2017年夏休み映画。ヒットするのはどれだ!? 日本映画篇「シリーズ作品は多いけれど、全般的に本命不在?」

■「役に立たない映画の話」

「昨年の夏休み興行は、例外とすべきか?」

爺 ではこれから、2017年夏休み映画に関して、色々と話したいと思うけど、まずは全般的な傾向として今年はどうなんだろう?

先輩 はい。ざっと見渡した感じですが、昨年ほどの作品が揃っていない感じです。

後輩 昨年は「シン・ゴジラ」と「君の名は。」というサプライズが2本ありましたからね。ダブル・サプライズの大ヒットでした。

シン・ゴジラ

「君の名は。」【ゲオ限定セット】スチールブック付き Blu-rayスペシャル・エディション 3枚組

女の後輩 ああいうことは、何年かに一度ですから、毎年起こると思わないほうが良いのでは? 例外ですよ。

先輩 そうかな?作品1本1本の可能性として、サプライズ・ヒットもあると信じたいけど。

爺 ともかくだなあ、年間興収2000億円のうち、夏休み興行のノルマは500億円と言われている。大事なシーズンだから、各社イチ押しの作品を出して来るのは間違いない。確かに昨年は「君の名は。」と「シン・ゴジラ」のシェアが高かったが、興収10億円以上の作品が全部で15番組。これは2015年の13番組、2014年の12番組、2013年の13番組を上回る数で、ヒット作の数は増えているんだ。

先輩 ただ昨年の今頃、興行関係者と話していると「今年の夏休み興行は、どうなるんだろう?」という、不安ばかり耳にしました(笑)。「シン・ゴジラ」の初日あたりまで、そういう声が聞こえました。

後輩 結局昨年の夏休み興行トータルの成績は、いくらだったんですか?

爺 654億4000万円だ。これは7月1日から8月31日までに、東京都内で公開された作品を対象に、「君の名は。」の場合は映連発表に則って、235.6億円で計算した。

女の後輩 確かに金額だけ見ると、凄いですね。

先輩 問題は、今年そのペースが持続出来るか、だ。

爺 まずは日本映画から、公開順に検討して行こうか。

ジブリっぽい? 脱ジブリ? 「メアリと魔女の花」

忍びの国 ウェブメイン

(C)2017 映画『忍びの国』製作委員会

先輩 7月1日から公開されるのが、東宝配給「忍びの国」です。

爺 時代劇じゃな。

女の後輩 そうですが、主演が大野智君ですから、女性ファンが舞台挨拶に詰めかけるのは必至ですよ。

後輩 舞台挨拶が終わった後は、どうなるんですか?

女の後輩 そこから先は、映画の実力、興行力よ。

爺 時代劇と言うと年輩の観客が多いように感じるが、主演俳優目当ての女性客が多くなるのだったら、面白い展開になるかもな。

後輩 8日から公開される、これも東宝配給の「メアリと魔女の花」は、スタジオジブリ出身の米林宏昌監督の新作ですね。

メアリと魔女の花

(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会

先輩 これは面白かった!!

女の後輩 同感です。ジブリの伝統を踏襲すると見せかけて、実はそうじゃないという内容。

爺 これまでのジブリと違うのか?

女の後輩 この映画はジブリから独立した西村プロデューサーが作ったスタジオポノックの第1回作品なんです。

爺 「魔女、ふたたび」という惹句だから、「魔女の宅急便」の続きかと思った(笑)。

先輩 こういう誤解をしている人たちが映画館に来れば、ヒットするんじゃないかな(笑)?

