こじらせ感爆発! 平野紫耀に罵られたかったら『ういらぶ。』を観ろ!

(C)2018『ういらぶ。』製作委員会 (C)星森ゆきも/小学館

不思議なもので、何歳になっても青春ラブストーリーというものに胸をくすぐられることが多い。筆者は学生時代これといって少女漫画に触れてこなかったにも関わらず、4年前に葉月かなえ原作の少女漫画を映画化した『好きっていいなよ。』を突然鑑賞。どハマりした結果、原作まで買い揃えたことがあり、「少女漫画って面白い」とようやく気づいて以降は、少女漫画を原作とした青春映画も分け隔てなく鑑賞するようになった。

11月9日から星森ゆきも原作の『ういらぶ。』が公開され、これにももちろん足を運んだ。主人公・凛を演じた「King & Prince」の平野紫耀ファンであろう若い女性客に囲まれ完全に“アウェー”ではあったものの、そんなことを気にしていては青春ラブストーリーを観ることはできない。というわけで。今回は平野紫耀&桜井日奈子の共演で映画化された『ういらぶ。』の魅力について紹介していこう。

天然キャラ・平野紫耀が挑むドS系こじらせ高校生

まずはあらすじから説明すると、凛(平野)・優羽(桜井)・暦(玉城ティナ)・蛍太(磯村勇斗)の4人は同じマンションに暮らす幼馴染の高校生。凛は優羽のことが好きでたまらないが、素直にその気持ちが表現できず優羽のことを「ゴミ」だの「ダメダメなヤツ」だの過剰なまでに罵ってしてしまう。一方、優羽も凛のことが好きなのに、凛のキツい態度が原因でネガティブ思考に陥ってしまいがち。そんな2人に暦も蛍太もヤキモキするものの、優羽に悪い虫を寄せつけないようさらにネガティブにしてしまおうという身勝手な動機から、凛の“口撃”は激しさを増すばかり。好き同士なのにこじらせまくった結果すれ違いが続いてしまうなか、優羽のことが好きだと和真(伊藤健太郎)がアタックを始める──という内容だ。

美男美女を揃えたキャスティングで「ありがとうございます」とお礼を述べたくもなるのだが、完全に間違った方向へ突っ走ってしまう凛というキャラクター設定が、こうした作品では斬新かもしれない。王道の青春ラブストーリーといえば王子系男子が常だが、素直になれず優羽に辛く当たる凛はクールな反面、こと恋愛に関していえば究極の“ポンコツ”タイプといえる。暦や蛍太でなくても「なんでそうなっちゃうかな(怒)」とツッコミを入れたくなる部分が多々あるのだが、それでいて妄想のなかでは優羽に積極的に迫っていくのだから、そのギャップもまた凛というキャラの魅力なのだと思えてくる。

そんな凛を平野は見事に演じきっており、クールキャラとしてはまさにアイドルとしての佇まいを存分に発揮。一転して優羽に素直になれず身悶えする様子は、超がつくほどの天然キャラとして知られている平野の性格が無意識のうちに反映されているのかもしれない。本作は優羽に対して“ツン”の顔を全開にする凛と、人目につかないところで“デレ”まくる凛という、平野の異なる表情が楽しめるわけだ。そういった意味では、平野ファンにとって1粒で2度オイシイ作品であり、もしかすると凛(=平野)に冷たい目で罵られることを喜びとする層にはなおのこと需要があるのかも?(さすがにそれはないか)

とはいうものの、結局素直になれないだけであって凛の根っこには優羽のことが好きで好きでたまらない純粋な気持ちがあるのだから、その姿はなんとも可愛らしいものでもある。和真の介入によって過度な嫉妬心も見せてしまうが(結果的に優羽を傷つけてしまうことになる)、正しい答えが分からず苦悩する時間があるのも青春の特権だろう。悩みに悩んで走り出す姿はそれこそ王道の展開だが、時には道を間違え時にはつまずく姿を、友人目線なり親目線なり遠巻きに見守るというのも観客に与えられた使命なのではないか。

青春ラブストーリーに世代交代の気配?

