私と映画Vol.2「ビー・コーペレーション 宮本和治社長を支えるあのラストシーン」[PR]

ビー・コーペレーション/宮本和治社長

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独特の業態が生まれるまでには、独特の人生があった――。クライアントに必要なITサービスをリサーチし、それに基づき自社設計したサービスの実現可能な技術を持った複数の企業・製品を組み合わせて、自社サービスとして提供している「ビー・コーペレーション」。またSNSやブログから、商品・サービスに関する評判を拾い上げ分析するCGMマーケティングなど、独特の手法を用いる特徴も持つ。この独自の業態を作り上げた宮本社長の人生は、ある映画とシンクロしていた。

「自分は何より競争が好きだ、と知った」

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実は、人生トータルで30カ所くらい、骨折しています (苦笑)。
18歳の時、バイクのレースに夢中になって真剣にレーサーを目指しました。転倒事故など日常茶飯事。しかし脊髄を圧迫骨折したり大けがが続き、お医者さんから「次やったら体が動かなくなるよ」とドクターストップをかけられてしまったのです。
悔しかったですよ。でも、僕はレースの経験から「自分は何より競争が好きだ」と、私自身の性質に気付いていたのです。
これが財産になりました。
夢を絶たれたあと、私は就職情報誌を買って、営業マンを募集している企業に電話をかけまくりました。私には学歴がありません。でも営業なら、数字をあげさえすれば評価されるはず。売る商品は何でもいいから、フェアな競争がしたかったのです。最初に内定をくれた企業に入ろうと決めていた私の就職先は、カーステレオや、カーナビの販売会社でした。

これが、第一の転機でした。人は、自分に嘘をつかずに生きているときに、最大の力が発揮できるのでしょう。私は競争が好きだった。だからこそ、入社1年目から新人営業成績新記録そして日本一にもなりました。

仕事は、カーショップでお客さんに商品をお薦めすることでした。売れるポイントがありました。何だと思いますか?

――答えは簡単、「お客さんの人生観を理解して売ること」です。仮に家族を大切にしている人なら「お子さんが“トイレ!”と泣いてもカーナビがあれば大丈夫!」と伝えると前向きになってくれます。「モテたい」人には、そのためにどう役立つかを話せば売れます。店頭でご縁をもらった相手から、何のために車を持っているのか、人生で何を最も大切にしているかを聞き出し、カーオーディオやカーナビを通して実現できることを語るんです。普通、カー用品店の営業は他社商品と比較したり、値引きしたりするのだと思います。でも実際は、お客さんに「このカーナビやカーステレオを買えば夢が叶うんだ!」と思ってもらうことこそが大切だったんです。

きれいごとっぽく語れば、相手の話を真摯に聞き、本当に相手のことを考えると、モノは売れる――とでもなるでしょうか。
もちろん、最初は売るための手段でした。ところが、次第に私自身が変わっていったんです。この仕事を続けるうち、お客さんに喜んでもらうことが目的化してきてしまった。そして、私は再び、私自身を知りました。「どうも人を喜ばせることが好きなんだな」と。

これが、第二の転機になりました。このあと「いつまでもぬるま湯に浸かっていたくない」とIT分野に転職し、その後、独立して現在のコンサル事業を始めました。コンサルって、本当に相手のことを思っていないと見えない何かがあります。「お客さんに喜んでもらおう!」と本気で想い続けるうち、クライアントが自然と増えていったんです。

悲劇的だが、人間として不幸ではない

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そんな私が、泣けて泣けて、泣き顔を見られるのが恥ずかしくて映画館から出られなくなった映画があります。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」です。

実を言うと私、ミュージカル仕立ての映画は好きじゃありません。でも、この映画は別なんです。
主人公・セルマ役は、アイスランドの人気女性歌手・ビョークが演じています。舞台は60年代のアメリカ。ミュージカルの舞台に立っている自分を想像することが好きなセルマは、工場で働きながら女手ひとつで息子のジーンを育てています。しかし彼女は遺伝性の病で視力が失われつつあり、息子・ジーンも手術を受けないと同じ運命を辿ります。彼女は内職までして、ジーンの手術費用を溜めるが……という物語です。

何がいいかと聞かれれば――それは、主人公が、自分が大切にしているもののために、生き切ったストーリーと、ビョークのグイグイと引き込まれる演技力です。
スクリーンの向こうには、悲惨な世界があります。セルマとジーンが置かれた環境は非常に厳しい。私は、この世界はどうあがいても不平等だと思います。しかし、彼女には自分が大切にすべきものがはっきり見えている。様々な悲劇が彼女を襲います。でもそんな中でも、彼女は自分が信じるものを大切にし続けるのです。
この映画を見ると、私はレースを断念した時の自分を思い出します。あの時、何度「俺に折れない強い骨をくれ!」と思ったか。でも、それは無理です。そして、骨が折れなかった人がうらやましい、人生は不平等だと嘆いても、前には進めないのです。結局はセルマのように、どんな環境にあっても、自分が心の底から「そうだ!」と思えるもののために生きるしかない。

そして、作品に命を吹き込むビョークの演技力。もはや演技という言葉では足りない、ビョークが五感をフルに使って成し遂げる「セルマという役柄への同化」は、まさに圧巻です。ちなみにセルマと同化するビョークに感銘を受けた私は、その表現、つまりプレゼンテーションを、単にスクリーンの向こうの世界として見るのではなく、ビジネスに必要な営業スキルとして吸収し、今でもそれをビジネスの現場で活用しています。

セルマは幾度も、ミュージカルの舞台に立つことを願い、そしてラストシーンで皮肉な舞台に立ちます。そしてこのシーンは悲劇的なのですが……

私には、人として不幸ではない、と感じられるのです。

他人に理解されなくとも、自分の人生を生きる

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そんなわけで、私は今、自分で起業し、ITコンサルになりました。

ITの技術は、非常に移り変わりが早い。様々な特徴を持った企業が現われ、早ければ数か月で消えていきます。そんな市場の中で、クライアントが適切なIT企業を見つけることも、IT企業が適切な製品を開発し競争力のある製品であり続けることも困難です。そこで私は、クライアントを徹底的にコンサルし、その時々で最も適したIT技術を持った企業と提携しサービスを提供しています。いわば「この会社には、このソリューションが必要だ」という目利きになったのです。

そして、常に最新のサービスを探し、クライアントに「宮本サン、また面白いもの持ってきたね(笑)」と言ってもらえる瞬間が、最もゾクゾクして楽しい(笑)。

そして、私はきれいごとを口にするのは決して好きじゃないんですが……
やはり、自分が何を大切にしているかを自分自身が知ることが大切だったんです。仮に「お客様に喜んでもらうのが好きだ!」と思ったなら、それが他人から見て奇異なまでの情熱だったとしても、私はその人生を生ききらなければならないんです。それが私にとって損なのか、得なのか、そんなことは、関係ない。

そう、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラストシーンのように――。

【プロフィール】
宮本和治

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1966年、北海道生まれ。日本電子専門学校を卒業し、クラリオンの販売会社に就職。その後、IT企業勤務を経て、ビーコーペレーションを起業。SNSやブログを検索し、クライアントの商品・サービスの評判を詳細に分析するCGMマーケティングに関する研究をし、他社と特許を取得。これも「この分野に強い興味を持った結果だった」と話す。

    ライタープロフィール

    夏目幸明

    夏目幸明

    経済ジャーナリスト。1972年愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店へ勤務し、経済ジャーナリストに。「日本で一番多くの社長を取材しているジャーナリスト」として、現在は様々な企業でコンサルタントも務める。著書多数。

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