉のような存在は実に貴重に思えてなりません。

スターである己を自覚しつつ、アクターとしての高みを目指し続ける彼の姿勢は、やがて日本映画全体にさらなる質の高い華やかさを与えてくれるのではないか。

そういった期待もまた、2019年のスタートを新鮮に、そして華やかにシンクロさせてくれる作品です。

木村×長澤コンビによるシリーズ化も大いに望みつつ、今は18日の公開に向けて本作および新年への夢を膨らませていただけたら幸いです。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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