2021年12月03日

『アイの歌声を聴かせて』あの謎がついに解けた?吉浦康裕監督単独ロングインタビュー!

『アイの歌声を聴かせて』あの謎がついに解けた?吉浦康裕監督単独ロングインタビュー!


あの青春映画のオマージュも?

――本作には多数の作品のオマージュを感じました。トウマとゴッちゃんの関係は映画『桐島、部活やめるってよ』(2012)を連想したのですが、いかがでしょうか。

 『桐島~』は珍しくブルーレイを買うほどに、実写映画としてめちゃくちゃ大好きな作品です。あのようなスクールカーストを取り入れた作品は、少し前の僕の『アルモニ』(2014)がまさにそうで、アニメ版『桐島~』みたいな内容ですね。『アイの歌声を聴かせて』はそれを引っ張って来ているとも言えます。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会


他にも『ブレックファスト・クラブ』(1985)も大好きなので、僕の知識がないだけかもしれないですけど、あのような伝統的な青春劇をアニメでやった作品があまりない気がしたので、自分の作品でやりたいと思いましたね。

あとは、トウマのいる部室は友達とわちゃわちゃしていて楽しそうですよね。オタクがこうあってほしいという願望込みの、「いいよなあ、あの空間」と思って演出していました。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会


――トウマはキャラクターデザインも含めて「本当にいそう」と思える、可愛らしいオタクの男の子ですよね。トウマと電子工作部の部員たちとのやりとりもそうですが、ゴッちゃんとの掛け合いも素敵でした。

ゴッちゃんは僕の高校時代の同級生がモデルなんですよ。彼はクラスで目立っていて、実際にゴッちゃんと呼ばれていました。そのあだ名の響きだけだと三枚目キャラに見えるけど、そうじゃなくてみんなに親しまれているイケメンこそ、こういう呼ばれ方をするんじゃないかなと思いますね。他にも、劇中のキャラクターは大体が知人や友人がモデルだったりもします。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会


(筆者注:『アルモニ』はオタク少年と少女の交流を主軸とした物語で、ダウナーな作風ながら、「音楽」がきっかけで関係が動き出したり、「過去」のとある出来事など、『アイの歌声を聴かせて』に通じる要素が多くある。こちらもゴッちゃんと呼ばれる男子生徒が登場する)

――ホラーの他にもTwitterサジェストされることに「百合」がありますよね。シオンとサトミもそうですが、サトミとアヤの関係性も大好きでした。特に「素直になったら?まあ、お前が言うなって感じだけど…私だから言うの!」というアヤのセリフは尊い!と思ったので、何度でも聞きたいです。

そこは大河内さんの手腕ですね。短いセリフの中に、すごく深い言葉が2、3個入っています。「私が言うな」「私だから言うの」のどちらもが彼女にとって正しいですから。また、自分も、朗読のような長めの独白セリフよりも、短いセンテンスをポンと喋らせる方が好きです。実際に映画を観て、いらないところを省く、省略の仕方が良いと言ってくれている方がいるのが嬉しかったです。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会


――そういえばサトミは「告げ口姫」というあだ名をつけられていましたね。ひょっとするとこれもアヤがつけたあだ名で、そのことでも罪悪感を持っていたのでは?と思ったのですが。

アヤではないと思いますよ。誰がつけたかあだ名かは、なんとなくでしか想定はしていないですが、これも大河内さんが、おそらくはムーンプリンセスから連想したのではないかなと思います。

――名前の設定では、植物のシオン(紫苑)の花言葉が「追憶」「君を忘れない」などでエモい!と思いました。

それは、一応考えてました。いろいろ調べた時に「これもいいじゃん!」となったんですよ。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会


――乙野四方字(おとの よもじ)さんによるノベライズ版も素晴らしい内容でした。トウマの「どうしてサトミの名前、知ってたの?」という質問に対してシオンが「その質問、命令ですか?」と返した時の考察はとても深くて面白かったです。

僕からも一通り説明をした上で執筆して頂きました。もちろん小説を読ませていただいていますが、四方字さんの解釈も合っていると思いますよ。

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(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

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