『モアナと伝説の海』が傑作である10の理由を全力で語る!

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現在公開中の『モアナと伝説の海』が大好評で迎えられています。その魅力はいくら挙げてもキリがないほど!以下から、字幕版と吹替版を観た筆者が、その完成度の高さと面白さをたっぷり語ります!作中のセリフや楽曲に少し触れているところはありますが、大きなネタバレはありません!

1:3DCGアニメでできる到達点!“水”や“髪”の表現に注目!

本作で誰もが賞賛するのは、3DCGアニメーションとしての抜群の質の高さでしょう。特に“水”の表現は本物と見間違うほどの美しさであり、髪にまとわりつくときの“濡れ”の表現に至るまで、妥協がまったくありません。

それでいて、水に関する画にはアニメでなければ成し得ないファンタジックで幻想的な光景が満載、しかも“コミカルさ”までも備えていました。たとえば、本作の公式ページで紹介されているキャラクターに“海”がいて、観る前は「海が主要キャラってシュールだなあ」と思っていたのですが、本編ではこの海がめちゃくちゃキュートですぐに大好きになることができるのです。“無機質さ”がまったくなく、どのシーンもキャラも“血が通っているか”のようであることも、本作の大きな魅力でしょう。

なお、“髪”の表現は3DCGアニメにおいてもっとも表現の難しいものの1つだであり、『塔の上のラプンツェル』のスタッフたちも21メートルにもなるヒロインの髪の毛のライティング(光の当たり方)や質感などの表現のため、苦労に苦労を重ねたのだとか。本作『モアナ』においても、その髪への徹底したこだわりは半端なものではありません。主人公のモアナが海辺に行ったときの日の光の当たり方、夜に火の近くに行ったときなどの髪のツヤなど、1つとして違和感を覚えることはないでしょう。

本作は、ものすごい技術を持った精鋭たちを総動員して、時間とお金と労力をかけて、やっとの思いで作られたという事実は、長めのエンドロールにびっしりと書かれたスタッフの数の多さだけでもわかるでしょう。ライティングという一側面だけでも、それに関わった技術者の数は60名を超えていたりするのですから!

監督の1人であるジョン・マスカー氏が「手描きアニメの『リトル・マーメイド』の100倍大変だった」と語るだけのことはあります。この3DCGアニメでできる表現の到達点と言える『モアナ』の世界を、劇場で体験しないのはもったいなさすぎるのです!

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2:『アナと雪の女王』と同じ方向性?キャッチーだけど“切なさ”もある楽曲の数々!

本作の楽曲の素晴らしさは、もう言うまでもありません。そのメロディーのキャッチーさもさることながら、『アナと雪の女王』(以下『アナ雪』)と同様の“ミュージカル映画でしか成し得ない”魅力があることにも感動しました。具体的には、『アナ雪』の「Let It Go」と、『モアナ』の「Where You Are」は、“楽しい楽曲だけど、どこか寂しさを感じさせる”ことが共通しているのです。

『アナ雪』でエルサが「Let It Go」を歌ったのは、外界を拒絶する氷の城を作り上げる時でした。メロディーはポジティブのようでも、歌詞およびエルサの抱えている感情は複雑であり、決して“良いこと”とばかりとは言えません。

『モアナ』で島の住人(とモアナ)が「Where You Are」を歌っているのは、島の生活がいかに素晴らしいか、そこには何でもある、という一聞するとポジティブなメッセージです。しかし、この時に主人公モアナは島の外の海に出たいという秘めた想いも持っている……“実際に持っている感情”と“歌われている曲”にギャップがあり、ポジティブとネガティブが入り混じったような“複雑な感情”を表現できています。これは、ミュージカル映画でしかできないことです。

そして、メインとなる楽曲「How Far I’ll Go」が、この「Where You Are」の“アンサーソング”と言える内容になっていることがまた素晴らしい!「Where You Are」は「ここにいる理由がある」ことを、「How Far I’ll Go」は「空と海が出会う線(水平線)が私を呼んでいる(でも行けるかはわからない)」ことを歌っており、よりモアナの“本当の想い”が伝わるようになっているのです。

しかも、この「How Far I’ll Go」は作中で何度か歌われており、それぞれのシーンにおけるモアナの感情が異なっているため、歌に込められた“本質”も違い、もたらされるカタルシスもまた別個のものになっているのです。1つの歌にも多様な解釈や登場人物の想いが見える……ほかの娯楽媒体では絶対に体験できない、まさに“ミュージカル映画だけの感動”がそこにはありました!

