dTV初のR15指定作品「裏切りの街」池松壮亮さんインタビュー「ここも裏切りの街だと思っている」

出会い系サイトを通じて出会い、不倫関係へ陥る男女を描いたdTV初のR15指定作品『裏切りの街』。今回はお時間を頂き主演を務める池松壮亮さんへインタビューを敢行。作品への思いやdTVという配信メディアの作品への熱い思いを語って頂きました。

池松壮亮

 

インタビュー



──今回、演じられた役柄について伺えればと思います。

池松壮亮(以下、池松):誰しもの中にある、どうしようもない心を持った男ですね。


──今回の役はどういう経緯でお話が来ましたか。

池松:ここ三年位で、三浦さん(三浦大輔監督)の作品を2本立て続けにやってたんですよ。映画と舞台と。その間にこの企画の話を聞いたんです。僕が前に出ていた「愛の渦」って映画と、「裏切りの街」って作品は三浦さんが手掛けた数ある舞台の中でも渾身の作品というかすごく思いが強いものだと感じていたので、やっぱり素直に嬉しかったですし、恩を返せるのかなという感じがしました。


──三浦監督自身が手掛けた舞台を三浦監督が映像化するということで、制作ではどのようなアプローチが取られましたか。

池松:映像で出来る裏切りの世界を、ってのはお互い通じていたし。なにか新しい物がみえたりとかは思ったりしましたけど、もともとあまりにもいい素材がある中で、どう飛び込むかなぁという感じでしたね。



──クランクインとクランクアップはどのシーンだったのでしょうか。

池松:どちらも作品の最初と最後ですね。クランクインはオープニングの寝転がってるところ。クランクアップはあの最後のシーンです。あんな街角で。


──今回の作品は不倫をとてもリアルなトーンで描いてると思いました。ドラマティックではなく。

池松:それは三浦さんが、嘘のお芝居を嫌うので、そのように作られているところはありますね。お芝居に関しては本当に厳しい方ですから。今回に限らずそこはもう、大前提というか。嘘に見えたら何度でもやらされますから。


──嘘ってのは演技をしてるみたいな。

池松:本当の心がちらつかないと、納得しない人なので。それはなんか別に確認しあうわけではないですけど、共通認識としてあると思いますね。ドラマチックなものをやってるのを見たことないですからね。

日常にある人間の愚かな部分を切り取って、そこから見える人間の欲望とかその奥に見える儚さとか美しさとか。そいうものを一貫して描いてきた人なので、今回も何ら変わりないですね。今回は特にその三浦さんが描きたいものを街というスケールにして、物凄く愚直にストレートを投げたというか、直球勝負してる作品なんじゃないかと思います。


──寺島しのぶさんとの共演はいかがでしたか。

池松:ほんとうに素晴らしい女優さんということは、僕が言うべきことではないんでしょうけども。誰しもが知ってることですけど、その凄さを垣間見せてもらえたというか。1シーンにかける集中力だとか。言葉一つ一つの重みだとか、人間力のレベルの話になると思うんですけど。すごいなぁと思って見てました。


──寺島しのぶさんとはラブシーンその他で綿密にやり取りしてから撮影に挑まれたのですか。

池松:やりとりはしてないですね。寺島さんは言葉少ないけれど黙ってすごいことをやってのける人なので、お互い三浦さんの指示を聞いた上で出し合った結果というか。何かこう撮影2日目くらいで、何があったからわからないですけど
噛み合い始めて、最終的には腹の底で繋がれた感じはしました。



──本作では池松さん自身から出る、演技というよりも雰囲気、例えば内に何かもやもやしたものを抱えていそうという感じや空虚を非常に感じました。

池松:三浦さんの求めるものに答えようとする中で出るのかもしれません。何度やっても大変だし難しいなぁとは思いますけど。でもなんとか食らいついていくしかないかなと。演技のテクニックを使うのは簡単なことだったりします。そこそこやれば身につくものですし。しかし、それは三浦監督には通用しません。だからそういったテクニックは当然使いません。


──三浦監督はいい意味で厳しいという印象を受けるんですけれども、撮影現場、休憩中とかの雰囲気ってどういう感じだったんでしょう。

池松:三浦さんは本当に厳しい方なので、終始緊張感のある現場ではありました。でも今回、こんないい顔して作品やってる三浦さんは初めて観ました。いつももっと尖ってますから。納得してできてるんだなというのを感じました。


──それは配信での作品であるということも起因してるのでしょうか。

池松:あると思います。僕も初めてのdTV作品ですが、映画より自由度は高いし、お客さんもちゃんと観てくれます。作り手からするとちゃんとモノを作れる場を提供してくれたのは、大きいと思います。その部分でもストレスはなかった。まさかdTVでR指定ができるとは思ってなかったですし。健全にというか、物を作れる場所があるんだと。そういう場でみんなではしゃいでた感じではありますね。


──不倫を描いている作品ですが、是非こういった方に観てほしいってありますか。

池松:歳下の方にはわからない部分はあるかもしれません。一つ言えるのは、人間ってのはその瞬間その瞬間、過ちとか後悔とか小さなものから大きなものまで繰り返して繰り返して、それでもなお生きていくようなとこは誰しもあると思うんです。僕もそうですし。

何一つ自分が正しいと言えることが無いというか。そういう人間のひた隠しにしてる部分を浮き彫りにしたような話ですし。僕はこの話を自分の話だと思ってますし、その辺を歩いてる人たちの話だとも思ってます。ここも裏切りの街だと思ってます。この街に住んでる人々を描いた物語であり、彼らの物語であり、私たちの物語ですよということは言いたいです。

裏切りの街

インタビュー後記

作品への熱い思い、dTVという配信への思い、そして人間の本質への考えなどあらゆる角度からインタビューに応えてくださいました。

今回特に印象的だったのは、「僕はこの話を自分の話だと思ってますし、その辺を歩いてる人たちの話だとも思ってます。ここも裏切りの街だと思ってます。」という言葉。

私たちは人に向けては良い顔を見せます。しかしその裏で、心の中ではその表情と同じ思いをしているわけでもありません。犯罪ではなくても人には言えない何かを抱えている方も多いでしょう。過ちや後悔を抱えている方も多いでしょう。

そんな人間の本質について、考えさせられる作品『裏切りの街』であり、今回の池松壮亮さんインタビューでした。

貴重なお時間を頂き、誠にありがとうございました。

ドラマ「裏切りの街」はdTVで独占配信中
http://video.dmkt-sp.jp/ft/s0004376

(取材・文:柳下修平)


    ライタープロフィール

    柳下修平

    柳下修平

    シネマズby松竹編集長、1986年生まれ、今年で30歳。個人ブログ「Cinema A La Carte」も運営。幻冬舎「Ginger」及び「Spark Ginger」で映画コラム連載も。ブロガーメルマガEdge Rank執筆メンバー。映画以外ではカメラと旅行が趣味。

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