『ブルックリン』はまるで実写版『ズートピア』のようだった

ブルックリン

(C)2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

7月1日(金)より映画『ブルックリン』が公開されています。

本作は88回アカデミー賞にて作品賞、主演女優賞、脚色賞の主要3部門にノミネートされ、批評サイトのRotten Tomatoesでは98%の支持と、高い評価を得ている人間ドラマです。

第二次世界大戦後の1950年代に、ニューヨークのブルックリンに移り住んだ女性が成長していく、という物語なのですが……これがもう“実写版『ズートピア』”と呼んでもいいほどの内容だったのです。

以下に現在公開中のアニメ映画『ズートピア』と照らし合せながら、その魅力を紹介します。

1.女性が新しい場所で生きていこうとする物語だった

『ズートピア』では、警察官となったウサギの主人公が、都会(動物たちの楽園・ズートピア)でさまざまな動物たちに出会い、やがてさらに大きな問題に立ち向かうという物語が紡がれていました。

『ブルックリン』では、故郷のアイルランドからブルックリンに来た女性が高級デパートで働き始めるものの、勉強、人間関係、男性との出会い、そしてホームシックなど、さまざまな出来事に翻弄される姿が細やかに描かれています。
これは“初めて親元から離れ、都会に出てきた女性”であれば、誰もが当てはまる、普遍的な悩みや成長なのです。

新しい世界を知ることは、多くの戸惑いや苦労を生むというもの。しかし、それこそが自身の成長につながっていく……この点ににおいて、『ズートピア』と『ブルックリン』は似た精神性を持っています。

ブルックリン

(C)2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

2.出会った男性の中身がイケメンだった

『ズートピア』では、皮肉屋な詐欺師のキツネが登場しますが、彼の本質がとってもイケメンであることが描かれていました。

『ブルックリン』では、イタリア系移民の家系に生まれた男性との出会いが描かれています。イタリア人の気質といえば、話好き、ナンパで、ちょっとルーズなイメージもありますよね。
しかし、この男性は“イタリア人だから”という偏見を持ってしまったことが申し訳なくなるくらい、紳士的で、かわいらしくて、そして中身を含めてイケメンなのです。

この男性は、夜まで簿記の勉強をしている主人公を待ち続けるという純情っぷりを見せつけるうえ、家まで送ろうとするときのセリフが超・超・超かわいくてキュンキュンしまくれるのです! やだ!これ恋かもしれない!(この記事を書いているのは男です)

彼を演じているエモリー・コーエンは現在26歳と若く、つぎなるレオナルド・ディカプリオとも呼ばれる注目株。中身も見た目もイケメンな青年に惚れたい方は、もう必見です。

また、その後に主人公と、このイケメンが“相性抜群”であることもわかるんです。主人公は謙虚そうに見えて意外と自己主張も強めなので、優しく包容力があるこのイケメンとは、超お似合いなんですね。

そういえば、『ズートピア』でも、正反対の性格に思えるふたりが、じつは相性抜群であることを示すシーンがたっぷり出てきました。こういう「もうお前ら結婚しちゃえよ」というカップルが好きな方は、是が非でも観ることをおすすめします。

ブルックリン1

(C)2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

3.重大な決断をする物語だった

『ズートピア』の終盤では(ネタバレになるから詳しくは書けませんが)主人公の信じていた価値観が崩れ去ってしまう出来事が起きます。この後の主人公の決断は、悲しくも、とても納得できるものでした。

『ブルックリン』では、主人公は新天地であるブルックリンで努力を重ねてきたものの、ある出来事をきっかけにして、そのままブルックリンにいるか、それとも故郷のアイルランドに戻るかという選択を迫られます。

・ブルックリンでは、厳しい生活を強いられるものの、将来性のある男性と恋仲になることができた。
・アイルランドに戻ったときは、家族や友だちのやさしさに触れ、運命的な再会もすることもできた。

このどちらの土地で生きるかを、主人公は決めなければいけないのです。

最後の彼女の決断は、納得できるものかもしれないし、そうではないのかもしれません(ここは『ズートピア』と違うかもしれませんね)。
しかし、そこに至るまでに多くの疑問やその答えが投げかけられているため、その決断は、多くの人に痛切に響くでしょう。

本作のプロデューサーは、この物語を“多くの選択肢が制限されていた時代に、ひとりの女性が本当の気持ちを見つけ、選択する能力を手にするストーリー”であると結論づけています。

人生において、選択は何よりも重要であり、何よりも頭を悩ませるものです。この点においても、本作は普遍的なメッセージ性を持っていると言えます。

ブルックリン シアーシャ・ローナン

(C)2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

まとめ 『ズートピア』が好きな人にこそおすすめしたい!

『ズートピア』は、いまの社会にも根付く差別や偏見を描ききり、何かをチャレンジする人たちにエールを送っている作品でした。

『ブルックリン』には、ほんの少しの差別意識、住む場所や職場での価値観に翻弄される描写があり、根底でやはり『ズートピア』と似た精神性を感じられるのです。
(実際に、当時のアイルランド系の移民は差別の対象になり、不当な労働環境に置かれたこともよくあったのだそうです)

まったくジャンルの異なる作品ですが、ぜひ『ズートピア』が気に入った人に、この『ブルックリン』を観て欲しいです。
女性の成長物語に元気をもらえ、イケメンの魅力にキュンキュンして、なおかつ大切なことを学べる作品なのですから。

もちろん、『ズートピア』を知らなくても、親しみやすい人間ドラマとしても存分におすすめできます。

ブルックリン3

(C)2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

おまけ はじめは最悪の旅路だった!

『ズートピア』では、主人公が初めて都会(ズートピア)に来たとき、その場所はとても魅力的に描かれていました。

しかし、『ブルックリン』ではまったく違って、その旅路は最低最悪です。船は激しく揺れて主人公はバケツに吐いてしまうし、トイレが別の女性に占領されたために我慢しなくてはならないし、食事はまずいどころか腐っていて食中毒にかかってしまうというありさま。その後の主人公のさらなる苦労を暗示しているかのようです。

しかし、主人公は同じ部屋になった、気の良い女性に生活のアドバイスをもらい、不安を和らげることもできています。
これはいかに劣悪な環境にあっても、良き人との出会いは何よりもかけがえのないものであるというメッセージなのかも。その後も、誰かとの出会いがあってこそ、主人公はどんどん成長していくのですから。

これから何か新しいことを始める方も、ぜひ『ブルックリン』を観てみてください。人生に不安なことはたくさんあるけれど、それ以上の“期待”もある。それを感じさせてくれるはずです。

(文:ヒナタカ

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    ヒナタカ

    ヒナタカ

    ヒナタカ 映画ブログ「カゲヒナタのレビュー」運営中。All Aboutでも映画ガイドとして執筆中。映画に対しては毒舌コメントをしながら愛することをモットーとしています。

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