大河『豊臣兄弟!』放送直前!“秀吉という男”を一気に掴む歴史エンタメ3本

金曜映画ナビ

1月4日から始まるNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』は、豊臣秀吉“本人”だけでなく、弟・秀長というもう一つの視点から豊臣の時代を描くというのが大きな魅力。
秀長役に仲野太賀、秀吉役に池松壮亮が発表されており、兄弟の「距離」と「同盟」が、戦国の勝者の物語を人間ドラマに変えていきそうです。

そこで今夜の「年末年始暇つぶし映画特集 第二弾」は、秀吉を“美”で照らし、“成り上がり”で追い、“伝説”で遊ぶ——角度の違う3本を公開年順に。

一本観るたび、秀吉の輪郭がぐっと立ってきます。


『利休』(1989年)——権力が欲しがった“美”と、抗えなかった“孤独”

(C)1989 株式会社勅使河原プロダクション/松竹映像株式会社/伊藤忠商事株式会社/株式会社博報堂

秀吉を語る映画は数あれど、『利休』が突き刺してくるのは、刀でも戦でもない。
美意識です。
茶の湯という“静かな宇宙”の中心にいる千利休(主演:三國連太郎)と、天下人として巨大化していく秀吉(山崎努)。
ふたりの関係は、師弟でも友でもない。もっと危うい——相手の中に、自分にないものを見てしまった者同士の物語です。

勅使河原宏監督の画面は、声を荒げないのに圧がある。
障子越しの光、器の陰影、空間の“間”が、権力の熱と真っ向からぶつかる。
合戦の派手さとは別の意味で、戦国の怖さを見せてきます。
「天下統一」の裏側に、文化が、審美眼が、そして嫉妬がどう絡むのか。
大河を観る前にこれを入れておくと、秀吉という人物が“ただの成り上がり”ではなくなります。

(C)1989 株式会社勅使河原プロダクション/松竹映像株式会社/伊藤忠商事株式会社/株式会社博報堂

ちなみに本作は海外でも評価され、モントリオール世界映画祭で最優秀芸術賞を受賞し、ベルリン国際映画祭でもフォーラム部門関連の賞(フォーラム連盟賞)を受賞したと記録されています。

華やかな大河の“前夜”に、静かで鋭い一本を。
正月の時間の流れが、少しだけ違って感じられるはずです。

『豊臣秀吉・天下を獲る!』(1995年)——「正月の12時間」で、秀吉の62年を丸ごと浴びる快楽

(C)1995 株式会社テレビ東京・松竹株式会社

次は、もはや“作品”というより体験。
1995年1月2日にテレビ東京で放送された『豊臣秀吉・天下を獲る!』。
日吉丸の幼少期から、信長の草履取り、機知でのし上がり、そして天下人へ——秀吉62年の波瀾万丈を、正月のテレビに詰め込んだ怪物企画です。

主演は五代目中村勘九郎。
織田信長に宅麻伸、徳川家康に竹中直人。
さらに、柄本明(竹中半兵衛)、岸部一徳(千利休)、黒木瞳(お市の方)など、戦国の主要人物が“顔”で揃う。
12時間という尺は、史実を細密に積み上げるためだけにあるんじゃない。
「秀吉の生き方が、どれだけ周囲の人生を巻き込み、動かしたか」を、体感させるためにある。

(C)1995 株式会社テレビ東京・松竹株式会社

ここでの秀吉は、英雄として神格化されるだけでは終わりません。
人懐っこさも、計算高さも、弱さも、老いも、全部出してくる。
大河を観るうえで効いてくるのは、まさにこの“揺れ”です。
秀吉は、最初から勝者じゃない。
勝者になってからも、勝ち続けることに囚われる。
その変化を、時間で殴ってくる。
年末年始の「何もしたくない日」にこそハマる、最高に贅沢な消費の仕方です。


『GOEMON』(2009年)——史実を“伝説”に変える、戦国スーパースペクタクル

(C)2009「GOEMON」パートナーズ

最後は一転、史実の重みを背負いながら、映画としてブチ上げる方向へ。

紀里谷和明監督の『GOEMON』は、石川五右衛門という伝説の大泥棒を主役に据え、戦国末期の権力闘争を、スピードと映像で“娯楽”として成立させた一本です。

この作品の面白さは、秀吉が“主人公”ではないところにあります。
権力の中心にいる秀吉は、物語の外縁からでも圧が伝わってくる存在として立ち上がる。
『利休』が秀吉の“美への飢え”を見せ、『天下を獲る!』が“成り上がりの体温”を見せたなら、『GOEMON』はそれらをまとめて、「戦国という時代の熱狂」に変換してしまう。
歴史ドラマの予習というより、大河を観る体力を作る前哨戦みたいな一本です。

(C)2009「GOEMON」パートナーズ

難しいことは抜きにして、「派手に楽しみたい正月」にちょうどいい。
重厚な2本のあとに入れると、口の中が一気に“映画”で満たされます。

(C)2009「GOEMON」パートナーズ

秀吉は「一人」じゃない。視点が変わると、顔が変わる

大河『豊臣兄弟!』が描こうとしているのは、きっと“天下人・秀吉”の一点突破じゃなく、秀長という鏡を通した豊臣家の温度でしょう。

その前に——

『利休』で、権力が欲しがった“美”と、秀吉の内側の闇を知る。
『豊臣秀吉・天下を獲る!』で、成り上がりの全工程を“体感”する。
『GOEMON』で、戦国を娯楽として解放し、熱量のまま駆け抜ける。

この3本を年順に踏むだけで、秀吉の像は、教科書の人物から「感情を持った存在」へ変わります。
1月4日、テレビの前で大河のオープニングが始まる瞬間——あなたの中の秀吉は、もう別人になっているはずです。

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『利休』(1989年)
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『豊臣秀吉・天下を獲る!』(1995年)
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『GOEMON』(2009年)
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