ついに完結!『メイズ・ランナー 最期の迷宮』が誘う最後の迷宮とは?

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世界中の若者たちを熱中させたSFサバイバル・アクション映画『メイズ・ランナー』シリーズが、第3弾『メイズ・ランナー 最期の迷宮』でいよいよ完結を迎えます。

本来は2017年に公開予定だった本作品、主演俳優ディラン・オブライエンが2016年3月の撮影中に大怪我を負ったことで製作が延期になるなど、一時は完成が危ぶまれていましたが、その後の奇蹟的回復もあって、およそ1年ぶりに撮影再開。

全米では2018年1月12日より公開の運びとなり……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.313》

日本でもいよいよ6月15日、全国一斉公開されます!

第1作は壁の中、第2作は砂漠と
迷宮からの脱出を試みる若者たち

まずはこれまでのシリーズの流れを振り返ってみましょう。

『メイズ・ランナー』はアメリカの小説家ジェームズ・ダシュナーが2009年に発表したSF小説3部作(その後スピンオフ作品が2作発表)の映画化です。

四方を壁に囲まれた広場“グレード”。そこにはなぜか記憶をなくした若者が毎月送り込まれてきます。

壁の中は複雑な迷路(メイズ)になっていて、しかも日々その構造を変化させ、さらにはその中にはモンスターも待ち構えているので、若者たちは外に出ることができません。

そんな中、新たにグレードに送り込まれてきたトーマス(ディラン・オブライエン)は、迷路の秘密を探る“ランナー”のひとりとして、仲間たちとともに決死の脱出を試みます。

2014年に公開された映画版第1作『メイズ・ランナー』は世界中で大ヒットとなり、原作同様に3部作としての構想を実現させることが可能となりました。

かくして2015年に公開された第2作『メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮』ですが、ようやく壁の外に出られたトーマスたちは、まもなくして“WCKD(ウィケッド)”という謎の組織に拘束され、そこで自分たちがフレアという感染病の治療薬開発のための実験体であったことを知らされます。

組織から抜け出したトーマスたちは灼熱の太陽の下、広大なる砂漠という名の迷路をさまよいつつ、WCKDに対抗するレジスタンス集団“ライトアーム”と合流しますが……。

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反体制&文明批判的要素を抱く
青春SF映画シリーズ

そして第3弾完結編『メイズ・ランナー最期の迷宮』では、これまでのさまざまな謎を解き明かしながら、トーマスたちの最後の試練が描かれていきます。

まずは第2作の最後でWCKDに囚われてしまったミンホ(キー・ホン・リー)らの救出作戦が開始されますが、果たしてミッションは成功するか否か? 

仲間を裏切り、WCKD側に付いたヒロイン、テレサ(カヤ・スコデラリオ)の真意は?

そして第1部はコンクリートの壁の中、第2部は砂漠を迷路に見立ててドラマは進んでいきましたが、第3部の迷宮となるものは?

第1部からずっとトーマスと行動を共にしてきたニュート(トーマス・ブロディ=サングスター)や、第2部から登場したもうひとりのヒロイン、ブレンダ(ローサ・サラザール)など、各キャラクターの魅力も如何なく発揮されているのも嬉しい限り。

さらに今回は、あっと驚くキャラクターも登場しますが、それも見てのお楽しみ! ということで。

シリーズ3作品すべてを演出したウェス・ポール監督の采配は堅調で、スリリングなタッチの中にも極限状況下に置かれた若者たちの息吹を感じさせる青春SFアクション映画としての情緒を高めてくれています。

さて、こういった反体制的SFサバイバル映画のジャンルは古くからあるもので、特に1960年代後半から70年代前半にかけては『猿の惑星』(68)『赤ちゃんよ永遠に』(72)『ソイレント・グリーン』(73)などSFを通して文明批判を訴える作品が数多く作られていましたが、1977年の『スター・ウォーズ』の登場以降はなりを潜めていました。

それが21世紀に入り、9・11同時多発テロ事件などを経て、再び文明批判的SF作品が増えてきたような感もあります。
『猿の惑星』シリーズのリニューアル3部作(11・14・17)なども、その象徴といってもいいでしょうし、昨今のゾンビ映画ブームなどもそういったものと無縁ではないのかもしれません。
(『メイズ・ランナー 砂漠の迷宮』ではフレアに感染した人々が、やがてゾンビのように凶暴化して人々に襲いかかります)

また日本でも『バトル・ロワイアル』(2000)以降、若者たちが理不尽なデス・ゲームに巻き込まれていく作品が増え、今では一般的なものとなって久しいものがあります。

やはり世界的に閉塞的な状況が続く中、未来に対する漠然とした不安などが、こういったジャンルを蘇らせては若者たちの心に響いているのかもしれません。

『メイズ・ランナー』シリーズも、エンタテインメントの形を借りながら、大人たちの理不尽な政策によって先行きが見えなくなって久しい未来社会を、仲間たちの連帯をもって打破していくものです。

こういった作品が広く支持されるということは、やはり今の若者たちが息詰まる現状を打破したいという願いの表れなのかもしれません。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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