【2023春ドラマ】活躍間違いなしの注目俳優“8人”をピックアップ!


2023年4月期のドラマが順次放送開始となっている。出会いの季節に始まるドラマだけに、いつもより高揚感が強い。

さて、前期は「夕暮れに、手をつなぐ」(TBS系)で“野生児のようで実は天才肌”というアンリアルなキャラクターを見事乗りこなした広瀬すず、「100万回 言えばよかった」で16年ぶりにTBSの連ドラ主演を務め、繊細な演技を披露した井上真央、「罠の戦争」(カンテレ・フジテレビ系)の二転三転する物語を映画並みに重厚感のある演技で牽引した草彅剛など、改めてその実力を示した俳優が多かったように思う。

今期は誰が株を上げるのか。独断と偏見で活躍間違いないの注目俳優を8名紹介する。

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山田裕貴「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」

(c)TBS

山田裕貴
の勢いが止まらない。昨年は4月から9月にかけて、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ちむどんどん」に出演。その後まもなく『耳をすませば』『夜、鳥たちが啼く』『ブラックナイトパレード』と3本の出演映画が公開された。

年明けからは1月期のドラマ「女神の教室〜リーガル青春白書〜」(フジテレビ系)で主演の北川景子に次ぐメインの役を張ったほか、現在はNHK大河ドラマ「どうする家康」で戦国最強武将の一人と謳われた本多忠勝役で活躍中。何ヶ月かずっと彼の顔を見ている気がするが、それでもなお決して人に飽きさせないのが山田だ。

高身長で筋肉質な彼は『東京リベンジャーズ』のドラケンや『HiGH&LOW 』シリーズの村山に代表される不良役はもちろん似合うのだが、「女神の教室」の藍井みたいな何を考えているか分からない変人も、「ちむどんどん」の博夫みたいに弱腰な男性もこなせてしまう。さらにコメディからシリアスまで、どんな作品、どんな役にも自分を馴染ませられる職人俳優なのだ。



そんな山田が4月21日から始まる「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」でついにGP帯連続ドラマ初主演を務める。ようやく評価が彼の実力に追いついてきたと言っても過言ではない。たまたま同じ電車の同じ車両に乗り合わせた乗客が未来の荒廃した世界にタイムスリップし、水も食料も電波もない極限下の中で懸命に生きる姿を描いた本作。山田が演じるカリスマ美容師の主人公がどんな活躍を見せてくれるのか楽しみだ。

(2023年4月21日から毎週金曜、後10:00〜/TBS系)

小芝風花「波よ聞いてくれ」



もうすぐ26歳の誕生日を迎える小芝風花。まだ20代半ばということに驚いてしまうほど、彼女のお芝居には安定感がある。小芝は2014年に映画『魔女の宅急便』のキキ役を見事射止め、デビュー。そして4年後に「トクサツガガガ」(NHK総合)で主演に抜擢され、特撮オタクを演じたことによりコメディエンヌとしての才能を開花させた。

そこからの飛躍は凄まじく、2020年には「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)で中村倫也の相棒役、翌年は韓国で大ヒットしたドラマのリメイク版「彼女はキレイだった」(カンテレ・フジテレビ系)で中島健人の相手役を務めた小芝。いずれも、ともすれば見る人をうんざりさせそうなドタバタ系のヒロインなのに不思議と彼女が演じていると嫌な感じがしない。

それは、小芝が“攻めの芝居”だけじゃなく“受けの芝居”もできるからだ。ヒロインとして、相棒として、相手役を務める俳優の見せ場では一歩後ろに引くことができる。かといって存在感が薄くはならない。その絶妙なさじ加減が小芝は非常に上手な役者だ。昨年放送された「霊媒探偵・城塚翡翠」「invert 城塚翡翠 倒叙集」(日本テレビ系)でも主演の清原果耶とその相棒役を務めた小芝の評価が相乗効果で上がっていった。

