山田裕貴が『デメキン』を語る。厚成は「ハイロー」村山があったからこそ【短期連載・最終回】

INTERVIEW

2017年は12作の映画、5本のドラマに出演し、ブレイク中の俳優・山田裕貴。11月11日(土)には『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』が公開、11月18日(土)には2nd写真集「歩」が発売されました。シネマズby松竹では、全4回の連載で彼の魅力をお届けします。

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第4回となる今回は、本日公開の『デメキン』について語ります。本作は、芸人のバットボーイズ・佐田正樹の自伝的小説を実写化したヤンキー映画。そして、熱い男たちの友情や絆を描いた青春映画でもあります。

山田くんが演じたのは、主人公・正樹(演・健太郎)の親友・厚成。役どころや現場でのお話を中心に、映画『デメキン』への思いや役者としてのスタンスを語ってくれました。

──完成した映像を見たときの印象は?

山田裕貴(以下、山田):まず、話がわかりやすいし、熱くてストレートでいいなって思いました。

健太郎が演じた正樹はまっすぐ悩むやつ。厚成は進学せずに働き始めているし、気持ち的にも、みんなより先にちょっと大人になって、一歩先にいってるけど正樹のことを支えてるやつ。その対比が芝居のなかでも結構出せていたかな、と。

正樹たちにはケンカの強さ、勝ち上がっていくストーリーがあって、こっちは社会人的な大人の悩みという別ルートで悩んで、ぶつかってという対比があった。僕は不良役のなかではいちばん年上で、彼らよりも少し大人。そういうところに、僕がこの役を任された意味があるんだな、と感じていましたね。

「いやいや、中学生役は無理だろ!」って思いましたけど(笑)、そういうところに意味を見出して現場にいっていました。

──そういう現場で、撮影中に感じたことはありますか?

山田:そのときは『ガキ☆ロック』の撮影も重なっていたんです。「ハイロー3」もやっていて、正直、頭がおかしくなるんじゃないかと思いました(笑)。頭のなかがパンパンだったんですけど、それでも、倒れることなく演じることができていたから、「俺って強いんだな」って思ったんですよ。「俺、まだやれてる」って(笑)。

「死ぬ気でやっても死なないから、死ぬ気でやれ」っていう意味のことをHYDEさんが言っているんですけど、めっちゃ共感したんですよ。それ、本当だなって。

──自分のキャパシティが広がった。

山田:それこそ、「ハイロー」での経験も役に立っているんです。僕、カットかかるまで延々と芝居を続けるんです。その芝居のなかで自然と泣いちゃったりとか、思わず出た言葉がシーンとして残ってたりとか。『デメキン』でもそういうシーンがあったんです。

仲間がやられて、「ここでやり返さなくてどうする」と、迷っている正樹をけしかけてケンカするシーンで、「仲間だろうが!」って言ってるんですけど、そんなセリフ全然なくて(笑)。もう、みんなびっくりですよ!

その流れで、バタン!って扉閉めて出て行ったんですけど、そこもちゃんと残ってましたね。

あとは、病院のシーンでもありますね。隣にいる彼女のアキ(演・今田美桜)に、「ごめんな…」って言いながら、流れてきた涙が止まんなくて。…それ、台本にないんですよ(笑)!?

でも、本気でやったら監督も見ていてくれる。何回も現場をご一緒してるカメラマンさんと照明さんもいらっしゃって。僕のことをわかってくれているから、何をやってもカバーしてくれるんです。「わかった。お前がそうやるんだったら、こうするから」って、言ってくださる方々だったので、安心して背中を預けるというか、役に心を動かされるまま演じることができました。

台本の部分が終わってからカットがかかるまでのシーンが結構残ってたりするんで、一緒に作りあげた作品という感じがしてます。ちゃんと厚成として生きられたなって。

お芝居ってセリフを言うだけなら誰でもできる。でも、その人物を膨らませることができたときに、自分がやる意味があったと思えるんです。それは「ハイロー」の村山から学んだことだし、役の根底の部分で繋がっていますね。

–{甘え上手な健太郎くんとのエピソード}–

──そういう面でも、背中を見せてみんなをひっぱって行くことができる存在として、キャスティングされたのかもしれないですね。

山田:自分ではそこまではわからないですけど、人に恵まれてるとは常々思います。前回の記事にも書いていますが、共演した人から「一緒にやれてよかった」と言ってもらえて、それが次に繋がることも多くて。

もちろん好かれたらうれしいですけど、だからといって別に媚を売ったりしている訳ではないんです。ただ、ひとつ自分のなかでポリシーはあって、家族だろうが友達だろうが、対、人だと思っています。僕のなかでは、みんな対等なんですよ。

それは親子関係のなかで生まれた考え方でもあるんですけど、あるときから、人に対して境界線を作るのをやめようって思ったんです。みんな、ヒト科の動物だし、って思って(笑)。

僕、もともと大人喋るのがめちゃめちゃ苦手だったんですよ! プロデューサーさんとか監督からどう思われてるか考えて、うまく喋れなかったりして。エキストラ時代なんかは、今の自分はそういう人たちから俳優としての扱いをしてもらえない、と感じることもよくありましたし。

だから、僕は人の立場によって態度を変えることはしない、って決めたんです。立場でひとくくりに相手を見るんじゃなくて、人として向き合って、そのうえで嫌だなって感じたら、合わないなって思うだけで。

