『ジュウオウジャーVSニンニンジャー』スーパー戦隊ムービーこそは映画の原点!

■「キネマニア共和国」

「ジュウオウジャーVSニンニンジャー」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・東映AG・ 東映

今や世界に誇るスーパー戦隊シリーズも『動物戦隊ジュウオウジャー』で通算40作に到達し、さらにはTV2000回放送というWアニバーサリーを達成しました。

思えば第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』のTV放送が始まったのは1975年ですから、その年に生まれた子どもも今や40歳前半というわけで……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.191》

なんて歳のことなどこの際言いっこなしにして(!?)、毎年冬のお楽しみ、新旧スーパー戦隊同士の熱いタッグを楽しみましょう! 

今回はジュウオウジャーと、その先代にあたる39代の手裏剣戦隊ニンニンジャーのアメイジングバトルだ!

VSものの王道をいく
二大戦隊同士の熱いバトル!

本作『動物戦隊ジュウオウジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージfromスーパー戦隊』は、VSものの王道を行く戦隊同士のバトルを堪能できる作品です。

今回はニンニンジャーの面々がワルどもにだまされて、ジュウオウジャーを人類の敵たる妖怪と勘違いし(そもそもジュウレンジャーの面々の大半は人間ではなく、ジューマン。しっぽも生えてます)、そこから双方の戦隊がぶつかりあっていきます。

さらに今回は、両戦隊がぶつかりあって共倒れとなり、スーパー戦隊の歴史が終わってしまったという未来から、ニンニンジャーのアカニンジャーこと伊賀埼天晴(西川俊介)の息子と名乗る少年がタイムワープの術(そんな忍法があっていいのか?)でやってきて、双方の争いをやめさせようとします。

スーパー戦隊シリーズに限らず『仮面ライダー』シリーズでもタイムリープをネタにした作品は多くあり、「やれやれ、またかいな」と思うマニアな方もいらっしゃるかもしれませんが、これはその年その年の子どもたちにSF的設定の楽しさを教えてくれる定番ネタとみなしたほうが得策。

何よりもスーパー戦隊シリーズの本領は、子どもたちに未来への夢と希望と勇気を与えることなのですから。

「ジュウオウジャーVSニンニンジャー」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・東映AG・ 東映

ヒーロー・アクションと特撮
東映ならではの“映画”へのこだわり

とはいえ、既に半世紀以上生きているガキおやじのこちらとしては、お楽しみはやはりお互い異なるテイストで活躍する二大戦隊のアクションです。

思えば1980年代以降、日本映画界からアクション映画が激減していく中、アクションの火を絶やすことなく続いていたのが、このスーパー戦隊シリーズであり、やがてはライダー・シリーズも復活していったわけですが、そうした中から東映独自ともいえるヒーロー・アクションの伝統が根づき、ひいては次世代へのアクションの興味や意欲などを育んでいったと、私は確信しております。

今回も、もう堅いことなど言いっこなしで、存分に獣と忍者、双方のヒーローならではのアクションを堪能させていただきました。

特に私自身は設定なども含めてニンニンジャーの大ファンだったので、今回は久々の銀幕での再会に胸がときめくというか、実は天晴やシロニンジャー風花(矢野風花)の父親・旋風(矢柴俊博)の気持ちになって、彼らを見守っていることにも気づかされます。
(そういえば今回は旋風さんの見せ場もあるのが嬉しい限り。さらに申せば、モモニンジャー霞役・山谷花純ちゃんのファンでもあります)

クライマックスの合体・巨大ロボ特撮バトルも定番中の定番ではありますが、こちらもTVのモニターよりも銀幕の大画面のほうがより映えてワクワクしてしまうのは、やはり本シリーズを制作し続ける東映という映画会社の“映画”としてのこだわりゆえで、またそうした心意気が子どもたちに映画に対する興味を芽生えさせ、やがては彼ら彼女らも映画ファンへと育っていくのでしょう。

いわばスーパー戦隊ムービー(&東映の特撮ヒーローもの)こそは、映画という名のエンタメの原点たりえているのではないでしょうか。

また今回はサブタイトルにもある「メッセージ」として歴代戦隊のリーダー格でもあるレッドたちが集結(もう、まさに質より量の東映ならでは!?)。その代表として12代目『超獣戦隊ライブマン』(88)のレッドファルコン(嶋大輔)が登場するのも、当時のファンには嬉しいところでしょう。

そして、まもなく始まる第41代目のスーパー戦隊『宇宙戦隊キュウレンジャー』も初披露。何と彼らの数は9人! どうやら星座をモチーフにしているようです。占星術にたとえて12人じゃないのね? とか、いろいろ今は勘繰ったりもしてしまいますが、まあ、その全貌は本放送が始まってからのお楽しみということで!

ところで、本作は双方のスーパー戦隊が滅びてしまった(つまりは死んでしまった)未来から天晴の息子がやってくるという設定ですが、よくよく考えると、それっておかしくないか? と、映画を見ながらタイムパラドックスの矛盾に首を傾げる向きもあるかもしれませんが……まあ、最後まで見守ってやってくださいませ……フフフ!?

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(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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