映画コラム

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2017年04月07日

『T2 トレインスポッティング』は『フォースの覚醒』だった!前作ファンに絶対に観てほしい理由はこれだ!

『T2 トレインスポッティング』は『フォースの覚醒』だった!前作ファンに絶対に観てほしい理由はこれだ!






1990年代に世界中で大熱狂を呼んだ伝説的な映画『トレインスポッティング』、その20年ぶりとなる続編『T2 トレインスポッティング』が4月8日(土)より公開されます!

本作の魅力がどこにあるのか、以下にたっぷりとお伝えいたします。

1:前作『トレインスポッティング』はダメ人間必見の青春映画だ!


前作『トレインスポッティング』をご存じない方に、ざっくりとご説明しましょう。この作品を一行で表すならば“4人のジャンキーたちの明るく悲惨な青春映画”。よく言えば「今がよければそれでいいんだ!」と刹那的に人生を楽しんでいる、悪く言えば日常を自堕落に過ごしているダメ人間4人による、しょうもない(褒め言葉)青春を描いているのです。

そんな映画が面白いのか?と思われるかもしれませんが……面白いんです!めちゃくちゃ楽しいのです!何より、音楽や編集のセンスが最高!イギー・ポップの「Lust For Life」に乗せて走り出す、軽快なオープニングから興奮は必死です!



特筆すべきは“ダメ人間あるある”がたっぷりなこと!ドラッグから足を洗うなどして、何とかまっとうに生きようとするのに、ダメ人間同士でつるんで結局さらにダメ人間のレベルがアップしてしまう流れは、ダメ人間であればあるほど共感必死、彼らに感情移入して泣いてしまうでしょう。ドラッグでなくとも、“わかっているのにダメな日常から抜け出せない”、“良いヤツだけど一緒にいるとダメになっちゃう”っていうのは、世界中の若者の多くが体験することですものね。

ちなみに『トレインスポッティング』が公開された当時(1996年)前後は、映画の舞台であるスコットランドは景気が低迷しており、日本でもバブルが崩壊した後のことでした。同作が本国のみならず日本でも社会現象と言えるほどの大ヒットを記録したのは、社会への不安や虚無感でいっぱいになっていた自己の姿を、映画の中の無目的で怠惰に生きている若者の姿に投影できたことも、理由の1つなのではないでしょうか。




2:『フォースの覚醒』の感動再び!20年経ってもダメなヤツにまた会える!


さてさて、本作『T2 トレインスポッティング』は、前作から数えてなんと20年も経ってからの続編です。それだけでもすごいのですが……さらに感動してしまうのは、前作の主要キャストの4人が、リアルで20年の歳を取った姿で登場すること!

これは20年ぶりの“再会”であり、同窓会で久しぶりに旧友に会ったような感動がその時点であるのです。その驚きと幸福感は、いわば『スター・ウォーズ』旧3部作に対する、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』と同じ。30年以上の時を経て、リアルタイムで歳を取ったハン・ソロ(ハリソン・フォード)の姿に感涙した人は、本作『T2 トレインスポッティング』も必見でしょう!ああ、リアルタイムで前作を観ていた方がうらやましい!(もちろん、直近で前作を観た人も、これから前作を観る人も楽しめます!)

しかも、「あのダメすぎた若者たちも20年経って少しは大人になり、成長したのかな?」と思っていると、そんなことは全くなく、やっぱりダメダメでした。むしろ、おっさんになってしまったぶん、彼らの焦燥感や不安が「俺たち中年になっても何やってんだろう……」という形でさらにパワーアップ。やめてくれよ!ダメ人間の心をこれ以上えぐって来ないでよ!(注:こう書きながら筆者は喜んでいます)

キャストたちがこの続編が作られる20年の間も、俳優としてずっと活躍していたことも嬉しいです。万が一に俳優を辞めていたり、亡くなっていたら、本作での“再会”はあり得なかったのですから。その奇跡に、感謝をしたいです。

なお、主人公のレントンを演じたユアン・マクレガーは、前作で大ブレイクを果たし、『ムーラン・ルージュ』や『ビッグ・フィッシュ』などで主演を務め、『スター・ウォーズ』新3部作ではオビ=ワン・ケノービを演じていました。ハリウッドのスター俳優となったそのユアンが、本作では中年のダメ人間を演じているのもたまらないものがありますよ!