3:吹替版のここが素晴らしい!巨大なカニのウザさが最高だ!

本作は吹替版と字幕版それぞれが公開されています。どちらも素晴らしいクオリティーでした!

吹替版で主役の2人を演じているのは、“ミュージカルのど自慢”で最優秀賞を受賞した現役大学生の屋比久知奈(やびくともな)さんと、歌舞伎俳優の尾上松也(おのえまつや)さん。それぞれの歌声および演技力の素晴らしさもさることながら、(こう言うと失礼ではありますが)一般的な知名度を度外視した、実力のある若手の方を抜擢するキャスティングも賞賛すべきでしょう。

さらに特筆すべきは、自己顕示欲が旺盛な巨大なカニ“タマトア”を演じてたミュージシャンのROLLYさんでしょう。これがもう……はっきり言ってウザい(褒めています)!イライラする(褒めています)!キャラクターおよび楽曲が本来持っているムカつきっぷりを十分すぎるほどに理解し、これ以上なく表現できている!このシーンだけでも、吹替版を堪能する価値があります!

なお吹替版の“意訳”もよくできています。たとえば、モアナがおバカなニワトリのヘイヘイのことを「能ある鷹は爪を隠すって言うでしょ?」と言っていたのは吹替版オリジナルだったりします。終盤には“物語の根幹”に関わるセリフにもとあるアレンジがあるので、字幕版しか観ていない人にもぜひ確認してみて欲しいです。

加藤ミリヤさんが歌う、日本版エンドソング「どこまでも 〜 How Far I’ll Go〜」も、本編とはまた違った歌い方、伸びのある歌声が素晴らしいですよ。

4:字幕版の“相棒”を演じているのはロック様!収録時のエピソードがかわいい!

字幕版で素晴らしいのは、英語の響きの美しさ。楽曲「How Far I’ll Go」ももちろんですが、終盤で“誰か”に訴えかけている、とあるセリフの反芻には、吹き替え版とはまた違う感動がありました。

字幕版で主役の2人を演じているのは、2000年生まれで若干16歳(製作時は14〜15歳)の新鋭のアウリイ・クラヴァーリョ、そしてアクション映画ファンなら誰しもが憧れるドウェイン・ジョンソン(通称:ロック様)。2人は(その他のキャストのほとんども)キャラクターと同じポリネシア系だったりします。

どちらも演技と歌声が素晴らしいのは言うに及ばず。実はロック様は今までの俳優人生で今回の声の演技がもっとも難しいと思ってナーバスになっていたそうで、繰り返しほかのキャストに「良いパフォーマンスできていたかな?」と聞いていたそうです。かわいい、かわいいよロック様!演技も歌も最高に良かったよ!

ちなみに、字幕版では吹替版ではわからなかったジョークもありますよ。相棒のマウイがモアナに出会い、オールを指差したときのセリフは、思いっきり“現代の皮肉”になっていて笑ってしまいました。

5:実は海洋アドベンチャー!冒険の幕開けだ!

本作は日本版のポスターや特報では、“南の島を舞台にした愛の物語”な印象があるかもしれません。しかし、実際は「選ばれし者が世界を救う!」な厨二……じゃなかった、王道的な冒険活劇であり、作中ではハラハラドキドキするスペクタクルシーンが満載なのです。

それでいて、凸凹コンビが共に困難に立ち向かっていくという“バディもの”の魅力もたっぷり、一方で“これが運命な人なのね!”な恋愛やロマンスはほとんどありません(もちろんいい意味で)。「冒険だ!」「私たちが世界を救うんだ!」なテンションで観るのがおすすめです!

6:テーマは“自己実現”、観た後は勇気をもらえる!

昨今のディズニー映画はテーマが明確なうえ、そのテーマに真摯に向き合っています。今回のテーマは“自己実現”であると言っていいでしょう。主人公のモアナの行動から、人間としてどのように生きるか、どのように自己の能力や個性を実現させていくかを“学べる”作品に仕上がっていました。

そのようなことを促す自己啓発本を読むのももちろんいいですが、『モアナ』では2時間に満たない時間で、しかも極上のアニメを楽しみながら、これ以上なく自己実現のための勇気をもらえるのです。娯楽でありながら、人生を変えるほどの教訓もある。これこそ「映画」というのもの醍醐味です!

また、監督およびスタッフがポリネシアの文化を学び、それを物語にしっかり取り入れていることも素晴らしいですね。その土地に根付く風習や価値観を、時にはリアルに、時にはデフォルメしてテンポよく見せる手腕にも惚れ惚れするしかありません。

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