続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年04月26日

「虎に翼」寅子の父が勾留。モデル三淵嘉子さんのお父さんはどうだったのか。<第20回>

「虎に翼」寅子の父が勾留。モデル三淵嘉子さんのお父さんはどうだったのか。<第20回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第20回を紐解いていく。

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夜ドラ化か

夜に向いている米津玄師の歌が効いてきました。突如、直言(岡部たかし)に贈賄容疑がかかり、本人はすでに勾留され、捜査令状をもった検察の日和田(堀部圭亮)が数人、部下を引き連れてやって来て、家を捜索します。

「これが猪爪家と検察との戦い。その長い日々の幕開けでした」というナレーション(尾野真千子)のあとの主題歌がいつもと違う雰囲気に聞こえました。

共亜事件のはじまりです。
この事件は、帝人事件がモデルであろうと推測されます。1934年に起こった株式売買による疑獄事件で、その影響で当時の斎藤内閣が総辞職しました。

共亜事件でも、不正な株式売買によって利益を得た政治家たちが逮捕されました。直言は銀行の理事と共に株の取引にかかわり賄賂を贈った罪に問われたのです。

理事が直道(上川周作)の仲人だったと聞くと、直言と理事との関係が深いと疑われるのも無理はなさそうです。

ドラマがはじまる前に行われた会見で、筆者はプロデューサーに、寅子のお父さんが捕まった事実はあるのか聞いたところ、お父さんの逮捕はドラマのオリジナルであると教えてもらえました。Yahooニュースエキスパート『朝ドラ「虎に翼」は日本初の女性弁護士・三淵嘉子がモデル。史実とのバランスをどうするかCPに聞いた』

モデルのいるキャラクターのお父さんを容疑者として描くのはなかなか大胆です。でもそれによって、犯罪者にはしないだろうという想像もできます。が、先のことは流れに身を任せ、いまは、描かれていることだけ見ていきましょう。

法を学んでいるにもかかわらず、何もできず悔しい気持ちになる寅子(伊藤沙莉)
優三(仲野太賀)が「これからもつらいことがきっと起こる。でもひとつ救いなのは僕らが法を学んでいることだ」と励まします。

検察が来たとき、毅然と対応したのも優三です。家宅捜査をさせる代わりに、土足はやめてくれと人間としての尊厳を守ろうとするところはほんとうにかっこよかった。ところが、状況が落ち着いたときお腹を下してしまいます。緊張するとお腹にくるタイプなのだという描写のおかげで、あまりに深刻な話になってしまいそうなところが救われました。

もうひとりの救いは、おなじみの直道。ひとり、遅れて帰宅したり、相変わらず「僕にはわかる」と言ったり。今回、彼がわかったのは、すぐに直言が帰ってくること。もはや、直道が「わかる」と言ったことはすべて間違っていると思ってしまうので、お父さんもきっと帰ってこないだろうと覚悟ができました。

猪爪家の男性陣はどこか抜けたところがありますが、末っ子の直明(正垣湊都)だけは幼いにもかかわらず、こんな状況でもしっかりしていて、将来が楽しみです。

また、はる(石田ゆり子)もしっかりしています。弱った顔はしますが、感情をあらわにすることはなく、この状況をしっかり記録しようとします。法を学んでいなくても十分、立派な人だと感じます。検察の人に、大声を出したり、手を出したりしないですから。まあそれは年の功ということでしょうか。

これからはじまる予審の前に、弁護士を頼まないといけない。けれど、誰も弁護を引き受けてくれません。梅子(平岩紙)夫(飯田基祐)もけんもほろろ。そのときの息子の顔がまたやな感じで。なんでこんなに憎々しい人に育ったのか。

予審とは、法務省のサイトによるとこうあります。
旧刑訴法に定められていた予審制度は,公判前に,予審判事が,必要な事項を取り調べ,被告事件を公判に付するべきか否かを決める手続である。

ナレーションは「予審制度は現在ではもちろん廃止されています」と断っています。「もちろん」という言葉をわざわざつけたのはなぜなのだろうと脚本家に質問してみたい。


(文:木俣冬)

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