3:前作の魅力がさらに進化!ノリノリな音楽や演出に身を任せれば、あっという間にエンディングだ!


さてさて、前作の大きな魅力となっているのは、抜群の音楽や編集のセンス!その楽しさは、20年経った本作でもまったく失われることはありませんでした。

本作の監督は前作に引き続き、『スラムドッグ$ミリオネア』や『127時間』のダニー・ボイル。2012年にはロンドンオリンピック開会式の演出を務めたことも話題になりました。彼の作品を1つでも観ていれば、映像や演出に独特の持ち味があることがわかるでしょう。

前作は“ドラッグの幻覚”をポップな映像として表現するなどして、“誰も体験したことのない映像”を93分という短い上映時間で“疾走”するかのように楽しめる作品でした。ダニー・ボイルの才能が最も発揮された作品の1つと言っていいでしょう。

本作は117分と前作から少し上映時間が伸びていますが、その時間を全く飽きさせない、さらに進化したとも言える、抜群の映像センスには唸らされました!ネタバレになるから具体的には言えないのですが、特にエンディングのある表現には、前作にもなかった“誰も体験したことのない映像”が映し出されたので、もう多幸感でいっぱいになりました!

この“ノリノリな音楽や演出に身を任せれば、あっという間にエンディング”ということが、前作の楽しさと面白さそのまま、いや、むしろパワーアップしていて……嬉しくて、嬉しくて、仕方がありませんでした!

前作を観た人に、これほど「絶対に観て!」と訴えたくなる続編は、他にありません。「前作の魅力が台無しだ」、「続編は前作を超えられない」、「作らなかったほうがよかったんじゃないか」などと、ネガティブな評価になってしまう続編映画が多い中で、これは本当にすごいことです!大切なことなのでもう一度言います、「前作を観た人は、絶対に観て!」




まとめ:前作の鑑賞は必須?



さてさて、これまで語ってきたように、本作『T2 トレインスポッティング』は前作の魅力がそのままどころか、むしろパワーアップしている、20年ぶりの続編として理想的な作品でした。その“久しぶりの最高傑作!”な印象は、27年ぶりにシリーズ最新作が製作された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に決してひけを取りません。

できれば多くの方に観ていただきたいので、「前作を観ていなくても楽しめるよ!」と言いたいところのですが……正直に申し上げるなら、本作を最大限に楽しむのであれば「前作の鑑賞は必須と言うか義務だよ!」という印象でした。

なぜなら、本作は全編にわたり“前作を観たことが前提”の展開や演出が多いのです。最低限の説明は入るので、前作を観ていなくてもわかることにはわかるのですが、「前作を観ていた方が5倍は面白い!」のは間違いないでしょう。

しかしながら、一度でも前作を観た方は、本作の鑑賞前に“観なおす”必要は決してありません。むしろ、「前作を観てから時間が経っていて、内容をほとんど忘れてしまった」というほうが、数々の“前作を思わせる”シーンで記憶がよみがえり、その“懐かしさ”に感動できるのではないでしょうか。

「今まで『トレインスポッティング』を観たことがない」という人は、ぜひこの機会にレンタル店に行き、観てみてください。前述した通り上映時間は短いので気軽に観られますし、決して古臭くない、今に通じる“ポップさ”がある、若い人にこそ観てほしい傑作ですので!(ただしR15+指定で、ドラッグの使用や、エッチなシーンがあるのでご注意を)

3度目ですが、もう一度言います。「前作を観た人は、絶対に観て!」
そして、「前作を観ていない方は、この機会に観てみて!」、そして「本作を続けて劇場で観て!」
これ以上のない多幸感に浸ることのできる、素晴らしい映画体験が、あなたを待っています!

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(文:ヒナタカ)

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