そんな小芝が今期主演を務める「波よ聞いてくれ」(テレビ朝日系)は沙村広明による漫画が原作。小芝は金髪に髪を染め、本作でやけ酒を飲んではマシンガントークを飛ばす、やさぐれたラジオパーソナリティという役で新境地を開く。みんなの「こんな小芝風花が見たかった!」を満たしてくれる作品となるだろう。

(2023年4月21日から毎週金曜、後11:15〜/テレビ朝日系)

高杉真宙「わたしのお嫁くん」



「最高に仕上がった飛行機と最高に仕上がった由良が未来で待ち合わせしとる」

未来で待ち合わせ。3月に最終回を迎えたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」では、そんなロマンチックな台詞をさらりと言ってのけるキャラクター・刈谷博文を演じた高杉真宙。刈谷はヒロイン・舞(福原遥)が大学時代に所属していた人力飛行機サークル「なにわバードマン」で設計を担当していた先輩だ。

ストイックで妥協を許さない刈谷は一見孤高の存在かと思いきやちゃんと人の輪に入り、みんなで夢を追いかけることができる人。そういう、ある種の複雑さを持った刈谷というキャラクターを高杉は作り出した。

他にも映画『いつか、いつも‥‥‥いつまでも。』では恋に不器用な医者、「PICU 小児集中治療室」(フジテレビ系)では激務の末に自殺未遂を起こす主人公の幼なじみを演じたりと、真面目すぎるくらい真面目な役を演じることが多い高杉。他の人よりも分かりづらいけど、目を凝らせばちゃんと気づけるくらいの感情を覗かせる繊細な演技が魅力だ。

そんな彼が次に挑む役は、家事力最強男子。ドラマ「わたしのお嫁くん」(フジテレビ系)で波瑠演じる大手家電メーカーのトップセールスウーマン・速見穂香と、ひょんなことから同棲することになる後輩の山本知博を演じる。ラブコメでその実力がどう活かされるのか、期待が高まる。

(2023年4月12日から毎週水曜、後9:00〜/フジテレビ系)

前田敦子「かしましめし」「育休刑事」



今期は2作品に出演するのが、前田敦子だ。AKB48の“不動のセンター”として知られていた頃からアイドルと俳優の二足の草鞋を履く演技ドルだった前田。グループを卒業後は俳優として以前より多くの作品に出演するようになり、その演技力の高さはもはや自明のものとなりつつある。

先日は前田が主演を務めるドラマ「ウツボラ」がWOWOWで放送・配信開始となった。前田は本作で一人二役を務め、 北村有起哉演じる盗作に手を染めた作家を追い詰めていく双子の姉妹を演じている。まるでフランス人形のように美しく、人としての温もりを一切感じさせない。だが、突如としてその感情を爆発させ、相手を混乱させる彼女たちの不安定さを前田が上手く乗りこなしている。

主演はもちろんのこと、映画『町田くんの世界』で演じたちょっとやさぐれ感のある女子高生のように、脇役でも一度見れば目が離せない存在感を放つ前田。4月10日から始まるドラマ「かしましめし」(テレビ東京系)では、成海璃子、塩野瑛久と共に人生につまずいたアラサーを演じる。前田扮する主人公の千春は上司からのパワハラで心が折れ、会社を退職。気分転換として始めた“料理”に活路を見出す、弱さだけじゃない、生命力の強さも併せ持った前田にぴったりのキャラクターだ。

一方、「育休刑事」(NHK総合)では金子大地演じる主人公で育休中の刑事・秋月春風の姉で法医学者の涼子を演じる。「楽しそうな事には居ても立っても居られないとにかく明るい姉」とのことで、千春とはまた違った役柄。2つの作品で異なる表情を見せるであろう前田の活躍にワクワクが止まらない。

