『アズミ・ハルコは行方不明』を観てから2016年のベスト映画を決めないといけない5つの理由

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(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

12月3日(土)より、映画『アズミ・ハルコは行方不明』が公開されます。結論から申し上げれば、宝物のような傑作揃いだった2016年の最後に颯爽と登場した、素晴らしすぎる傑作邦画でした!

その魅力がどこにあるのか?大きなネタバレのない範囲で、以下にたっぷりと紹介します!

1:『とと姉ちゃん』とのギャップに驚く!高畑充希が軽薄そうでイタいギャルを演じているぞ!

本作は日本映画に欠かすことができない女優・蒼井優の主演作です。いい意味で“普通”のその役柄ももちろん見所になっていますが、注目はサブヒロインとして登場する高畑充希でしょう。

何せ、この映画で高畑充希が演じているのは“軽薄そうなギャル”なのですから!自分のことを“愛菜”という名前で言ったり、久しぶりに再会した同級生を指差しながら「これ」と呼んだり、ことあるごとにぶりっ子な態度を取ったりと、もうとにかくヒドい!(※褒めています)

『とと姉ちゃん』で高畑充希のファンになった方であると、よりその役柄のギャップに驚けるのではないでしょうか。普段演じているキャラクターとは丸ごと印象を変えてしまうという、女優としての力を思い知りました。

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(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

2:軽薄な若者とセクハラオヤジの言動がとにかく不快!(※褒めています)

『アズミ・ハルコは行方不明』の最大の特徴は、“不快”な人物が全編に渡り登場していること!

前述の高畑充希のイタいギャルはまだほんの序の口、彼女に対して「あいつかわいいからまだいいけど、そうじゃなかったらマジ死刑じゃね?」とか「アイツ、すぐヤらせてくれっからよ」とかほざく、チャラチャラした男も出てくるのですから。

さらにキッツいのは、引っ込み思案でおとなしそうな青年までを巻き込んで、彼らが「イエーイ!」「ヒャッホー!」と叫びながら町中に“落書き”をしまくること。もちろん犯罪なのですが、彼らはそれを“グラフィティ・アート”と称し、肯定しまくるのです。

ムカつくのはそれだけじゃない、主人公(蒼井優)の職場の上司たちは最低です。彼らの「生物的に優れていないから、あの歳でも独身なんだよなあ(タバコをプカプカ)」などのセクハラ発言の数々はスクリーンを引っぺがしたくなるくらいに醜悪でした。(※褒めています)

しかし、こうした不快な描写があってこそ、すべての若者を鼓舞するメッセージ性があり、女性に暖かい眼差しでいるフェミニズムに溢れている、というのが本作のすごいところ。若者や女性に対する不快な描写があるのに、若者や女性こそが元気をもらえる映画になっているんですよ!

それがなぜかは、ネタバレになるので書けません。ぜひ、悩める若者はもちろん、セクハラで悩んだことのある女性にこそ、この映画を観て欲しいです。

また、ムカつく登場人物ばかり出てくるため、「感情移入しにくい作品なの?」と思われる方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。蒼井優演じる主人公は、そうした不快さがない“平凡”な存在なのですから。彼女に幸せになってほしいと願う方は、きっと多いはずです。

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(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

3:賛否両輪は必死!?時系列を入れ替えた構成になっている!

本作の物語は、3つのパートに分かれていると言っていいでしょう。

(1)主人公(蒼井優)が失踪するまでの日常
(2)サブヒロイン(高畑充希)たちが、“主人公の捜索願の張り紙”を模した落書きをしまくる
(3)謎の少女ギャング団の暗躍

原作となる山内マリコによる小説では、これらは独立したエピソードとして、ほぼ分断されたまま描かれていました。
しかし、映画ではこれらを同時並行で描いています。つまり、(1)の“過去”と(2)の“現在”が混ざったまま映画が展開するのです。

この構成に戸惑う方は多いでしょう。映画のオープニングはさらに時系列がぐちゃぐちゃになっているため、頭の中の整理が大変になってしまうかもしれません。

しかし、この構成があってこそ、主人公とサブヒロインの“違い”がよくわかるようになっていますし、なおかつ映画全体を包んでいる“疾走感”に一役買っています。

“主人公がなぜ失踪したのか?”という“謎”がストーリー上の大きな推進力になっていすし、とある“映画でしかできない時系列の演出”もとてつもない高揚感を届けてくれるでしょう。
『メメント』や『ガール・オン・ザ・トレイン』などの“時系列を入れ替える系のミステリー”が好きな人にも、ぜひおすすめします。

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(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

4:松居大悟監督ならではの“若者の青春のきらめき”を堪能しよう!

本作の監督・脚本は、若干31歳の俊英・松居大悟。若手俳優を起用した作品を多く手がけており、今回の『アズミ・ハルコは行方不明』でもその手腕はいかんなく発揮されていました。

松居監督作は、女子高生たちによるロードムービー『私たちのハァハァ』、ツイキャスによる映像配信が重要なモチーフになる『ワンダフルワールドエンド』、男子中学生が同級生の女の子の毛を剃ってあげようと奮闘する『スイートプールサイド』などなど、設定が奇抜である反面、登場人物たちの会話が“自然”で、なおかつ彼らの“青春”を大切に描いていることが特徴になっています。

『アズミ・ハルコは行方不明』で描かれる青春は、地方都市に暮らす若者たちの屈折した日常や犯罪行為なのですが、それでも“愛おしい”と思えるのは、監督のこだわりのある画作り、俳優への演技指導の賜物でしょう。

本作では、プロジェクションマッピングを利用したり、ビビッドで“粗い”画があえて多用されています。その演出も、若者ならではの“すぐに過ぎ去ってしまう青春のきらめき”を表しているかのようでした。

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(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

5:原作からの変更により、映画でしかありえない傑作になった!

映画『アズミ・ハルコは行方不明』は、時系列を入れ替えた構成になっていること以外は、基本的に原作小説に忠実な内容になっています。

しかし、4箇所だけ、小説と映画で徹底的に異なっているところもありました。この変更は大正解でしょう。これによりフェミニズムに溢れるメッセージがより濃くなり、クライマックスのとてつもないカタルシスが生まれているのですから。

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(C)2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会

まとめ:上映後に拍手が起こった映画だった!

ここまで書いてきたとおり、本作は“ムカつく登場人物ばかり出てくる”“時系列を入れ替えた構成に戸惑う”など、好き嫌いの分かれる要素のある作品です。繰り返される犯罪行為や性的な話題のためにPG12指定されていますし、決してすべての人が絶賛する映画ではないでしょう。

それでも、筆者は本作を2016年の最後に現れた、とびっきりの傑作邦画として本作をおすすめします。これらの好き嫌いの分かれる要素はすべて作品に必要なものでしたし、終盤は“こんなの初めて!”と思うほどの高揚感、そして感動があったのですから。

試写会では、場内が明るくなった時に、自然に観客からの拍手が起きていました。2016年の映画では『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、『貞子vs伽椰子』、『君の名は。』、『この世界の片隅に』などで上映後の拍手があったのですが、この『アズミ・ハルコは行方不明』もその“拍手が送られる映画”の1つになるのではないでしょうか。

ハマらなかったら仕方がない、ハマったら最高の映画になる、という気持ちで、劇場に足を運んでみてください。もしかすると、あなたの2016年のベスト映画を塗り替えることになるかもしれないのですから。少なくとも、蒼井優と高畑充希のファンは絶対に観てください!

(文:ヒナタカ)

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