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2023年09月14日

<考察>「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」旅番組としての革新性とは

<考察>「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」旅番組としての革新性とは


演者とスタッフの関係性が入れ替わる、逆転現象

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さらにいえば、この番組では演者とスタッフの関係性すら逆転している。異邦の地で四苦八苦するタレントの姿をとらえるコンテンツが通常の旅番組とするならば、「世界の果てに〜」は、演者のひろゆきが旅の段取りをしたり、ディレクターの質問を英語で通訳したりする。もはやコーディネーター的な役割すら担っているのだ。

いじられキャラの豊川ディレクターは、現地の人々を許可なく撮影しまくっては怒られ、途中から参加した俳優の東出昌大に「ご経験人数は?」「初体験は何歳?」とゲスな質問を繰り返しては呆れられ、木の上から湖に豪快ダイブする。演者ではなく、ディレクター自らが出川哲郎のようなポジションを取ることで、予定調和から抜け出そうとしている。表方・裏方が入れ替わったその構造が、極めて革新的なのだ。

この番組のハイライトは、X JAPANのToshl(龍玄とし)が途中合流するも、出会って30分で解散するという衝撃の展開だろう。ザンジバル島に向けて乗船しようとするひろゆきだったが、Toshlはスケジュールの都合上同行できない。

3人揃ってのロケを撮りたい豊川ディレクターは「ここに残った方がいい」と伝えるが、最終的には演者による話し合いを促す始末。それに業を煮やした東出がひろゆきとの直接対話を提案し、結局ひろゆきだけがザンジバルに向かい、東出&Toshiがダルエスサラームに残ることとなる。

表面上はにこやかだが、どう考えてもギスギスした雰囲気。旅のハプニングはむしろ、ディレクターの(意図的な?)段取りの悪さによってもたらされているのだ。そんな番組、なかなかない!

印象に残ったのが、ひろゆきが二人と別れてからつぶやく「人は一人で生まれて一人で死ぬ」という言葉。三人の珍道中を期待していた制作サイドの目論見をあっさり飛び越えて、彼は孤独を選択する。だがそれは旅の本質であり、人生の本質でもあるだろう。

「世界の果てに、ひろゆき置いてきた」は、番組としての約束ごとをすべて無効化することで、革新的なコンテンツとなっているのである。

(文:竹島ルイ)

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