瀕死の重傷から蘇って復讐!「ギャング・オブ・ニューヨーク」は、「レヴェナント:蘇えりし者」エピソード0だ!
4月を迎えて新入学や入社式など、新しい環境での新生活に入られた方も多いこの季節ですね。
慌ただしかった今週もようやく終わり。そんな週末前の金曜日、ちょっと気分転換に映画などいかがですか?
デジタル配信で観られる作品の中から、毎週オススメの映画をご紹介する「金曜映画ナビ」。
今回は、今週末から公開される話題の映画「レヴェナント:蘇えりし者」で初のアカデミー主演男優賞を受賞した、2002年のレオナルド・ディカプリオ主演作品「ギャング・オブ・ニューヨーク」を、ご紹介します。
ディカプリオの復讐の原点ここにあり!!
南北戦争が起こる以前、アメリカ合衆国という国が築き上げられて行く過程を、私たち自身も追体験出来るこの映画。後に数々の名作を生み出す事になるマーティン・スコセッシ監督とディカプリオのコンビが初めて組んだ作品、それがこの「ギャング・オブ・ニューヨーク」です。
この作品、ラブストーリー要素もあるのですが、それはほんの一部で、とにかくアクションの迫力が凄い!特にオープニングでの、雪の積もる広場での大乱闘は必見です!
白い雪を血に染めながら、延々と続く対決は、1998年に公開された「プライベート・ライアン」を連想させるほどの臨場感に溢れていて、まるで自分もギャングたちの中にいて、一緒に戦っているかのような気分が味わえます。一瞬で決着の着く銃撃戦では無く、ナイフでの切り合いや棒による殴り合いの真っ只中にカメラが入り込んで、まるで血しぶきがかかりそうな近距離で撮影されたこのシーン。個人的にはメル・ギブソン監督作品「ブレイブハート」のアクションシーンに匹敵する迫力だと思いました。
とにかくもう、一度観始めたら画面から目が離せなくなる事は確実です。
この映画の見所、それはやはり「若き、ディカプリオ」のまだ荒削りな演技が見られる、という点でしょう。
ギャング同士の抗争で敵のボスに殺された父の復讐のために、あえて敵の組織に正体を隠して潜り込み、復讐のチャンスを狙うディカプリオ。遂に巡って来た復讐のチャンス!しかし、親友の密告によりボスの暗殺に失敗した彼は、壮絶なリンチを受け、生かされたまま追放されます。
隠れ家で自分の傷が癒えるのを待ちながら、亡き父の組織「デッド・ラビッツ」を再結集して、最後の決戦に向かうディカプリオ!そう、まさにこれは彼の最新作「レヴェナント:蘇えりし者」の展開そのままじゃないですか!後にアカデミー賞を受賞する事になる作品と同じような役を、まさかこの時期に既に演じていたとは!偶然とはいえ、運命のめぐり合わせを感じさせますね。
ディカプリオの魅力が存分に味わえる本作ですが、敵のボスを演じるダニエル・デイ=ルイスの演技がそれを超えるほど凄まじいです。単なる悪役ではなく、自分なりのモラルと愛国心も持ち合わせているという、孤独で複雑な役柄を見事に演じてくれています。ディカプリオを押さえて、アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたのも、彼の演技を見れば納得かも知れません。
実は1990年〜2000年の一時期に、俳優業を引退して靴屋になるためにイタリアで修行中だったルイスを、マーティン・スコセッシ監督が是非にと説得してこの映画に出演させただけに、久々の映画出演にかける彼の思いは、おそらくディカプリオよりも強かったのでしょう。後に「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で、見事2度目のアカデミー主演男優賞を獲得した彼。本作でのルイスの演技を見たディカプリオの心にも、きっと何か大きな変化を与えたのかもしれませんね。その後も、2012年に史上初となる3度目のアカデミー主演男優賞を受賞したルイスですが、自身の演技に対する限界を感じついに俳優を休業する事になりました。
今年のレオの受賞、ひょっとしたらルイスの引退休業を受けての、彼の決意の表れがもたらした結果かも知れませんね。
その他にも、主人公と恋に落ちる女ジェニーにキャメロン・ディアス、主人公の父親役にリーアム・ニーソンなど、豪華な出演者の顔ぶれもこの作品の見所の一つです。懐かしい所では、あの名作「E.T.」に主演していた子役、ヘンリー・トーマスが主人公の親友役で出演しており、当時の面影を残しながらも大人として成長した姿を見せてくれます。更には、マーティン・スコセッシ監督自身も、実は本作中のあるシーンに出演しているので、これは是非ご自分で探してみて下さい。
自由の国アメリカが、実はあらゆる人種の混合と闘争の上に成り立った歴史があるという事を、改めて我々に思い出させてくれるこの作品。4月から新生活に飛び込んだあなたに、きっと元気と勇気を与えてくれることでしょう!
[この作品を今すぐ観られるサービスはこちら](2016年4月22日現在配信中)
ディカプリオ苦節の末の栄光
今や「若手の演技派」という形容詞が似合わない程の、貫禄とキャリアを持つレオナルド・ディカプリオ。
1997年の「タイタニック」でゴールデングローブ賞にノミネートされたものの、アカデミー賞では主演男優賞にノミネートされないというまさかの事態に。その当時私も「いやいや!これはおかしいだろう!」と突っ込みを入れたものでした。
完全に無視される形となった彼は、2002年にこの「ギャング・オブ・ニューヨーク」でマーティン・スコセッシ監督と、更に同じ年に「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」でスピルバーグ監督と組むなど、アカデミー賞獲得に向けて名監督作品に次々と出演。精力的な活動を続けてきました。
しかし、それでもなかなか受賞できずで2016年に。「アカデミー賞とディカプリオ出演作品」の切り口で見れば以下のようにまとめられるでしょう。
1997年「タイタニック」ノミネートすらされず、無念。
2002年「ギャング・オブ・ニューヨーク」なぜか共演のダニエル・デイ・ルイスが主演男優賞にノミネート
2004年「アビエイター」ノミネートされるも受賞ならず、無念。
2006年「ブラッド・ダイヤモンド」ノミネートされるも受賞ならず、無念。
2011年「J・エドガー」ノミネートすらされず、無念。
2013年「ウルフ・オブ・ウォールストリート」ノミネートされるも受賞ならず、無念。
他にも『ディパーテッド』、『インセプション』、『シャッター・アイランド』、『ジャンゴ:繋がれざる者』などへも出演してきました。
『ジャンゴ:繋がれざる者』では助演カテゴリーで悪役を演じるも、これまたゴールデン・グローブ賞止まり。しかも同作で善人を演じたクリストフ・ヴァルツがアカデミー賞助演男優賞を受賞。さぞ悔しかったことでしょう。
「今年こそ!」と何度も言われるもなかなか受賞することができなかったディカプリオ。彼の演じる役はどんどん厳しいものになっていきましたが、遂に!やっと!今年!「レヴェナント:蘇えりし者」で主演男優賞を受賞することができました!
受賞スピーチがまたとても印象的で。喜びを爆発させるのではなく、常に熱心に取り組んでいる環境問題について熱く語る姿は多くの人を感動させました。
何年も何年も厳しい境遇に晒される役柄が続いたので、少しの休息の後で是非またラブストーリーで彼の魅力を振りまいてほしいなとも思います。
そんな彼の苦節の入り口にある『ギャング・オブ・ニューヨーク』。闘志溢れる彼の熱演を是非チェックしてみてくださいね。
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