『ファインディング・ドリー』だけではない!この夏の3DCGアニメ映画たち!

『ファインディング・ドリー』だけではない
この夏の3DCGアニメ映画たち!

現在大ヒット中の『ファインディング・ドリー』。ディズニー&ピクサーの3DCGアニメーション映画は、昔も今も大人気ではありますが……

キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.150

この夏は、それ以外の3DCG映画もかなり頑張ってきているようです!

ポケモン監督たちが描く国産3DCGアニメ
『ルドルフとイッパイアッテナ』

ルドルフとイッパイアッテナ
(C)2016「ルドルフとイッパイアッテナ」製作委員会

 1987年に刊行されて以来、シリーズ累計100万部を超えるロングセラー児童小説を原作に、湯山邦彦&榊原幹典の共同監督で手掛けた『ルドルフとイッパイアッテナ』は、ある日ひょんなことから長距離トラックの荷台に乗ってしまい、岐阜県から東京までやってきてしまった飼い猫のルドルフが、そこで人望(いや猫望か)のあつい野良猫のイッパイアッテナたちと出会い、何と人間の言葉を勉強しながら、どうにかしてマイホームへ戻ろうと腐心していく物語。

湯山邦彦監督といえば、今年も上映中ポケモン映画の総監督として知られる大ベテランですが、本作はそんな彼が手掛けた初の本格フルCGアニメ映画でもあり、ここではディズニー&ピクサーに追いつけ追い越せといわんばかりの映像技術の躍進に加え、日本独自の義理人情や友情などが気持ちよく発露されており、クライマックスでは大の大人も涙を抑えきれずといった感動が待ち受けています。

ボイス・キャストの井上真央と鈴木亮平は、ふたりの顔が脳裏をよぎることのない、プロの声優顔負けの好演でした。

『ミニオンズ』のスタッフが動物たちの実態を
無邪気に描く『ペット』

ペット
(C)Universal Studios.

 『ミニオンズ』で知られるユニバーサル・スタジオが贈る最新作『ペット』は、ペットの動物たちが人間が見ていないところでどのような生活を送っているかを描いたコメディ作品で、やはりディズニー&ピクサー作品に比べてイタズラ心や茶目っ気、要するに悪ガキぶりとでもいったナンセンスでゆるいドタバタな世界観が、見る者を微笑ましく笑わせてくれる逸品に仕上がっています。

人間が見ているところでは優等生を演じつつ、いざ彼らが外出するや否や……の知られざるペットの生態(?)、そして外へ飛び出したペットたちがそこで何をしでかすか、かなりお行儀の悪い、それでいてどこか愛してやまない彼ら彼女らは、それゆえに自分もペットにしたくなるほどキュート。

個人的にはポメラニアンのギジェットと、飼い主に捨てられた元ペットのうさぎスノーボール、双方のエキセントリックなキャラがこのスタジオならではの毒と無邪気さを併せ持つ魅力的なものになり得ている気がしました。

7年の歳月をかけて完成させた個人制作アニメ
『ねむれ思い子 空のしとねに』

ねむれ思い子 空のしとねに
(C)2014 Naoya Kurisu / Hand to Mouse.

 この夏の3DCGアニメは動物ものばかりでありません。およそ50分の中編『ねむれ思い子 空のしとねに』は、奈良県在住のアニメーション作家・栗栖直也監督が7年の歳月をかけて個人制作したSFサスペンス作品です。

生まれてまもなくして両親を事故で亡くした19歳のヒロインが、ある組織と契約して宇宙ステーションに赴いたところ、そこには何と母親が20歳の姿のままで出迎えて……といったストーリー。ホラー&サスペンスフルなタッチで進むドラマの中から実母の想いと組織の思惑の板挟みにあうヒロインの苦悩が描かれ、やがては母と娘の永遠の絆が感動的に醸し出されていきます。

映画マニアが見ると『惑星ソラリス』や『サイレントランニング」など、『スター・ウォーズ』が登場する以前に顕著だったマインド豊かな宇宙船SFもののイメージや、また『遊星からの物体X』など80年代グロテスク・ホラー映画の香りも両立しており、映画的記憶を見事に換骨奪胎させたオマージュ的なつくりにも好感が持てます。

音響面以外はほぼすべて監督自身が手掛けていますが、ボイス・キャストにプロ声優を起用していることでクオリティもまた一段と高まっています。特に永遠の20歳の母親を“永遠の17歳”(オイオイ)井上喜久子が演じているのは、ドンピシャリといえましょう。

今や実写にもアニメにも必須な
3DCG技術

3DCGはアニメーションだけでなく、最近では実写映画にも多用されています。ディズニーの『ジャングルブック』は主人公の少年以外の動物キャラクターはすべて3DCGという驚異の映像が具現化されていますし、その意味では『ターザンREBORN』に登場する野生動物たちの多くも同様。

また現在大ヒット中の『シン・ゴジラ』のゴジラは着ぐるみではなく、何と名優・野村萬斎の動きをモーションキャプチャーして3DCG化させたもので、今やCG技術は実写だのアニメだのといった枠を優に超えて、むしろ双方の懸け橋となって日進月歩の勢いで進化し続けていることが理解できるでしょう。

やんちゃな動物たちをアニメとして楽しむもよし、リアルな動物たちを実写で楽しむもよし。モンスターにしてもゴジラにしても、実写でもアニメでも、リアルな世界もファンタジックな世界でも、きちんと具現化できる力を持ち得た3DCGは、今後も映像表現を大いに躍進させてくれることでしょう。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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