いよいよ本格化、アメリカ大統領選挙を映画で見よう

映画でもおなじみの存在アメリカ大統領

アメリカ合衆国の4年に1度の一大イベント。人によってはオリンピックよりもワールドカップよりも重要な一大イベント、それがアメリカ大統領選挙。

現職のバラク・オバマ大統領が2期目ということもあって、民主・共和ともに新人を擁立。

ここへきて民主党はヒラリー・クリントン前国務長官とバーニー・サンダース上院議員の一騎打ち。おそらく歴代ファーストレディの中で最も知名度が高いであろうヒラリーさんが本命と思いきや、民主社会主義者を自称するサンダース上院議員が猛追、混戦模様になっている。

共和党は不動産王ドナルド・トランプ氏が話題の候補→台風の目→大本命とトントン拍子に出世して、大騒ぎ。割を食った形でお父さん・お兄さんに続けとばかりに名乗りを上げていたジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事が戦線撤退に追い込まれてしまったりと、実にドラマティック。

就任すれば事実上世界最強の権力者ということもあって、ハリウッド映画では大統領というキャラクターはお馴染みの存在であったりする。

フィクションではハリソン・フォードが正面切ってテロリストとやりあう「エアフォース・ワン」(97年、ウオルフガング・ペーターゼン監督)のような大統領=ヒーローとした映画が多い。「インディペンデス・デイ」「ホワイトハウス・ダウン」(96年、13年、ローランド・エメリッヒ監督)「ビッグ・ゲーム」(15年、ヤリマリ・ヘランダー監督)などなど、手を変え品を変え、敵も変えて戦うヒーロー大統領が登場する。

実話系、伝記映画ではエイブラハム・リンカーンとJ・F・ケネディ大統領が根強い人気を保っている。そういえば第40代大統領ロナルド・レーガンはハリウッド俳優出身だ。

というわけで映画の中のアメリカ合衆国大統領について話し出すと、終わりが見えない。そこで、“大統領選挙”の映画にだけ的を絞ってみよう。

実話の「大統領の陰謀」とフィクションの「スーパー・チューズデー~正義を売った日~」

「大統領の陰謀」(76年、アラン・J・パクラ監督)は第37代大統領リチャード・ニクソンの2期目再選を目指している中、起きた政治的事件とそれをスクープした若手記者たちの姿を描いたジャーナリズム映画の傑作。今年度のアカデミー賞作品賞を受賞した「スポットライト 世紀のスクープ」(15年、トム・マッカシー監督)などはその系譜に連なっている。

ワシントンD.Cにあるウォーターゲートビル内の民主党事務所に、盗聴目的で5人組の不審者が侵入し逮捕される事件が起きる。この実行犯を辿っていくうちにとうとうホワイトハウスまでたどり着いてしまい、最終的にニクソン大統領は暗殺以外で任期途中に辞任した初の大統領となってしまった。

映画ではニクソン大統領が圧倒的な支持を受けて再選されるニュース映像でおわるが、その後の流れもタイプライターで打ち込まれる形で語られる。ちなみに、そのニクソンが起死回生を狙ってインタビューを受け、自滅してしまう姿を描いたのが「フロスト×ニクソン」(08年、ロン・ハワード監督)。

「スーパー・チューズデー~正義を売った日~」(11年、ジョージ・クルーニー監督)はタイトル通り、多くの州で予備選挙・党員集会が行われ大統領選挙の天王山といわれる2月ないし3月上旬の火曜日を扱った作品。

George Clooney

(C)2011 Ides Film Holdings, LLC

ジャーナリスト気質のジョージ・クルーニーの4作目の監督作品で、自身も大統領選に挑む州知事役で出演している。映画はその州知事の広報官が主人公で、ライアン・ゴズリング演じた。こちらでは、表からの報道ではおおよそ知ることがないであろう大統領選挙の裏側の足に引っ張り合い、マスコミとの裏取引などが描かれている。

足の引っ張り合いは同じ党の候補者同士だけではなく、同じ候補者の選挙スタッフ同士の暗闘もある。これは08年の戯曲が基になっている映画で、あくまでもフィクションではあるものの、作者は民主党の大統領選挙に関わったことのある人物なので、100%創られた話でもないようで・・・。

実は今年の夏に日本でも国政選挙(第24回参議院選挙)があるものの、こういう語られ方はあまりない。想田和弘監督の「選挙」シリーズ(07年、13年)ぐらいだろうか?

この辺りも日米のお国柄と政治や選挙のとらえ方の違いが見ることができる。

※前回の大統領選挙の年2012年にアメリカのタイム誌が発表した政治映画ベスト15

「大統領の陰謀」(76年、アラン・J・パクラ監督)
「ハイスクール白書優等生ギャルに気をつけろ!」(99年、アレクサンダー・ペイン監督)
「候補者ビル・マッケイ」(72年、マイケル・リッチー監督)
「ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ」(97年、バリー・レビンソン監督)
「パララックス・ビュー」(74年、アラン・J・パクラ監督)
「地獄で握手しろ」(59年、マイケル・アンダーソン監督)
「ヒトラー 最期の12日間」(04年、オリバー・ヒルシュビーゲル監督)
「ブルワース」(98年、ウォーレン・ベイティ監督)
「Z」(69年、コスタ=ガブラス監督)
「チャップリンの独裁者」(40年、チャールズ・チャップリン監督)
「5月の7日間」(64年、ジョン・フランケンハイマー監督)
「フロスト×ニクソン」(08年、ロン・ハワード監督)
「最後の勝利者」(64年、フランクリン・J・シャフナー監督)
「スミス都へ行く」(39年、フランク・キャプラ監督)
「影なき狙撃者」(62年、ジョン・フランケンハイマー監督)

(文:村松健太郎)


    ライタープロフィール

    村松健太郎

    村松健太郎

    村松健太郎 脳梗塞と付き合いも10年目に入った映画文筆家。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在NCW配給部にて同制作部作品の配給・宣伝、イベント運営に携わる一方で各種記事を執筆。

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