女の後輩 うーん・・・(笑)。確かにジブリの新作のように売っていますよね。でも、だからこそ映画を見て欲しい。今までのジブリ作品とは違う内容になっていますから。

先輩 言ってみればこれは、西村プロデューサーと米林監督の意思表示のような作品です。ジブリ卒業生として、これからこういう姿勢で映画を作っていくんだ!!という。その心意気というか意気込みは、頼もしい限りですよ。

爺 肝心の映画の中身も面白いんだったら、それはヒットするかもな。

後輩 そうでしょうか? 僕はそれほど面白いと思いませんでしたけど・・。

女の後輩 あんた、ひねくれてるからよ。若いのに。

後輩 (無視して)普通の少女の成長を描いたアニメ映画で、魔法の描写もありますが、結局のところ見どころは少女が困難を乗り越えて成長するってことですよね。それってジブリ作品だけじゃなくて、今までにもたくさんあったじゃないですか。監督やプロデューサーが新しいスタジオで思いを込めて作ったということは、背景であって映画の内容には関係ありませんよ。

爺 そうじゃな。そういう見方もあるな、確かに。

先輩 ご隠居!!若僧に甘すぎませんか?

爺 いやいや、そのへんは考えるべきだな。パッと見ジブリ作品に近いように見える。そうなるとお客さんは、「ナウシカ」や「ラピュタ」のような作品を期待しがちだ。

先輩 米林監督のデビュー作「借りぐらしのアリエッティ」が公開された時も、「昔のジブリみたい」という声が聞こえました。人間の少年と小人の少女というキャラクターがそう見えたのでしょう。

後輩 お客さんって、けっこう保守的ですよ。以前見たものと同じものを新作に求めることも多いと思うんですよ。

爺 そのほうが安心感があるからな。しかもポノックの作品とはいえ、このポスターを見ると、ジブリの新作と思われがちだし、宣伝としてはそういうイメージを打ち出したいのかもしれん。

女の後輩 (「メアリと魔女の花」のプレスシートを見ながら)この娘、ポニョに似ているわね。

先輩 「となりのトトロ」のメイちゃんが育ったらこんな感じかな。

爺 とにかくジブリ的なイメージで売りながらも、作品内容は脱ジブリを目指しているという、そのあたりがどう評価されるかだな。若僧が言うように、お客さんはけっこう保守的だから、「ジブリと違う」と言われたら、ちょっとヤバいかもしれんぞ。

後輩 若僧って言わないでくださいよ!!もー!!

「銀魂」と、正念場の「劇場版ポケットモンスター」

先輩 7月14日からは、ワーナーの日本映画「銀魂」が公開されます。

(C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

爺 米メジャー系のワーナーの夏休み作品が日本映画で、邦画系の東映がアメリカ映画「パワーレンジャー」を公開する。なんかおかしなことになってないか(笑)?

女の後輩 ちなみに「銀魂」はアニメ版を過去2本、ワーナーが配給していて、2010年公開のものが興収10.7億円、2013年公開のバージョンは、17億円もの興収を上げています。

後輩 なんでそれなのに、アニメ版のすぐ後に実写映画化しなかったんですか?

女の後輩 あんた、今日は色々と突っかかるわねえ!!

後輩 アニメ版だって3年のブランクがあるし。コミックが人気のあるうちに、続けて作れば良いのに。

爺 色々とプロジェクトとしての戦略があるんじゃないか?

先輩 今や映画は単体でビジネスとして成立しませんから、そういう仕組みがあってもおかしくはありません。

爺 タイミングという点で言えば、7月15日からの「劇場版ポケットモンスター/キミにきめた!」は、今年が正念場だな。

劇場版ポケットモンスター キミにきめた! メイン

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokémon (C)2017 ピカチュウプロジェクト

先輩 そうなんです。このシリーズはご存じの通り20年もの歴史を持っていますが、この数年興行成績がダウンしているんです。2013年が興収31.7億円なのに対して、2014年29.1億円、2015年26.1億円、2016年21.5億円。かつては成績がダウンしてくると、テコ入れをして興収をアップさせましたが、このところのダウンはそうしたテコ入れの効果があまり感じられません。

爺 だから若僧が指摘したのは、コミックが売れている、あるいはアニメ版がヒットしているのならば、そのタイミングを逃すべきではないってことだろ?

後輩 そうそう、そーなんです!!

