2021年11月25日

<新作レビュー>『水俣曼荼羅』、原一男が慈愛深い視点で患者たちと向き合う超大作

<新作レビュー>『水俣曼荼羅』、原一男が慈愛深い視点で患者たちと向き合う超大作

『水俣曼荼羅』作品情報

【あらすじ】
日本四大公害病の一つとして知られる水俣病。1956年に公式確認され、今なお補償をめぐる裁判が続いている。ついに国の患者認定の医学的根拠が覆られたが、根本的解決には程遠い。そんな患者たちの戦いを原一男監督は20 年間、まなざしを注いできた。これは、さながら密教の曼荼羅のように、水俣で生きる人々の人生と物語を顕した壮大な叙事詩である。川上裁判により初めて国が患者認定制度の基準としてきた末梢神経説が否定され、脳の中枢神経説が新たに採用されたものの、それを実証した熊大医学部浴野教授は孤立無援の立場に追いやられ、国も県も判決を無視。依然として患者切り捨ての方針は変わらない様子を映す『第1部 病像論を糾す』。小児性水俣病患者・生駒さん夫婦の差別を乗り越えて歩んできた道程、胎児性水俣病患者とその家族の長年にわたる葛藤、90歳になってもなお権力との新たな裁判闘争に賭ける川上さんの最後の闘いなどを追う『第2部 時の堆積』。胎児性水俣病患者・坂本しのぶさんの人恋しさと叶わぬ切なさ、患者運動の最前線に立ちながらも生活者としての保身に揺れる生駒さん、長年の闘いの末に最高裁勝利を勝ち取った溝口さんの信じる庶民の力、水俣病の患者に寄り添い、水俣の魂の再生を希求する作家・石牟礼道子さんなどを取り上げた『第3部 悶え神』。さながら密教の曼荼羅のように水俣で生きる人々の人生と物語を顕した、3部構成372分の一大叙事詩。 

【予告編】


【基本情報】
監督:原一男

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