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2015年07月28日

戦後70年の今、戦争を改めて考える―半藤一利&原田眞人監督フォーラム全文

戦後70年の今、戦争を改めて考える―半藤一利&原田眞人監督フォーラム全文

2015年8月8日より公開となる映画『日本のいちばん長い日』の特別試写会が7月22日に東京・よみうり大手町ホールで行われ、原作者である半藤一利氏と、原田眞人監督によるフォーラムが行われました。

戦後70年の今、戦争を改めて考える


日本のいちばん長い日



映画『日本のいちばん長い日』は、昭和史研究の第一人者であり、圧倒的支持を受ける半藤一利氏の『日本のいちばん長い日 決定版』を『わが母の記』『駆込み女と駆出し男』などの原田眞人監督が映画化に挑んだ作品。

この日、東京・よみうり大手町ホールで特別試写会が行われ、作品の上映前に行われたトークショーでは、読売新聞東京本社論説委員・天日隆彦氏のコーディネートのもと、半藤一利氏、原田眞人監督の両名が、本作で描かれた当時の人物たちについて語られました。

シネマズでは、フォーラムの全容をお届けいたします。

日本のいちばん長い日



読売新聞東京本社論説委員・天日隆彦(以下、天日):
それでは、まずお2人から自己紹介を兼ねて、一言ずつご挨拶をお願いしたいと思います。

原作者・半藤一利(以下、半藤):
本作は今から50年前、私は35歳の頃に書いたノンフィクションです。あれから50年が経ちまして、何回か映画化の話はあったりました。けれど、とても今の東京では撮ることができないほど、東京が変わってしまったので、映画化はあきらめていたんです。今回、原田監督のすごい演出で出来上がったこと、本当に嬉しく思っています。

原田眞人監督(以下、監督)
2週間ほど前に、都内某所で各国の大使館関係者をお招きして、特別試写をやったんですね。その時に150カ国に案内を出したのですが、66カ国150人の方が参加してくださって、そのうち40人が大使でした。見終わった後、盛大な拍手がおきて、その後のレセプションでも素晴らしい作品だったと好意的な感想を述べていただけました。

その時に共通して言われたことが“人間性”です。人間ドラマとしてこの終戦を描いてくれた、この“人間性”が素晴らしいということを言っていただけました。

半藤先生の『日本のいちばん長い日』は、1967年に岡本喜八監督が一度映画化しています。しかしながらその当時は、昭和天皇が描けない時代でした。日本はやっと昭和天皇が描ける時代になった。

さらに東京、そして日本のどこにも昭和の風景はほとんど無くなっているんですが、我々は新しい武器を手にしました。CGです。CGやVFX、こういったもので街をつくることができます。今回は京都をベースに、日本映画としてはじめて昭和天皇が前面に出てくる半藤先生のノンフィクション大作にふさわしい映画化ができたと思っております。

役所広司演じる“阿南惟幾”について


日本のいちばん長い日



天日:
本作には終戦に関わった、政治家、軍人、官僚が出てきます。まずは阿南惟幾(あなみ・これちか)陸軍大臣についてお聞かせください。

半藤:
阿南さんという大将は、少しでも昭和史を勉強された、もしくは読んだ方ならご存知かと思います。陸軍は当時、統制派と皇道派の2つの大きな派閥に分かれていて、これが常に抗争していました。結果として統制派の人たちは天下を取りましたが、いずれにしても、ものすごい派閥争いがあったんですね。

阿南さんという方は全く派閥には関係のない“無色の人格者”と言われた方なんですただし、褒め言葉だと“無色”なんですけど、要するに派閥にも入れないような、陸軍の中では若干“見劣り”のする軍人であったと言ってもいいんじゃないかと思います。

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