女の後輩 ポケモン・シリーズの場合は、主要客層が子供たちだから、流行の移り変わりが早いんだと思います。それに対応するための策が、ここ数年有効ではないと・・。

先輩 対照的に春の「ドラえもん」シリーズは、ここ数年興収も上昇しているぞ。

女の後輩 「ドラえもん」シリーズの場合、お子ちゃまたちとその母親たちをターゲットにするようになって久しいですよ。その戦略が着々と成果を上げているのでしよう。

後輩 今年の「劇場版ポケモン」は、映画20周年記念ですから、賑やかなお祭り騒ぎをするかと思いましたが、新作のタイトルからして「キミにきめた!」と、そっけないですね(笑)。

爺 「劇場版ポケモン20周年記念超大作!!」みたいな仰々しい惹句も、長いサブタイトルもないんだな。

先輩 観客にとって映画館へ映画を見に行くことはイベントですから、そう派手に盛り上げる必要もないんじゃないですか?

「君の膵臓を食べたい」は、今年の「湯を沸かす・・」になるか?

後輩 7月22日には「心が叫びたがってるんだ。」の実写映画版が公開されます。2015年9月に公開されたアニメ版は、興収11.2億円を上げるヒットになりました。

(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

女の後輩 一度アニメ映画になったのを実写映画にしたパターンね。「銀魂」と同じ。

先輩 「ジョジョの奇妙な冒険」もそうだよ。逆に実写映画をアニメ映画にしたのが「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」。なんかもう、ごちゃごちゃだなあ(笑)。

爺 7月28日から公開される「君の膵臓を食べたい」ってのは、まさか膵臓を食べるシーンがあるんじゃないだろうな。

後輩 まさか。それはどちらかと言えば「東京喰種/トーキョーグール」のほうですよ。こちらは7月29日公開。

東京喰種 トーキョーグール ティザービジュアル

(C)2017「東京喰種」製作委員会

先輩 「君の膵臓を食べたい」は、「映画を見た後、このタイトルを知ると感動する」とのことだから、昨年の「湯を沸かすほどの熱い愛」と同じような感じかな。

君の膵臓をたべたい ロゴ

(C)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (C)住野よる/双葉社

爺 もしそれが本当ならば、観客の満足度は高くなるな。「湯を沸かす・・」のようなロングラン・ヒットになるかもしれない。

先輩 それはどうでしょう?配給は東宝ですから、「湯を沸かす・・」のように小規模公開からスタートして、セカンドランから拡大していくのではなく、最初から全国拡大公開するんじゃないですか?夏休みまっただ中ですし。

後輩 「東京喰種」には注目しています。確かにホラーテイストでグロい描写がありそうですが、原作がそういう内容であることは認知されていますし、むしろ原作のファンはコミックがどう実写映像化されるのか興味があるのではないでしょうか?

爺 夏休みということでファミリーを狙った作品が多い中、ちょっと異色な存在感を感じるな、この映画は。

何が出てくるか分からない「ジョジョの奇妙な冒険」。

先輩 さっきもタイトルが上がった「ジョジョの奇妙な冒険/ダイヤモンドは砕けない 第一章」ですが、東宝とワーナーの共同配給で8月4日から公開されます。三池崇史監督作品ですので、色々な面で話題になることは確実だと思いますが。

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

爺 これに関しては、何が出てくるか分からないなあ・・・。

後輩 原作のネームバリューは抜群ですから、まさしく待望の実写映画化!!と言えると思いますが。

女の後輩 さっきあんたが言ったように、タイミング的にはどうなのよ?コミックがバカ売れしている間に映画化すべきじゃなかったの?

後輩 確かに「寄生獣」みたいに、大作映画を公開するから原作の復刻版を書店に置いたのに、とんと売れなかったということもありますし。

爺 そうなのかい?

