映画コラム

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2016年04月01日

「あやしい彼女」志賀廣太郎インタビュー、「自分っていうのがどうだったかを思い起こしてくれる作品」

「あやしい彼女」志賀廣太郎インタビュー、「自分っていうのがどうだったかを思い起こしてくれる作品」

シネマズ編集長の柳下修平です。いよいよ本日公開となる「あやしい彼女」。73歳のおばあちゃんが20歳に突然変身する物語。笑って泣ける素敵な素敵な作品に仕上がっています。

シネマズでは今回主人公の幼なじみの次郎を演じた志賀廣太郎さんへインタビューを敢行。映画の魅力から俳優という仕事への思いまで余すところ無く語って頂きました。

志賀廉太郎



──脚本を渡されて、ご自身が演じられた次郎役柄の第一印象を教えて下さい。

志賀廣太郎(以下 志賀):とにかくカッちゃん(主人公)の支えになっているか。怒られてばかりだが、幼いことから一緒に色々と乗り越えてきたので。次郎がどうやって風呂屋の店主になったかはわからないけど相当苦労してたんだなとは思います。店を持てたわけだから、そこはカッちゃんの支えになったとか色々あったので答えなきゃいけないんだろうなと感じました。

──志賀さん自身カッちゃんみたいに一緒にいた女性は。

志賀:そんな女性はいないかな(笑)ただ、今でも小学校からずっと友達の同級生はいますね。若い頃は同窓会などのクラス会に関心はなかったんだけど、ある時に「集ろう」という話になり、今は幼稚園、中学校、高校の同期会で集まっています。幼稚園の頃は、社宅が多かった地域に住んでいて、付き合いがあったから割と覚えていますよ。

──多部未華子さん演じる節子が若返ったカッちゃんだと気付いた時に次郎の気持ちはどんなんだったのでしょうか。

志賀:捕まえたつもりが捕まったり(笑)口紅取り上げた時に気がついたりね。そういうところは理屈抜きに受け入れてしまう人です。現実的に考えたらあり得ないことなのに、難しく考えず、安堵感から現実を受け入れたのかなと思います。

──泣きの演技がとても印象的でした。台詞にならないような声で台詞を言ったり。

志賀:そんなに意識して声にならない声を出してないんです。実はあまり泣けなくてね。自然に涙が出る経験が無いわけではないけど、実際そんなには出ない方で。現実にそういう場面に出くわして観察をするわけではないですが、色々経験を思い出してやっています。

──そういうものの見方は昔からできていたのですか。

志賀:観察まではいかないけれど何となく覚えています。整理して根ざしたものだから、理屈とかではないですね。演劇学校で教わったものとかで。

──劇中で昭和の名曲が流れますが、流れる曲の思い出などはありますか。

志賀:思い入れはありますね。"見上げてごらん夜の星を"は中学校くらいの時の曲。"悲しくてやりきれない"は二十歳くらいの時の曲。たまにそういう古いメロディが頭に過ぎり口ずさんだり鼻歌を歌ったりする。その時は何も思わないんですけどね。

多部さんが"見上げてごらん夜の星を"を歌ってるシーンを初号試写で見た時はじわっときましたね。その頃の暮らしを思い出しました。そんなに苦労してたわけではないけれど、その時その時のディテイルが過ぎり、当時の自分を見ているようでした。凄く感慨深いというのはありますね。美空ひばりさんの歌は私が大人になってからなのでまた少し違う印象でした。

──それら名曲を多部未華子さんが歌われていますが、いかがでしたか。

志賀:多部さんの歌い方はとても素晴らしいです。自分の感情を込め過ぎないで、割と淡々と歌っておられました。その方が入り込みやすかったですね。なので、涙がじわっときました。

──共演された役者さんの中で驚かれたお芝居はありましたか。

志賀:撮影中では無いですが完成した映画を見て、20歳なのに中身が73歳を演じた多部さんが倍賞さんとバランス取る演技をしていて凄いなと思いました。そのシーンはそういうもんだと理解はしていたけど芝居が繋がっていて見事でした。

──演じていてきつかったことや苦労したシーンはありますか。

志賀:拘束されたりとか血のり付けたりしたけど苦労とは感じてないです(笑)全体として楽しく仕事をさせていただきました。

──志賀さんのクランクインのシーンとクランクアップのシーンはどこでしたか。

志賀:写真館の外で写真を眺めてるのがクランクイン。クランクアップは病院のシーンでした。

──次郎の若い頃がある形で出てきますが、若いころの次郎を見ていかがでしたか。

志賀:若い頃はあんなだったんだなと。自分自身が若い頃より余程イケメンでした(笑)

──20歳に戻る事は考えられますか。

志賀:20歳はないですね。ちょっと想像もできないです。今を作っていくのが良いです。作られてきた過程は大事にしなければならない。恥ずかしい事もあったけど、それがあって今があります。今ここにいるのは、色んな人と出会ったことで、お芝居に目を向けるきっかけになりました。

──要潤さんや北村匠海さんとの共演シーンでのエピソードは?

志賀:BBQのシーンで「イケメンで背が高いからって威張るな!」っていうシーンがありますが、3割方本音でした(笑)

──多部さんとのシーンが多いですがクランクイン前に何かお話したことは。

志賀:クランクイン前は全然話してないです。他の現場で共演したことはありましたが、連続ドラマの一話のみの出演でそんなにお話したこともなかったんです。倍賞さんはどこかでお会いしたことがありましたね。今回ほど絡みはなかったけれど。いろいろな方々とまだまだ知り合えて面白いというか嬉しいです。

──志賀さんはなぜ役者を志したのでしょうか。

志賀:幼稚園の先生が表現を大事にされていて、それを教育の柱にしていました。小学校の担任の先生は俳優教室に通われていた方で、先生が書いた脚本で演劇をしたことがあります。中学校の時も脚本を自分で書いている人がいました。そういうものに知らないうちに影響を受けたのかなと思います
高校では演劇部だったけれど、何となく将来を考えて選択しました。

──最後に見られる方に一言お願いします。

志賀:小さいお子さんから大人までそれぞれの楽しみ方がある映画だと思います。みなさん自身どこが楽しいかを見つけてもらいたいです。見てて笑えるし、じわっとくるところもあります。それが良いってことではなく、自分っていうのがどうだったかを思い起こしてくれる作品だということです。ぜひご覧になっていただければと思います。
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インタビュー後記


映画の素晴らしさやこの作品への思いやエピソードなどをとても気さくに答えて下さいました。映画のお話だけでなく、子供の頃の話や昭和の名曲とご自身との繋がりなども積極的に答えてくださいました。
若いキャストである多部未華子さんや北村匠海さんとはまた違った"ご自身の若い頃の思い出"を辿りながらインタビューに答えてくださったところがとても印象的でした。

「あやしい彼女」は誰もが楽しめる作品でありながら、世代や境遇で様々な印象を持てる映画なのだなと改めて思いました。ご家族で鑑賞して、映画が終わった後に感想を言いながらご飯を食べたりしたら家族の絆が深まるかもしれませんね。

「あやしい彼女」は本日4月1日(金)エイプリルフールに全国公開です。

(取材・文:柳下修平)

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