なんでそう思うようになったかというと、自分がなんのために頑張ってるのか、って考えたときに、自由に仕事したいというところに行き着いたから。僕が僕として現場にいるために頑張ってるというか。そういうスタンスが、共演者からやれてよかったって言ってもらえたりとか、監督さんに何回も使ってもらえるっていうところにつながってるのかなって、自分では思いますね。

健太郎も人見知りで、最初、僕のことを敬遠してるのかな、っていうのはなんとなく感じていて。でも、いつのまにか「もうだめだ俺、裕貴くん好きだ」とか言い出したんですよ(笑)。「お前、どうした⁉︎」みたいな(笑)。

そういうことが本当にありがたいというか。彼がどこにツボったのかはわからないけれど、本当にこういう人間でよかったなって思いますね。

それがようやくじわじわと、少しだけセカイを変えるものになってきて、今年、これだけやらせてもらえたということにつながっているならうれしいです。

–{『デメキン』はかわいい男の子たちの映画?}–

──健太郎くんにインタビューしたとき、「山田くんは、お兄さんみたいな人」って言っていました。でも、そんな山田くんにも人見知りを発揮していたんですね。

山田:めちゃくちゃ人見知りでしたね(笑)。でも、それもまたかわいいというか。僕の太ももで急に寝はじめたこともあるんですよ。「僕はお前のなんなんだ!?」って思うくらいに、甘えるのがうまいというか、口では言えないから行動に出しているんだろうな、というか。

そういうところも正樹に合ってると思いました。でも、座長として現場にいる姿は初主演とは思えなかったですね。気を張ってたぶん、そういう態度の変化があったのかも。

──徐々に山田くんに心を許していったのかな、と。

山田:実際はどうかわからないけれど、そういう人間ではありたいなって思います。撮影が楽しかったという気持ちは、どんな映画でも演者たちの思い出に残る。だから、ちょっとでも「山田裕貴がいたから楽しかった」って思ってもらえるといいな、と思って現場にいます。

それがうまく発揮できるときとできないときがあるけど、『デメキン』の現場ではそれをできていたんじゃないかな。

──ちなみに佐田さんもよく現場に来てたとか。

そうですね。方言とか当時のお話をたくさん教えてもらいました! あのころの写真も見せてもらって。そのメンバーのなかには亡くなられた方もいるそうなんですが、お葬式には絶対にみんなで集まって行く、という話も聞いて。絆がすごいんですよ。その思いをもらったことで、僕らもそれに負けちゃいけない、っていう気持ちで、より熱く情熱を燃やすことができたと思います。

──では、最後に記事を読んでいる人にメッセージをお願いします。

山田:暴走族モノだし、殴り合ったりケンカしたりしてるんでしょ、って思う人もいるかもしれないし、僕にそういう役のイメージがある人もいるかもしれない(笑)。でも、そういう作品って、受け取ってほしいメッセージはそれぞれにあるんです。

『デメキン』は殴り合ってるのも、まぁ、喋ってるみたいなもので、まだそういうコミュニケーションしかできないっていう、かわいい男の子たちの青春の話なんです(笑)。でも、そこまで人にできますか? 人のために、ここまで熱くなれますか?って言いたいし、そんな人、めったにいないですよね。

しかも、佐田さんの実話が原作で、その思いを背負って、僕らは本当に熱い日々を過ごして。その情熱だったりメッセージだったりが伝わって、「友達に連絡しよう」でも「恋人に連絡しよう」でもいいから、なにか行動を起こすきっかけになればうれしいです!

約1か月に渡ってお届けした、この連載。2018年も引き続きの活躍に期待して、全4回を終了したいと思います。

ぜひ、これまでの記事も振り返ってみてください。

【山田裕貴・短期連載】

第1回・「ハイロー」シリーズを振り返るー「役柄とはいえ、本当に悔しかった」
第2回・“写真集「歩」”を語るー「普通の取材では書けない、正直な言葉も載せています」
第3回・山田裕貴の2017年を振り返る。パーソナルに迫る30問のQ&Aにも回答!

山田裕貴(やまだ・ゆうき)
1990年9月18日生まれ。愛知県出身。『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)でデビュー。2017年公開作は『破裏拳ポリマー』『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』『二度めの夏、二度と会えない君』『トモダチゲーム 劇場版FINAL』『闇金ドッグス7』『亜人』『あゝ、荒野』『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』など。『デメキン』の公開を12月2日(土)に控えるほか、2nd写真集「歩」が11月18日(土)発売。

撮影協力:「ガストロパブ オーガスタス」

渋谷でイタリア料理やスペイン料理の経験を積んだシェフによるジャンルにこだわらないバラエティー豊かな西洋料理を楽しめます。オーストラリアへ足を運んだソムリエによる本格ワインも揃えているので「食べる楽しみ」と「飲む楽しみ」の2つを実現できる新しい形態のお店です。

1人でふらっと気軽に入れる渋谷のお店ですが、出される料理はオーストラリア仕込みの自家製『豚肉と赤リンゴの自家製ソーセージ』などのオリジナル料理をご用意しております。

「ガストロパブ オーガスタス」東京都渋谷区渋谷3-15-2 コンパルビル2F
https://www.gastropub-augustus.com/

(写真:生熊友博、文:大谷和美)
(C)よしもとクリエイティブ・エージェンシー/ワニブックス/秋田書店・ゆうはじめ
(C)2017 映画『デメキン』製作委員会

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