2021年07月22日

【厳選】今週公開オススメ映画!夏の大作・話題作だけではなく、珠玉の秀作にも光を!

【厳選】今週公開オススメ映画!夏の大作・話題作だけではなく、珠玉の秀作にも光を!

『復讐者たち』

ホロコーストを生きのびたユダヤ人たちによるドイツ人虐殺計画の恐るべき全貌!


(C)2020 Getaway Pictures GmbH & Jooyaa Film GmbH, UCM United Channels Movies, Phiphen Pictures, cine plus, Bayerischer Rundfunk, Sky, ARTE

1945年、ホロコーストを生きのびたユダヤ人によるドイツへの壮絶な復讐計画“プランA”の全貌を描いた衝撃作。

妻子をナチスに殺された主人公・マックス(アウグスト・ディール)は、ナチス残党を密かに処刑していく「ユダヤ人旅団」と行動を共にし、さらには旅団の命を受けて過激な報復活動を行うユダヤ人別組織「ナカム」に潜入し、そこで彼らが準備を進める恐るべき計画を知ることになります。

「ナカム」はナチスのみならずドイツ人全体を敵とみなし、まさに「目には目を」とでもいった形でおぞましき復讐を敢行しようとしているのですが、少しでもホロコーストの実態などを映画や本でかじった事のある方ならば、事の是非はともかくとしてそういった復讐心をユダヤ人が抱いてしまう瞬間があることは理解できるのではないでしょうか。

こちらも改めて目を見張らされたのは、戦後のドイツ人にユダヤ人への蔑視の目線を向ける輩が一定数いたという事実を隠してないところで、実は同じ敗戦国である日本と似たようなことが当然のように行われていた事実に痛感させられます。

やはりホロコーストはナチスだけではなくドイツ人全体の問題として見据えていくべきであり、そうしないと憎しみの連鎖を断ち切ることはできないという本作の隠れたメッセージは、日本人もまた重く受け止めなければならないでしょう。

ナチスの非道をモチーフにした作品には進んで出演し続けるアウグスト・ディールですが、『名もなき生涯』(19)ではナチスへの兵役を拒否し続ける聖人的キャラを好演していたのと一転して今回は復讐の鬼という、凄みのある豹変ぶりにも圧倒されました。

クライマックスからラストにかけての処理に関してだけ、個人的にはちょっといかがなものかと思わせるものが無きにしも非ずでしたが、ドロン・パズ&ヨアヴ・パズの監督コンビがイスラエル出身と知るに至り、そうしないと気がすまないところもあったのだろうと、そしてこの問題はあまりにも根深すぎるものであると、改めて忸怩たる想いに捉われてしまいました。

●2021年7月23日よりヒューマントラスト有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
配給:アルバトロス・フィルム
監督:ドロン・パズ、ヨアヴ・パズ
出演:アウグスト・ディール、シルヴィア・フークス



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