『アンロック/陰謀のコード』は女性版『24』!ノオミ・ラパスの三角締めが炸裂!

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『ドラゴンタトゥーの女』『プロメテウス』のノオミ・ラパス主演によるサスペンス・アクション映画『アンロック/陰謀のコード』が、4月20日より全国公開された。残念ながら、話題作の『レディ・プレイヤー1』や『いぬやしき』と同日公開のため、どうしてもその影に隠れてしまいがちな本作だが、ネットのレビューは軒並み高評価の物が多い。そこで今回は個人的にも気になっていた本作を、公開2日目夕方の回で鑑賞して来た。作品の内容からか、劇場内はやはり年配の男性の姿が多かった本作。果たして、その出来はどうだったのか?

ストーリー

CIAで指折りの取調官だったアリス(ノオミ・ラパス)は、ある受刑者の尋問に失敗し多数の犠牲者を出したことで第一線を退き、現在はケースワーカーとして働いていた。ある日、彼女はバイオテロ計画の容疑者尋問のためCIAに呼び戻されるが、かつての同僚からの連絡でそれが罠だとわかり、内部に裏切り者がいることを知る。
力になると名乗り出た元海兵隊員のジャック(オーランド・ブルーム)を相棒にしたアリスは、信頼を寄せるMI5の捜査官ノウルズ(トニ・コレット)に、ある作戦を持ちかける。果たして、アメリカと英国の両政府に追われながら、恐るべきバイオテロを阻止することはできるのか?そして、裏切り者の正体とは?

予告編

実はラストまで緊張感が続く秀作、ノオミ・ラパスが強い!

まず結論から言おう、ネットの高評価は正しかった!

今回女性が主人公ということで、アクション部分は共演のオーランド・ブルームに任せ、てっきり尋問のスペシャリストとしての頭脳戦や情報戦略が展開すると思っていた本作。だが、そんな予想を裏切って見事なアクション映画に仕上がっていたのは、嬉しい驚きだった。

そう、確かに本作は海外ドラマ『24』並みに二転三転するストーリーと、迫力ある銃撃戦やアクションシーンで最後まで観客をハラハラさせてくれるのだ!

もちろんネット上で多くの方々が指摘されている様に、人物関係や物語の展開上不自然な描写など、確かにツッコミ所も少なく無い本作。しかしその意外な展開の連続と、ラストのバイオテロ決行へのタイムリミットを巡るサスペンスなど、最後の最後まで観客を楽しませようとするそのサービス精神は、大いに評価出来るところだ。

本作成功の要因として上げられるのが、何と言っても主演のノオミ・ラパスの見事なアクション女優っぷり!本編中でも小柄で痩せ型の彼女が敵と互角に渡り合うシーンが随所に登場するのだが、実は意外とその設定に違和感は感じられない。

その大きな理由は、映画の冒頭で主人公アリスの過去がちゃんと説明されているのと、彼女が自宅や日常生活でもトレーニングを欠かさない様子が描かれているため。更に大の男を相手に果敢に戦いを挑む強い女でありながら、協力者の家族への思いやりや、ケースワーカーとしての優しさが描かれるのも、彼女の人間的魅力を増す効果を上げているのだ。

こうして、その内面に痛みや優しさを感じさせるキャラクターとして彼女を登場させたことこそ、本作が観客の高評価を得ている理由の一つだと言えるだろう。

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ただ、一つ気になったのが、本作の大きな売りであるはずのオーランド・ブルームの残念過ぎる扱いだ。せっかくダーティなイメージで見事なアクションを披露してくれるのに、映画の終盤でのあの扱いは、実にもったいない!

更に、展開が早く話がスピーディーに運ぶ本作なのだが、全体的に登場人物が多いため、「あれ、この人もう出て来ないの?」と観客が思ってしまう人物が存在するのも気になるところ。

特にトニ・コレットが演じる、アリスに協力するイギリス情報部MI5の捜査官ノウルズは、かなりキャラが立っていて魅力的なだけに、終盤の銃をバリバリ撃ちまくっての反撃シーンで姿を消すのが実に惜しい!彼女とアリスとのバディ物として十分続編を狙えるだけに、もっとノウルズの活躍を見たかったと思わずにはいられなかった。

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最後に

ポスターデザインや出演キャストの顔ぶれなどから、良くあるB級アクションと誤解されて、劇場での鑑賞をスルーされる方も多いと思われる本作。だが、主人公アリスの背景や過去のトラウマ、それに男顔負けの戦闘能力と日々の鍛錬がきちんと描かれる本作は、ネットの高評価通り良質のサスペンス・アクションに仕上がっている。

特に映画のラスト、テロ実行までのタイムリミットが迫る中で繰り広げられる黒幕との対決は、前述した様に彼女の背景が序盤で描かれているお蔭で、絶体絶命に追い込まれた彼女がどうやって勝つか?の部分にも説得力を与えている。

更に、敵の中にもテロの実行に躊躇する者や、長きに渡る無益な争いを止めようとする者が登場するなど、特定の人種や宗教に対しての配慮を忘れないのも素晴らしい!

ただ、主人公が再び現場に復帰するという、原題の『アンロック』の意味にも通じるエピローグ部分は、ちょっと余計だったかも?あれほどテロ事件の犠牲者に心を痛めていた主人公が、単に政府の暗殺者として復帰したかの様にも見えるこのエピローグのお蔭で、ラストの余韻がかなり減ってしまったのは非常に残念だった。

もちろん、あのまま敵を放置して終わる訳にはいかないのも理解出来るのだが、その分の時間でアリスに協力して犠牲となったタクシー運転手の家族や、同じく協力者のMI5捜査官ノウルズのその後は描いて欲しかった!と思えてならなかった。

実際ネット上でも多くの方が続編に対しての期待を書かれているなど、その面白さは保証済みの本作。CG全開の作品はどうも苦手、そんな方にこそ全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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