ミュージカルをはじめ、歌で物語を紡ぎ、踊りで感情を表現し、人々に心震える感動を与え続けてきた音楽映画。歌や踊りから観客へ感情を伝染させ、観るものを笑顔したり、涙を誘ったり、困難に立ち向かうシーンではともに応援したくなったり、それはまるで魔法のよう。

なかでもエネルギッシュな若者たちが等身大の悩みや自らの夢、未来にかける希望をミュージカルや音楽を通して全身全霊で表現する作品は、同世代の若者はもちろん、大人の心にもストレートに響き、ありふれた日常をあっという間に輝かせてくれる不思議なパワーで溢れている。

演劇を愛してやまない大人たちと、演劇に夢を見ている純粋な子供たちによる『シアター・キャンプ』にもそんなミュージカルの魅力が満載！来週、10月6日（金）の公開を前に、パワフルな希望が溢れるミュージカル＆音楽映画で気持ちを盛り上げてみては？

『ヘアスプレー』（2007）

ぽっちゃりな女子高生が世界を変える⁉　

ジョン・トラボルタが女性役を演じたのも話題となった作品。人種差別がまだ色濃く残る1962年のアメリカのボルチモアで暮らすトレーシーはポジティブだけどぽっちゃりな女子高生。トレーシーは人気のテレビ番組に出演して憧れのキャスト、リンクと踊ることを夢をみている。

そんな彼女はある日念願の新メンバーオーディションに参加するも太っているという理由で落とされてしまう。しかし、参加したダンスパーティーで番組司会者のコリンズの目に留まり、レギュラー出演者の座を獲得し、人気者になっていく。トレーシーには黒人の友人が増えるが、番組が黒人差別をしていると気付く。彼女は友人たちと共に肌の色や体型への差別と偏見に立ち向かっていく。彼女たちのパワフルなダンスと歌に乗せたメッセージに元気をもらえるはず！

『イエスタデイ』（2019）

目を覚ますとそこはザ・ビートルズが存在しない世界！？

「スラムドッグ＄ミリオネア」のダニー・ボイル監督と「ラブ・アクチュアリー」の脚本家リチャード・カーティスがタッグを組んだコメディ。売れないシンガーソングライターの青年、ジャックは交通事故で昏睡状態に陥る。目が覚め、弾き語りでザ・ビートルズの「イエスタデイ」を披露すると誰も知らず、友人達は大感動。そこは史上最も有名なはずのバンド「ザ・ビートルズ」が存在しない世界になっていた！ジャックは自身の曲としてザ・ビートルズの名曲たちを発表、後ろめたさを感じながらもたちまちスターへの階段を駆け上っていく。

大勢のオーデイションのなかから主人公役を勝ち取ったヒメーシュ・パテルの美声とともにザ・ビートルズの名曲たちが響き渡る！偉大な楽曲を生み出した音楽家たちへのリスペクトが詰まった作品。

『イン・ザ・ハイツ』（2021）

エネルギッシュなラテン音楽に彩られる青春群像劇

マンハッタンにある移民が多く暮らす街、ワシントンハイツ。そこで暮らす若者たちを描いた傑作ミュージカルを映画化。原作はトニー賞で4冠を獲得している。

食料品店を営むウスナビは、いつか大物となって故郷のドミニカ共和国に帰ることを願っていた。そんな彼には、いとこで毎日をだらだらと過ごすソニー、タクシー会社で配車係として働くベニー、近所の美容室で働きながらファッションデザイナーを夢見るヴァネッサなど、さまざまな仲間たちがいた。そしてウスナビはヴァネッサに密かに想いを寄せていた。そこに名門大学に進学して周囲から期待されていたニーナがある問題を抱えて帰ってくる。

真夏の夜に突如として大停電が街で起こり、ウスナビたち街の住人の運命が大きく動き出す。逆境に立ち向かう若者の夢を乗せた歌とダンスにはきっと心を揺さぶられるはず。

『シアター・キャンプ』（10月6日（金）公開）

最高にハッピーに描かれるミュージカルの誕生の瞬間！！

ニューヨーク州北部の緑豊かな湖畔に佇むシアター・スクール、アディロンド・アクト。長年ミュージカル・スターを目指す子どもたちを集めるこのスクールで、今夏のキャンプ開校を目前にして校長が昏睡状態に。代わりに経営に乗り出したのは演劇に無関心な息子トロイ！しかし、スクールの家計は想像以上に火の車であることが発覚…。皆が愛するスクールの存続のためには、キャンプ終了までに出資者の前で新作ミュージカルを披露しなければならない。残された時間は３週間。変わり者揃いの教師と破天荒な子どもたちは果たして舞台を完成させ、スクールを存続させることができるのか…？！


終盤で完成される子供たちによる大傑作のミュージカルの誕生の瞬間には誰もが度肝を抜くはず。演劇だからこそ、歌だからこそ引き出せるエネルギーと魅力に詰まった一本をぜひ劇場で！