「ばらかもん」3話:半田(杉野遥亮)はタイを釣り損ねて新境地を拓く

杉野遥亮主演の“水10”ドラマ「ばらかもん」が2023年7月12日放送スタート。GP帯連ドラ初主演となる杉野遥亮が、長崎・五島列島で島民たちと交流し心を開いていく若き書道家・半田清舟を演じる。同名原作漫画も大人気で、いかにハートフルな世界観を体現できるか注目されている。

本記事では、第3話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「ばらかもん」3話レビュー

このドラマの魅力は、登場人物たちの素直さと、メッセージがまっすぐ伝わってくるところだ。

半田(杉野遥亮)に憧れ、東京へ連れ戻そうとする18歳の天才書道家・神崎康介(荒木飛羽)は少々屈折しているように見えるけれど、それも半田を崇めるがゆえ。半田のようになりたい一心で、これまで彼が登場した雑誌をコレクションしたり、本人に会いたいがために賞に応募したりと、行動基準がわかりやすい。ただ、感情表現が少し周りくどいだけで。

半田が己の悩みと向き合い、この島で何かを見つけようとしていることもわかる。明らかに、半田はこの島に来て変わった。島の環境、そして、なる(宮崎莉里沙)たちを始めとする島民たちとの交流から、素直に学びを得ている。

「人が成長するためには、ライバルってもんが必要だろ」と言って、わざわざ神崎を連れてきた画商の川藤鷹生(中尾明慶)も、さすが半田の中学生時代からの幼馴染だ。彼の悩みの根源や、前を向くスイッチの入れ方をよくわかっている。

川藤は言う。「若いもんの役目は、失敗することを恐れずに、新境地を拓くってことなんじゃねえのか?」と。書道界で巨匠といわれる父の背中を見て育ち、書く字もそっくりになった半田にとって、基本に沿った字で賞をとるのは“成功”を意味した。そして、“失敗”はわかりやすく“悪”だった。

川藤の言葉、そして神崎というライバルの存在が、半田に気づかせる。「半田清舟じゃなければ書けない字を書きたい」と。

この島に来てからというもの、許可なく上がり込んでくる島民たちや、予期しない台風の影響、思うように拾えない餅まき、せっかくのタイを釣り損ねるなど、予定調和とはいかない暮らしを味わっている半田。

基本に沿うことで安心し、結果を出してきた半田は、ようやくこの島で何かを見つけようとしているのかもしれない。脱線し、“遊ぶ”ことで、自分にしか書けない字を模索しようとしている。

川藤はぜひ、失敗は恐れなくていい、という教えを、新井珠子(近藤華)ことたまちゃんにも教えてあげてほしい。内緒で漫画を描いている彼女が、ようやく勇気を出して半田に見てもらおうと決心した。結局3話では、川藤や神崎が来てしまったことでひと騒動あり、それが叶わなかったのだ。

若者の役目は、新境地を拓くこと。失敗してなんぼ、という真っ直ぐすぎるメッセージはそのまま、このドラマの魅力であり、唯一無二の色となりつつある。

(文:北村有)

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