さきに挙げたタイトルだが、『好きっていいなよ。』の主演・福士蒼汰に加え、『ヒロイン失格』などで主演を務めた山﨑賢人に関して、ラブストーリーの定番キャストとして“またか”と批判的な目で見られることもあった。裏を返せば彼ら(女優で言えば土屋太鳳や広瀬すずといったところか)に頼らざるを得ない状況という部分もあるが、『ういらぶ。』に関していえば、平野と桜井のキャスティングは青春ラブストーリーに新しい風が吹いている証拠だといえる。

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平野といえば、ジャニーズアイドルと並行してドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」や映画『honey』で“どこかトゲがありつつやっぱり優しい”キャラクター像を見せており、『ういらぶ。』では“ドSに見せかけて実はこじらせ男子”という振り幅も見せた。二面性を持ったキャラという意味では共通した部分があり、そもそもアーテイストとしての平野に通じている部分があるような気がする。前述のように彼は口を閉じていると王子様系キャラだが、ひとたび口を開けば必ずといっていいほど天然(時として意味不明な)発言が飛び出す。キンプリとしてデビューする前にバラエティ番組で“エイプリルフール”のことを“エリンギプール”と真顔で間違えたのは有名なところで、最近では“歯磨きで腕の筋肉がついた”というエピソードが定番化している(筋肉自体は本物のようで指懸垂にも成功したことがある。『ういらぶ。』にはサービスシーンもあり)。本人としては意図せず飛び出す発言のようだが、今後は二面性というだけでなく、ストレートにコミカルな王子様を演じるのも良いのではないだうか。

(C)2018『ういらぶ。』製作委員会 (C)星森ゆきも/小学館

ヒロイン・桜井日奈子についても触れると、彼女は今年4月公開の『ママレード・ボーイ』での瑞々しい初主演ぶりが鮮烈だった。吉沢亮演じる遊とひとつ屋根の下で暮らすことになった女子高生・光希を好演し、戸惑いながらも遊に魅かれていく姿は“等身大の女の子”としてのリアリティを醸し出していた。せっかくの美貌を持ちながら引っ込み思案で黒髪をぎゅっと握って縮こまる『ういらぶ。』の優羽という女子高生は、感情をそのままさらけ出していた光希とは対極のキャラクターだといえる。だからこそ、後半から徐々に凛への感情が表面化していく姿を見せる上で、演技の力加減と言うべきか、その変化の見せ方にも繊細な注意を払ったはずだ。それにしてもさすが“岡山の奇跡”と称される気品の持ち主とあって、その瞳に吸い込まれてしまいそうな魅力が彼女には備わっている。おそらく平野と同様に、これからの青春ラブストーリー作品になくてはならない存在になるのだと思う。

(C)2018『ういらぶ。』製作委員会 (C)星森ゆきも/小学館

音楽を担当した日本の映画音楽界きっての人気作曲家

話を『ういらぶ。』に戻して、筆者としては音楽についても紹介したい。本作の音楽を担当した佐藤直紀は、代表作をざっと挙げるだけでも『海猿』シリーズ、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『るろうに剣心』シリーズ、ドラマ『精霊の守り人』シリーズ、ドラマシリーズ&劇場版『コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命–』、『永遠の0』など錚々たる作品がずらりと並ぶ。来年1月には木村拓哉主演の『マスカレード・ホテル』の公開も控えた、邦画界を代表する作曲家のひとりだ。

佐藤直紀の音楽といえば、列挙した作品群からも見えてくるが、耳になじみやすいドラマチックなメロディやアクション作品での迫力ある勇壮な楽曲が持ち味。そんなベテラン作曲家のフィルモグラフィーにあって、直球の少女漫画原作映画というのは実は極めて異例だといえる。近年はNHKのドキュメンタリー作品でもより深みを増した楽曲が目立つなどその音楽性は常に変化していて、『ういらぶ。』でも山場を迎える場面でその片鱗が見え隠れしている。とはいうものの今回はしっかりと“青春モノ”として軽快なメロディで彩られ、久しぶりのジャンル映画ながらかつて『シムソンズ』やドラマ版『ウォーターボーイズ』の名曲群を生み出した佐藤直紀らしい音色を楽しむことができる。繊細でありつつ多彩な楽器・手法の積み重ねから生まれるサウンドも、作品の魅力を引き立てる影の主役になっている。

まとめ

『ういらぶ。』のようなジャンル映画としては、時に歯の浮くようなセリフや顔面から火を吹きそうな小っ恥ずかしい場面に遭遇することがあるのも事実。むしろそういったシーンの積み重ねによって成り立つような側面もあるが、その根底にはラブストーリーとして心の機微が現れていることが多く、それを読み解いていくことも重要な視点だといえる。お気に入りの俳優やアイドル目当てでもいい。原作ファンならどのように映像化されているのか楽しむもよし。少女漫画原作映画には、実はいろいろな魅力が詰め込まれているのだ。

(文:葦見川和哉)

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