なにかとんでもないことが起こりそうな「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち メイン

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

興収43億円の大ヒット作「さらば宇宙戦艦ヤマト」という、巨大な存在。

               
先輩 この連載の第1回で扱ったのが「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」と「宇宙戦艦ヤマト2199」で、この2作品のリブートに対する姿勢がとても似ていて、それが成功していることを、僕と後輩とで語ったのでした。

爺 君が「八方美人的リメイクで、何が悪い?」と怒ったという、あれじゃな(笑)。お前さんらしい。

先輩 自分の中では「スター・ウォーズ」と「宇宙戦艦ヤマト」は繋がっているんですが、今度もまた「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」と入れ違いに「宇宙戦艦ヤマト2202 –愛の戦士たち-」が公開されます。とは言っても前作と同様、2週間限定上映ですが。

爺 例によって、劇場限定のブルーレイ・ディスクもあり、このあたりのビジネスはすっかり定着したようだな。

先輩 とにかく今回は、あの「さらば宇宙戦艦ヤマト –愛の戦士たち-」をベースにしたストーリーだと言いますから、これは黙っていられません。

爺 おたくの血が騒ぐってわけか(笑)。

先輩 いやいや、だって「さらば宇宙戦艦ヤマト」は、1977年の「宇宙戦艦ヤマト」のヒットを受けて製作された続篇ですが、この興行収入を調べて驚きました。

爺 ほお。そんな記録が残っていたんだなあ。

先輩 興収実に43億円を当時上げていたんです。配収ではなく興収ですよ!

爺 興収43億円!!それは凄い。しかも当時の入場料金は現在よりも安かったし、IMAXも4DXもなかった。にも関わらず43億円をあげたとは。

先輩 昨年のヒット作で言うと、「ドラえもん/新・のび太の日本誕生」が41.2億円でリニューアル以来の新記録を樹立しましたが、それを上回る額ですね。外国映画のヒット作と照らし合わせても、「ファインディング・ドリー」の68.3億円と「ペット」の42.4億円の間に入ることになります。

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち カット

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

「ヤマト2199」を盛り立てた、新キャラたちは今回・・・。

爺 ともかく、肝心なのは内容じゃな。君が言うように「宇宙戦艦ヤマト2199」は、理想的なリブートというか、ヤマトを愛するスタッフがその愛情に溺れることなく、冷静にあらゆる要素を検証していき、今の時代と今の観客に合わせたことで成功したシリーズだった。

先輩 特に良かったのが、新しいキャラクターの使い方なんですよ。

爺 真田の弟子として登場する新見薫、イスカンダルへの航海途上で反乱を企てる伊東、加藤といい仲になる衛生士の真琴、それから星名、榎本、百合亜といった新規登場のキャラクターたちが、随所で重要な役割を果たしていた。

先輩 それが新しい設定や展開をスムーズに見せることに貢献した、というのが僕の意見です。

爺 では今度の「ヤマト2202」ではどうなのか?ということだ。

先輩 第一章の試写を見た限りでは、「さらばヤマト」を踏襲しながらも、新しい展開が始まる予感も感じさせます。「ヤマト2199」の新キャラたちは、まだ動きを見せていませんが。

爺 ほお。

先輩 個人的には、新見さんの眼鏡着用カットが1カットしかないのが、不満でした(笑)。

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち カット

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

次の世代にむけて、ヤマトの魅力を拡大する試み。

爺 新しい展開を感じさせるということは、単に「さらばヤマト」をリメイクするのではないわけだな。

先輩 それはそうでしょう。監督こそ出渕裕さんから羽原信義さんに変わりましたが、リブートに対する姿勢は前作と変わっていないんじゃないかと思います。

爺 外国映画でも今、リブート作品が多いけど、わしから見て成功しているのは007=ジェームズ・ボンド・シリーズで、これは歴代のシリーズ作品の良いとこどりをしている。シリーズのバックグラウンドが時代に影響されないことが有効に作用しているんだろうな。逆に「ターミネーター」のリブートは、1作目の設定と世界観にがんじがらめになってしまって失敗している。

先輩 今回の「ヤマト2202」で言えば、新たに小説家の福井晴敏さんを脚本に迎えています。だからか地球連邦政府の軍備拡張がリアルに描かれていて、その設定も複雑になっているように感じます。

爺 キーパーソンじゃな。

先輩 それと、第一章を見て感じたのは、福井さんの参加もそうですが、このシリーズの客層をもっと拡大しようとしているのではないかということです。

爺 まだまだシリーズを続けようということかな?まさか次は「新たなる旅立ち」のリメイクか?

先輩 それは分かりませんが、やはり僕たちのように最初のヤマトから熱中しているような世代から、次の世代にこのシリーズを受け継いでいくことが大切じゃないかと思うんです。

爺 それは若い世代がどれだけヤマトというコンテンツに魅力を感じるかのほうが重要だろ。

先輩 そこだと思います。ヤマトってこんなに面白いのか。ヤマトでこんなことが出来るのか。そういう試みを「ヤマト2202」ではやろうとしているのではないでしょうか。

爺 とにかく「さらばヤマト」のストーリーをベースにするのであれば、ラストがどうなるかも分かっている。そのままそれをやるのか。あるいは別の解釈に基づいて、新しいストーリーを展開するのか。

先輩 何かとんでもない掟破りがあっても良いと思います。それをやったことで、面白くなるのなら。それは僕らの世代よりも、新しい世代にとって。

爺 そんな予感は、わしにもある。大いに注目していこうじゃないか、このシリーズ。

(文:斉藤守彦)

    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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