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『シャン・チー/テン・リングスの伝説』解説:MCUの新章突入を象徴する作品


マーベルの新機軸はどう転がるか?



『シャン・チー/テン・リングスの伝説』はフォーマットとしては2018年の大ヒット作『ブラックパンサー』に似ている部分があります。

『ブラックパンサー』はメインキャスト・メインスタッフを黒人だけで固めた映画であり、その影響はただのヒーロー映画の枠組みを飛び越え、(ちょうどトランプ政権だったこともあり)大きなムーブメントの象徴となりました。

結果アメコミヒーロー映画としては史上初となるアカデミー賞作品賞にノミネートされる快挙を成し遂げました。

興行収入でも北米7億ドルを超える大ヒットを記録、なんと北米だけで見ると『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』よりヒットするという逆転現象を起こしました。

現在、続編となる『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』が製作中ですが、ブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年に43歳の若さで急逝するという、予期せぬ出来事が起き、脚本づくりも大いに難航しているとのことです。



『シャン・チー/テン・リングスの伝説』もメインキャストをアジア系という一つの人種に絞って作られ、監督のデスティン・ダニエル・クレットンもアジア系という布陣になっています。

アジア系で固めたことが果たしてどのような結果を生むかは2021年9月3日の公開を待ってということになりますが、近年ハリウッド映画の大きな市場となっている中国での動静など大いに気なるところです。

マーベルとしてもドラマ「アイアン・フィスト」を白人主役に変え、『ドクター・ストレンジ』の師匠エンシェント・ワンをティルダ・スウィントンに据えたことが“ホワイトウォッシング”だとして大きな批判を呼んだこともあるので、アジア系のキャラクターをアジア系の俳優に演じさせるという基本的な部分に立ち返っているところがあります。

一説には中国政府が『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のトニー・レオンの描写やこの後のマーベル映画『エターナルズ』の監督クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)が中国政府を批判した過去などを問題視しているという話もありますし、この辺り難しいところですが、慎重に大過なく『シャン・チー/テン・リングスの伝説』が公開されることを祈るところです。

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にも出演しているミシェル・ヨーの『クレイジー・リッチ』やオークワフィナ『フェアウェル』、『ムーラン』の実写版などなど年に1本くらいはオールアジア系で固めたハリウッド映画がそれなりに北米地区でヒットしているという前例もあるので、もしかしたらこの『シャン・チー/テン・リングスの伝説』がハリウッド内での大きな起爆剤になるかもしれません。

(文:村松健太郎)

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