(「かしましめし」2023年4月10日から毎週月曜、後11:06〜/テレビ東京系)
(「育休刑事」2023年4月18日から毎週火曜、後10:00〜/NHK総合)

楽駆「俺の美女化が止まらない!?」



4月5日からスタートしたドラマ「俺の美女化が止まらない!?」(テレビ東京系)で連続ドラマ初主演を務める楽駆からも目が離せない。2017年に所属事務所主催の新人発掘ワークショップオーディションで応募者数500人以上の中から選ばれ芸能界入りを果たした楽駆。その演技力の高さは2年後、映画「最初の晩餐」で窪塚洋介扮するシュンの青年時代を演じたことにより世間に広まる。同作で楽駆は「第34回高崎映画祭最優秀新人男優賞」を受賞した。

ちなみに筆者が彼を知ったのは、白線の綱渡りを通じて出会った男子高校生の恋を描いたドラマ「Life 線上の僕ら」でのこと。白洲迅の相手役に抜擢された楽駆の、天真爛漫であどけないのに何故か色気のある不思議な存在感が印象に残っている。

「明日、私は誰かのカノジョ」(MBS・TBS系)では、レンタル彼女として働く主人公に恋をするごく普通のサラリーマンを演じた楽駆。決して悪い人ではないけれど、恵まれた環境で育ったがゆえにそうではない人の心情に寄り添うことができない彼の鈍さを、出演シーンが短いながらに上手く表現していた。

実力はあれど、これまで目立った代表作がなかった楽駆にとって転機となるであろう作品が、今回のドラマだ。楽駆が演じるのはなんと女装男子!女性と話をすると顔が赤くなってしまう赤面症に悩む大学生が、女装することで少しずつ成長していく姿を体現する。もともと中性的な見た目をしている楽駆だけに女装姿の美しさにも注目が集まる本作。これを機に、彼がさらに飛躍することを願っている。

(2023年4月5日から毎週水曜、前3:20〜/テレビ東京系)

高畑充希「unknown」

(c)テレビ朝日

「おっさんずラブ」の制作陣が手がけるドラマ「unknown」で田中圭と共に主演を務めるのが、高畑充希。同作は互いに秘密=unknownを抱えた夫婦の深い愛を描くラブストーリーに予測不能な連続殺人事件が絡み合うラブサスペンスだ。

高畑充希とラブサスペンス。この組み合わせはかなり新鮮で、どちらかといえば、高畑充希はコメディが似合うイメージだ。「過保護のカホコ」(日本テレビ系)では両親に溺愛されて育ったひとりでは何をするのもおぼつかない大学生のカホコを演じた高畑。そんなカホコが1人の青年に恋をし、少しずつ自立していこうとする姿を愛らしくコミカルな演技で体現した。

他にも「忘却のサチコ」(テレビ東京系)では完璧な仕事ぶりから“鉄の女”と称される編集者、「同期のサクラ」(日本テレビ系)では忖度も妥協も一切なしのまっすぐすぎる新入社員と、高畑が演じるのはいつも漫画から飛び出してきたような一癖も二癖もある役ばかり。だが、そんな高畑が「unknown」ではさらに現実離れした役に扮する。

高畑が今回演じるのは誰にも言えない秘密を抱えて生きる週刊誌のエース記者で、その正体は吸血鬼……という主人公の闇原こころ。そんな彼女がやはり同じく秘密を抱える警察官・朝田虎松(田中)と恋に落ちるも、結婚に踏み出せずにいた頃、2人が住む街で連続殺人事件が起きるというストーリーになっている。

トンデモ展開になるのでは?と不安視する声もあるが、どんな役であろうとその内にある感情を色鮮やかに見せてくれる高畑なら、今回も巧みに作品を操縦してくれるのではないだろうか。

(2023年4月18日から毎週火曜、後9:00〜/テレビ朝日系)

