『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』予習にオススメな2本の映画!

クエンティン・タランティーノの9本目の監督作品にして、ファン待望の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が、いよいよ8月30日から日本でも劇場公開されました。

先日行われた、タランティーノ監督とレオナルド・ディカプリオの来日記者会見の様子をニュースでご覧になって、作品への期待が高まった方も多いのではないでしょうか。

今回は舞台が1960年代末のハリウッド映画界ということで、作品中にも当時の映画スターや作品へのオマージュが散りばめられているだけに、劇場での鑑賞前にその元ネタや当時の社会状況を知っていれば、より作品世界に没入できて面白さが倍増することになる本作。

そこで今回は趣向を変えて、『ワンス~』鑑賞前に観ておくと、より作品世界や当時の状況の理解に役立つ作品を2本ご紹介したいと思います。

マット・ヘルム・シリーズ4作目『サイレンサー 破壊部隊』

まず1本目は、ディーン・マーティンがアメリカの対スパイ情報局I.C.E.(Intelligence and Counter Espinage)の腕利き情報部員、マット・ヘルムを演じる『サイレンサー』シリーズの第4弾として製作された、『サイレンサー 破壊部隊』です。

この作品が『ワンス~』内に登場する理由は、もちろんシャロン・テートの出演作という理由もありますが、同時に本作のアクション指導をブルース・リーが担当しているからに他なりません。

ただ、残念ながら映画の中ではこの部分が説明されていないため、シャロン・テートとブルース・リーが武術の練習をしているシーンが一瞬挿入される意味が、観客によっては意味不明となってしまう危険性を孕んでいるのです。

サイレンサー 第4弾 破壊部隊 (字幕版)

本編中でも『サイレンサー 破壊部隊』の実際の映像が使用されているので、ブルース・リーのアクション指導をシャロン・テートがどのように再現したかが分かるのも、ファンにとっては嬉しいところなのですが、実はこの『サイレンサー 破壊部隊』でシャロン・テートが演じた、フレヤのドジなキャラクターが好評だったため、彼女が再登場するシリーズ第5作目として、『サイレンサー 掠奪舞台』(原作は1964年に発表された小説「The Ravagers」)が製作される予定だったのはご存じでしょうか?

もしも実現していれば、ブルース・リーの指導によるシャロン・テートのアクションが、もう一度スクリーンで披露されたかもしれないのですが、シャロン・テート殺人事件が起きてしまったために、残念ながらシリーズの製作は打ち切りになってしまったのです。

ちなみに、『サイレンサー 破壊部隊』が日本で公開された際の劇場パンフレットには、アクション指導中のリーの写真が1枚掲載されており、アクションシーンで使用されているのが何と「柔術」と紹介されていたのも、自身の武術「ジークンドー」を世に広める以前の、彼の下積み時代の苦労を物語るエピソードとなっています。

更に、この『サイレンサー 破壊部隊』には、後にブルース・リー監督・主演作『ドラゴンへの道』でリーと対決することになる、あのチャック・ノリスも悪役の手下として登場!

マット・ヘルム役のディーン・マーティンとの対決シーンも用意されているので、ブルース・リーのファンは是非チェックしてみては?

幸い現在では全4作がDVD化されている、この『サイレンサー』シリーズ。

サイレンサー コンプリートBOX-マット・ヘルムシリーズ- [DVD]

ジェームズ・ボンドのキャラクターを、更に軽くコミック調にしたマット・ヘルムのキャラクターですが、後の本家007シリーズがロジャー・ムーア時代に迎えた全盛期の傾向を先取りしていた感が強いのも事実。

近年のシリアスなダニエル・クレイグ版ボンドに慣れた若い観客にこそ、是非観て頂きたい作品なので、全力でオススメします!

ラス・メイヤー監督の問題作『ワイルド・パーティー』

もう1本オススメしたいのが、シャロン・テート事件の翌年1970年に公開された、ラス・メイヤー監督の『ワイルド・パーティー』です。

何しろこの作品、SEXやドラッグ、それに同性愛や殺人などの過激な描写が満載のため、当時のレイティングで成人指定を受けてしまったほど!

ワイルド・パーティー [DVD]

原題『Beyond the Valley of the Dolls』からもお分かりのように、実はシャロン・テートの出世作『Valley of the Dolls(邦題:哀愁の花びら)』の続編として企画された本作でしたが、1969年の製作開始直後にシャロン・テート殺害事件が起きてしまったため、1969年12月の撮影開始時には、当時世間の話題をさらっていたこの大事件を風刺した内容に変更されたのです。

ところが結果的に、この変更は大成功! 成人指定を受けてしまったにも関わらず、何と製作費の10倍の興収をアメリカ国内だけで稼ぐ大ヒットを記録することになります。

80年代のMTV時代を先取りしたかのような、その目まぐるしいカッティングとスピーディーな編集は、現在観ても圧倒されるのですが、観客の予想を超える『ワンス~』終盤の展開も、この『ワイルド・パーティー』を前もって鑑賞しておくと、その意図が理解できてより深く楽しめるはず!

特に2007年に発売された2枚組DVDには、特典ディスクに当時の製作状況やメイキングの裏話などが多数収録されているので、オススメです。

ワイルド・パーティ 特別編 [DVD]

事件直後のハリウッドにおいて、果たして”シャロン・テート事件”が映画の中でどのように描かれたのか?

『ワンス~』のラスト13分の展開と比較して頂くためにも、是非併せて本作をご鑑賞頂ければと思います。

最後に

いかがでしたか?

実はもう1本、本作で重要な役割を果たすチャールズ・マンソンを描いた『ヘルター・スケルター』もオススメなのですが、日本ではVHSソフトがリリースされたのみで、未DVD化なのが残念…。

でも大丈夫!

幸い『ワンス~』公開に合わせて、同じく8月30日からシャロン・テート事件を描いた映画『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』が公開され、更に9月6日からは、チャールズ・マンソンと彼の周囲の女性殺人犯たちを描いた『チャーリー・セズ/マンソンの女たち』も、アップリンク吉祥寺で緊急ロードショーされるなど、『ワンス~』の背景を知るための作品が続々劇場公開されるからです。

お時間と余裕がある方は、是非この機会にこれらの作品も鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

(文:滝口アキラ)

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