後輩 近所の書店のおばさんが嘆いてました。

先輩 映画をヒットさせるためには、企画の鮮度も必要だし、タイミングを見計らうことも大切だ。だが最も大切なのは、入場料金補払ったお客さんが「見てよかった!!」と思える満足度なんじゃないかな。

爺 昨今の日本映画を見ていると、お子ちゃま向けのファミリー番組を除いて、作品から作家性が感じられない作品は当たってないね。

先輩 ああ、それは僕も感じます。作家性と言っても、強弱はありますが。

女の後輩 同感です。例えばですが、少女マンガの映画化作品の中から、河合勇人、英勉といった監督たちが出てきた。漫画を映画するためには、どのような演出が効果的かを考えて、俳優に演技指導する。観客は俳優の演技を見ることで、監督の演出の個性を知るわけです。

先輩 作家性と言っても、昔のアート作品の監督みたいに、強烈な自己主張や他者が受け入れられないほどの世界観を作品にぶつけてくるのではなく、あくまで作品に求められる中で、個性的な演出を見せるという意味での「作家性」。言葉はおかしいかもしれないけど、商業主義という枠を無視しない「柔軟な作家性」を持った監督は増えていると思うよ。

爺 話を「ジョジョの奇妙な冒険」に戻すとだな・・。

先輩 あ、すいません。話がそれまくりました。

爺 三池監督も、その「柔軟な作家性」を持った監督だと思うが、それが発揮された「無限の住人」が今ひとつの成績だった。出来は良いし、面白かったと思うんじゃが。

後輩 僕もそう思います。それに対して昨年の「テラフォーマーズ」は、作品の出来も今ひとつでしたし、原作コミックの個性を充分に実写化したとは言えません。

先輩 そうかなあ? オレは好きなんだが。「テラフォーマーズ」。

女の後輩/後輩 あんたの好みはヘン!!

先輩 合唱するなよ!!だからまあ、「ジョジョの奇妙な冒険」に関して言えば、原作スタート30周年というから、その30年の間にファンになった人たちが違和感を感じない実写映画になっていることを祈るばかりだね。

後輩 東宝とワーナーの共同配給ですから、興収目標も高いんでしょうね。

「劇場版仮面ライダー」シリーズをナメてはいけない。

爺 東映が毎年公開している「劇場版仮面ライダー」シリーズ。これは夏休みだけでなく、ゴールデン・ウィークとかにも新作を公開しているが、やっぱり夏の番組が一番お客さんが入るようだ。

女の後輩 とは言っても興収10億円前後というケースが多いですから、大ヒットは言えませんね。2013年の「仮面ライダーウィザード」と「キョウリュウジャー」の2本立てが興収12.3億円を上げましたが、以後2014年8.9億円、2015年9.3億円、2016年8.8億円と、10億円を切っています。

先輩 もったいないって、この間言ったんだよ。K君に。

後輩 K君って誰ですか?

先輩 東映の人さ。「なんでマーベルは『アベンジャーズ』を大作として製作してるのに、東映はライダーと戦隊シリーズを大作にしないのか?」って、そう言ったんだよ。

後輩 いやいや、どんな作品が競合相手になろうとも、コンスタントに興収10億円前後を上げているあたりは、立派なヒット・シリーズなんじゃないですか。関連商品の売り上げも見込めるし、東映としても二次使用で優位性を発揮出来る。そこそこの製作費で作ってこれだけの興収を上げて、付帯収入も確実なんですから、下手に大作を作ってリスクを負うべきじゃないですよ。

爺 ちなみに今年の作品は?

先輩 「劇場版仮面ライダーエグゼイド/トゥルー・エンディング」と「宇宙戦隊キュウレンジャーTHE MOVIE/グース・インタベーの逆襲」です。相変わらず長いタイトルだなあ・・・。

爺 ほんと。毎年正確に覚えきれない(笑)。「劇場版ポケモン」よりも賑やかな感じだな、今年は。

今年の「君の名は。」になるか?「打ち上げ花火・・」。

爺 8月18日から公開される東宝のアニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」は、岩井俊二監督の中編のリメイクなんだな。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? ポスタービジュアル