松下洸平「合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~」

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松下洸平
が天海祐希の相棒を演じる。そんなの面白くならないわけないじゃん!と思わず叫んでしまったのが、4月17日から始まるドラマ「合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~」(カンテレ・フジテレビ系)だ。

同作はベストセラー作家・柚月裕子の小説を元に、頭脳明晰で変装を武器とする女探偵・上水流涼子(天海)がIQ140を誇る変わり者の相棒・貴山伸彦(松下)と共にさまざまな依頼をありえない方法で解決していく極上エンターテインメント。かつて前情報だけでこんなにワクワクするバディものがあっただろうか。

というのも、これまで松下は色んなタイプの“相棒”を演じてきた。「最愛」(TBS系)では、殺人事件の重要参考人となった吉高由里子演じるヒロインの梨央を支える元恋人の大輝。変わらぬ愛情を梨央に注ぎながらも、刑事としての使命との間で葛藤する彼の複雑な心境を情緒たっぷりに松下は見せてくれた。TBS日曜劇場「アトムの童(こ)」では、山崎賢人演じる若き天才ゲーム開発者・那由他の盟友である隼人役に。当初、敵に寝返ったと思われた隼人の秘めた思いに涙が止まらなかった。

松下は相手の魅力を際立たせる受けの演技が秀逸だが、同時に彼が演じる役も主人公にしたって申し分ないくらいの奥深さがある。それは、その人の作中では描かれていない人生までもが浮かび上がってくる松下の緻密な役作りの賜物だ。今回も一見完璧だが、女性が苦手でうまく話せないという弱点を持った興味深い相棒をどう演じてくれるのか楽しみである。

(2023年4月17日から毎週月曜、後10:00〜/カンテレ・フジテレビ系)

稲森いずみ「夫婦が壊れるとき」



最後に紹介したいのが、4月7日にスタートしたドラマ「夫婦が壊れるとき」(日本テレビ系)で主演を務める稲森いずみだ。90年代後半から2000年代初頭にかけ、テレビにかじりついてドラマを観ていた筆者にとっては、稲森が民放ドラマで久しぶりに主演を務めることが嬉しくてしょうがない。

「ハッピーマニア」(フジテレビ系)や「バツ彼」(TBS系)、「曲がり角の彼女」(カンテレ・フジテレビ系)など、20代〜30代男女の恋愛を描くドラマには欠かせない存在だった稲森。クールビューティーなのに多くの作品でコメディエンヌぶりを発揮しており、親しみやすい印象を受ける。

そんな彼女は近年、“頼れる姉御”としての活躍が目覚ましい。特に印象に残っているのは、「ファイトソング」(TBS系)で演じた直美。直美は主人公の花枝(清原果耶)が育った児童養護施設の施設長で、厳しくもあたたかく子供たちを見守る眼差しが印象的だった。

また「極主夫道」(読売テレビ・日本テレビ系)では極道の妻・雲雀を振り切った演技で演じ、「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」(TBS系)では目的のためなら手段を選ばない公安の女性刑事・月島役で作品にスパイスを加えた。

そんな彼女が今回主演を務めるのは、18歳以上の大人女性層をメインターゲットにした日本テレビの新ドラマ枠“金曜ドラマDEEP”で第1弾として放送される「夫婦が壊れるとき」。世界中で社会現象を巻き起こした韓国ドラマ「夫婦の時間」のリメイク版で、稲森は吉沢悠演じる不倫夫に壮絶な復讐を果たす妻を演じる。その安定したお芝居で目の肥えた視聴者をも喜ばせてくれることだろう。

(2023年4月7日から毎週金曜、前0:30〜/日本テレビ系)

まとめ

若手からベテランまで、今回もラインナップを見ているだけでワクワクが止まらない主演陣が集結した2023年春ドラマ。

CINEMA+では、今回も多くのドラマをレビューしていく。ぜひ一緒に最後まで物語を追いかけてみてほしい。

(文:苫とり子)

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