『スター・ウォーズ』サーガのほんのちょっとしたトリビア①

東洋、日本、
そして黒澤映画へのリスペクト

総じて『スター・ウォーズ』には東洋的世界観がそれとなく盛り込まれていて、ジェダイの衣裳も柔道着や着物をモチーフにデザインされており、ダース・ベイダーのヘルメットも伊達政宗の兜(仙台市博物館所蔵の黒漆五枚胴具足)を参考に作られています。

また『スター・ウォーズ』で斬新だったのは歴史感を出すためにメカや建物などを汚して撮影していたことで、これは黒澤明監督が時代劇などで率先して行う手法でもあり、事実、黒澤監督は本作の“汚し”に感心したとききます。

マーク・ハミル扮する主人公ルーク・スカイウォーカーは、当初ルーク・スカイキラーという名前でしたが、撮影開始直後に今のものに替えられました(ルークの名はルーカスから採られています)。

しかし、後に『エピソード3/シスの復讐』(05)と『エピソード4/新たなる希望』の間を繋ぐTVゲーム『スター・ウォーズ フォース・アンリーシュド』(08)の主人公は、ダースベイダーの弟子でスカイキラーという名前なのでした。

ハン・ソロの相棒チューバッカは、当初はヒューマノイドという設定だったようですが、あるときルーカスが愛犬インディアナ(アラミスカンマラミュート犬)が車の助手席にちょこんと乗っている姿を見て、毛むくじゃらの巨漢にしようとひらめいたとのことです。
(ちなみに、このときのインディアナという名前が、のちの『レイダース 失われたアーク』の主人公インディアナ・ジョーンズへと繫がっていきました)

なお、チューバッカの声はクマとアザラスとオットセイ、アナグマの声を混ぜて作られているそうです。

探してみよう「1138」の数字
そして「否な予感がする」の台詞

ジョージ・ルーカス監督の商業映画デビュー作は『THX-1138』(70)ですが、これを意識してか、これまでの『スター・ウォーズ』シリーズ全作には、どこかに1138の数字が登場しています。

もうひとつ、このシリーズでは必ず誰かが“I have a bad feeling about this.”「嫌な予感がする(作品ごとに訳し方は微妙に異なります)」という台詞を言い放ちます。

『スター・ウォーズ』が全米公開される頃、ジョージ・ルーカスはオーストラリアにいました。これは『THX-1138』がこけて製作サイドから責められたトラウマから初日恐怖症に陥ってしまい、このときも映画がこけるのではないかと恐怖心にかられてハリウッドから逃げていたのです。

しかし『スター・ウォーズ』が全米で大ヒットしていることを友人のスティーヴン・スピルバーグから知らされた彼は喜び勇んでハリウッドに凱旋し(?)、本来9部作の構想であったことを公表し、シリーズ化が決定します。

現に『スター・ウォーズ』シナリオ最終稿には『THE NEW HOPE(新たなる希望)』とサブタイトルが入っていたとのことですが、実際のところ彼はルーク・スカイウォーカーらの時代を描くエピソード4~6、その親たちの時代を描く1~3までは具体的な構想があったものの、7~9に関してはルークらの次世代を舞台にするといったところまでしか考えてなかったようで、『エピソード3/シスの復讐』を完成させた後、ルーカスは「当時は9部作と情報が広まってしまったが、もともと6部作としての構想だった」とも発言しています。

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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