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2021年08月27日

<ただ離婚してないだけ>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<ただ離婚してないだけ>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】



第12話ストーリー&レビュー

第12話ストーリー



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佐野(深水元基)が死んだことによって自分達の罪を知る人物がいなくなり、平穏な暮らしができると思って安堵していた正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)。その矢先、ヤクザの仁科(杉本哲太)が2人の元にやってくる。仁科は2人が萌(萩原みのり)の遺体を掘り起こす写真を見せ、1億で買い取るよう要求し…!?夫婦は再び、絶望の淵に追い込まれる。
いよいよクライマックス!殺人を犯した夫婦が辿る運命とは!?

第12話レビュー

雪映(中村ゆり)に、仁科(杉本哲太)たちを殺すよう言われた正隆(北山宏光)。拒絶なのか、絶望なのか、助走もなくポロリとこぼれた涙にこちらまで動揺させられてしまった。

刃物や、油を詰めた瓶、偽装した札束…あれ、これは何のドラマだったっけ? と疑うような“準備期間”の様子が淡々と流れる。マットレスを人に見立て、包丁を何度も突き立てる正隆。窓に写った自分を見た彼は、どんな思いだったのだろうと考えると苦しくなる。こんなこと、したくはなかったはずだ、もちろん。

そこへ、贈収賄で逮捕された弟の利治(武田航平)から連絡が入る。懲役3年、執行猶予5年という判決が下ったという報告。そして利治は、「正隆の本当の父親でありたかった」「私のような道を辿らないこと」「大切なものたちを傷付けないために」という遺言を父・利通(団時朗)が残していったことを伝える。
その中には、正隆ではなく利通を社長に据えたことについて、家柄にとらわれていたという反省の弁も含まれていた。筆者の考えすぎかもしれないが、作中、何度も流れてきた床に広がっていく血の映像を思い出してしまった。家柄、血筋…これもまた正隆を苦しめたもののひとつだったな。

雪映の手料理を「美味しい」「ありがとう」と言って食べる正隆。1話ではお漬物を吐き出していたというのに。短期間で人ってこんなにも変わるものなのかと慄く。そして、深夜、受け渡し場所へ。もはや完全に殺される…いや、自ら死にに行っているとさえ思える展開だった。

夜が明けても帰ってこない正隆を案じて、様子を見に行った雪映。だが、そこには正隆の姿も仁科の姿もない。混乱の中、泣きながらさ迷い歩く雪映。街頭ビジョンから聞こえてきたのは正隆逮捕のニュースだった。
正隆は、自首をしていたのだ。父の「偽りなく生きてくれ」、弟の「生き直そう」という言葉、そして守るべき妻とまだ見ぬ我が子の存在が背中を押した。最後の最後で正隆は、全ては挫折に起因する自暴自棄が引き起こしたことだとやっと自覚してくれた。これだけでも、これこそが、大きな1歩だと感じる。気付いてくれて本当に良かった。

雪映が街中で突如破水した時にはどうなることかと思ったが、子どもも無事に生まれた。萌(萩原みのり)の遺体も見つかった。利通の遺産、5億円はそっくり萌の弟の創甫(北川拓実)の手に渡った。正隆からの償い、姉の命の代償。お金で済む話ではないけれど、創甫がここからしっかりと生き直してくれることを願って止まない。傍らに寄り添う池崎(甲本雅裕)の「未来しかねぇ」という言葉にはこみ上げるものがあった。このドラマの中で、明るい未来を想像できたシーンはこれが初めてだったかもしれない。

正隆のもとへ面会に来た雪映と赤ちゃん。正隆は、雪映に離婚届を送っていたらしい。
「1つも約束守れなくてごめんな。この子と幸せになってくれ」と言う正隆に対し、「1人で立派に育てて幸せになる。もう2度とあなたに会わない」と雪映。ここまでは予想できうる展開だった。ところが、雪映はおもむろに離婚届を破り捨てる。そして、「私はあなたの妻。この子はあなたの子どもだから。私、今、幸せだよ」と涙を流した。
正直、その瞬間は何を言っているのか分からなかった。会わないのは分かる、犯罪者になってしまったのだから。でも、離婚しないのはなぜ? 子どもの幸せを考えたら、離婚こそしておくべきなのでは…。
だが、少しの間のあと、「俺も、今、幸せだよ」と答えた正隆は、何とも言えない穏やかな表情をしていた。

ああ、そういうことかと、身体の力が抜けた。このパターンの幸せはこんな感じ、と、無意識のうちに型にはめてしまっていたことに気付かされる。
この場合、5億円のうちの一部を手元に残して、雪映と子どもに託す、あるいは正隆の出所を待って3人でひっそり暮らしていくのが“幸せ”だろう。でも、この夫婦に限っていえば、もともとが信じられないくらい冷え切った関係だったのだ。あの頃に比べたら、経験したくなかった出来事を経てではあるものの、お互いを思いやれる今は、それは“幸せ”だろう。離れていても、会えなくても、愛する存在があるということの幸せがどんなに尊いのかということを、身をもって体感したからこそ、たどり着いたのだと思う。
「ただ離婚してないだけ」というタイトルの意味が180度転換した。見事な回収だった。

第1話の放送時、筆者はこの作品を「2021年夏の問題作」と表現した。
いつからか文化となった“不倫ドラマ”のひとつかと思いきや、普段はアイドルとしての活躍を目にする機会が多い北山が振り切った演技を見せ一気に引き付けられた。そこに追い打ちをかけるように、ホラー的な展開も織り交ぜながら1組の夫婦にまつわる破壊と再生の過程を描き切った。この衝撃は、しばらく消えないだろう。見ごたえのある作品を楽しめたことに感謝したい。


※この記事は「ただ離婚してないだけ」の各話を1つにまとめたものです。

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(文:シネマズ編集部)

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