(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会
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映画コラム

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2021年10月29日

『アイの歌声を聴かせて』が大傑作である5つの理由|過去最高の土屋太鳳が爆誕!

『アイの歌声を聴かせて』が大傑作である5つの理由|過去最高の土屋太鳳が爆誕!


4:「関係性」を大切にしまくる監督と脚本家のゴールデンコンビ

本作は物語の中心に「AIの女の子」がいることからもわかるように、SF映画としての魅力もある。監督・脚本を務めた吉浦康裕は、2010年に劇場版も公開されていたアニメ 『イヴの時間』で「人間とAIが当たり前に暮らす世界」の物語を描いており、それぞれのエピソードの中心になるのは「人間とAIの関係性」そのものだった。

今回の『アイの歌声を聴かせて』も、その『イヴの時間』と同様の要素を備えている。つまりは作家性を存分に生かした内容になっているのだ。他にも重力が反転したそれぞれの世界でのボーイミーツガールの物語 『サカサマのパテマ』(13)もやはり「出会い」そのものに重点が置かれた内容で、それも『アイの歌声を聴かせて』と共通していた。

さらに、共同脚本を手がけたのが大河内一楼。『プラネテス』『コードギアス 反逆のルルーシュ』『甲鉄城のカバネリ』など多数の高評価を得たアニメ作品のシリーズ構成と脚本を務めており、近年では『SK∞ エスケーエイト』というスケートボードに青春を捧げた個性豊かなキャラたちが織りなす群像劇でも全話の脚本を手がけていた。

その作品群ではやはりキャラクターの関係性が丁寧に描かれており、今回もその手腕が遺憾無く発揮されたからこそ、「またあいつらに会いたいな」と心から思える魅力たっぷりな登場人物が生まれたのだろう。しかも、彼らの掛け合い、ボケやツッコミの数々はクスクスと笑える。本作は思いっきりコメディにもなっているのだ。

いわば、『アイの歌声を聴かせて』でタッグを組んだのは、そんな風にSFにおける人間とAIの関係性を描いてきた吉浦康裕監督と、もっと広い意味でのキャラクター同士の関係性を描いてきた大河内一楼の脚本という、関係性を大切にしまくる作家のドリームチームなのである。

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そりゃあ「どのキャラも大好きだ!」「このキャラとこのキャラの掛け合いに萌える!」とニヤニヤしたり夢想できる作品になるに決まっているではないか。個人的には、真面目で気遣いのできる(しすぎてしまう)女の子のサトミと彼女を振り回すAIのシオン、さらにサトミとオタクだけど優しい男の子のトウマとの関係性であと10話くらいスピンオフが観たいと願うほどに愛してしまえた。

その関係性萌えだけに止まらず、エモーショナルな物語そのものの完成度が高い。キャラクターが動き出す序盤、悩みが噴出する中盤、そして大きな転換点を迎える終盤……とそれぞれが観客を違った感情の流れへと誘ってくれる。吉浦康裕監督は高校時代に演劇部に所属していたこともあり「セリフの掛け合いがスピーディーで楽しい舞台劇」が好きだったそうで、それがテンポの良い作劇にもつながったのだろう。

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さらに物語にはネタバレ厳禁のとある「秘密」があるのだが、それがアニメの美しい演出と、さまざまな伏線回収をもって提示してくれるので、もう泣きっぱなしになるほどの感動があったのだ。その秘密が解き明かされるその過程を、ぜひ楽しみにしてほしい。

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