(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会

先輩 今回は新房昭之総監督で、脚本を大根仁監督が書き、主演の女子高生の声を広瀬すずが演じます。

爺 巷では、この作品が今年の「君の名は。」になるのではないか?と言われているようだが・・・。

先輩 いや、それは違うでしょう。そもそも「君の名は。」の求心力というものは、新海誠という、いわば今までマイナーリーグで戦ってきて、そこそこの実績を収めた監督が初めて全国公開して大成功を収めた。一種のサクセス・ストーリーがあるのですが、「打ち上げ花火・・」の場合は新房昭之総監督、原作の岩井俊二監督、脚本の大根仁監督と、3人の監督が関わっている。誰かひとりのサクセス・ストーリーとはなりませんよね。

女の後輩 でも、それは良い面もありますよ。「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」というタイトルは、私たちの世代にとってもネームバリューがありますし、それをアニメ映画化したのならば、見てみたいという人も少なくないと思います。

爺 こういう内容だから、若い観客を狙っていると思うけど、さて若い人たちに岩井監督のネームバリューが通じるだろうか。

女の後輩 あら、失礼ですね。若い女の子だって岩井監督作品は大好きですよ。

先輩 だから観客に売れる要素はいくつかあるのは分かるけど、それが作品にどう集約されるか。そして若い観客にどう受け止められるか。まあ当たり前の話ですが。

後輩 ただ「君の名は。」クラスの大ヒットにはならないんじゃないですか?

先輩 そうかな? 可能性を否定してはいけないと思うけど。

爺 「君の名は。」とはまったく別の方向性で作られた映画なのは分かる。要はそっちの方向にどれだけの観客がいるのか。

女の後輩 公開時期としては、ズバリですよね。夏の物語を8月に見る。季節感バツグン。デートムービーになる可能性は高いんじゃないでしょうか?

先輩 8月19日から公開される、松竹配給の「HiGH & LOW THE MOVIE2/END OF SKY」は、昨年夏と秋に連続公開してヒットした「HiGH & LOW」シリーズの新作で、今回は第2作を8月、第3作を11月に公開するというプロジェクトだ。

後輩 まさにこれこそ、グッド・タイミングですね。

爺 昨年のこのシリーズは7月公開の「HiGH & LOW THE MOVIE」が興収21.1億円、10月公開の「HiGH & LOW THE RED RAIN」が11.8億円と好稼働したから、今年も多くのファンを集めることだろうね。

「関ヶ原」は、時代の流れに逆行してる?

爺 これはどうなんだろう?東宝=アスミック・エース共同配給「関ヶ原」。8月26日から公開されるんじゃが。

関ヶ原 サブ13

(C)2017「関ヶ原」製作委員会

先輩 司馬遼太郎の同名小説は知っていますが、それを原田眞人監督が映画する。大作ですね。

後輩 僕から見ると、時代に逆行しているようにしか見えません。同じ時代劇でも「忍びの国」のほうが取っつきやすいというか、要は「関ヶ原」が固い印象を与えるんですが。

爺 それはそうだろう。少女マンガを映画化した作品とは違うからな。公開するタイミングだとか企画の鮮度といった問題は、こういう映画には通じないぞ。堂々と、その存在感を示すのが良いだろう。ファミリー作品やアニメ、アイドル主演作とは全然違う、大人向けの映画だよ。

後輩 大人向けというよりも、シニア向けといった感じがしますが。

爺 お前さんからは、大人はみんなシニアに見えるのかも知れないが、こういう正統派の時代劇を待望している観客はけっこう多いんじゃないか。

先輩 上映時間2時間29分。タイトルは短いけれど、映画は長い(笑)。映画館では1日4回上映が精一杯かな。

女の後輩 でも試写を見た人によると、体感時間は1時間50分ぐらいだったそうですよ。

先輩 アクション・シーンの迫力が、やはり最大の売りになるんじゃないでしょうか?

爺 うん。確かに若僧の言うように、今の映画状況とは逆行する作品と映るだろうが、そのギャップこそ世間が注目するポイントになるんじゃないかな。

後輩 しつこいようですが、若僧って呼ばないで下さいよお。

■「役に立たない映画の話」をもっと読みたい方は、こちら

(企画・文:斉藤守彦)


    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

    ピックアップ

    関連記事

    新着記事

    WP Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com