常盤貴子は今が一番セクシー。『だれかの木琴』を見て改めて思った。

だれかの木琴

(C)2016『だれかの木琴』製作委員会

インディペンデント映画は、俳優の力が大きく作用する。

先輩 このところ日本のインディペンデント映画に注目すべき作品が見られるようになったので、今回から3本ほどビックアップしてみようと思う。

後輩 「シン・ゴジラ」を3回続けてやったのとは、えらい違いですね。

先輩 まあな(笑)。で、その一発目は9月10日から公開される「だれかの木琴」なんだけど・・。

後輩 その前に、インディペンデント映画というジャンルについて、もう少し説明してもらえませんか?

先輩 うむ。例えば「シン・ゴジラ」のように映画会社が製作費をたんまりかけて作り、全国400スクリーン以上で一斉公開。しかもそのほとんどがシネコン・・という展開とは違い、インディペンデント映画の場合、それほど予算をかけずに作られ、公開もミニシアターで都内1館か数館レベル。全国一斉公開ではなく、東京に続いて少しずつ地方の映画館で上映されていくといったケースが多い。ただし低予算であるが故に、主体となるのは監督で、彼らの作家性が強く出ることが多いね。

後輩 大きな製作費をかける映画の場合、中心になるのは誰なんですか?

先輩 その場合はプロデューサーだね。今だったら製作委員会もそうだけど。

後輩 そのインディペンデント映画の場合、作風というか作品内容には、どういう特徴があるんですか?

先輩 やはり製作費が少ない分、大きなセットも組めないしVFXやCGも使えない。そうなると、出演する俳優の演技力が大きな鍵になってくる。俳優たちにとってみれば、自分たちの腕の見せ所なわけだ。

後輩 なるほど。

先輩 で、今回扱う4本が、揃いも揃って俳優さん、特に女優が良い。

後輩 それって、どー見ても先輩の好みなんですけど。

先輩 もちろんだ(笑)。そういうことも含めて、日本のインディペンデント映画に注目してみようという企画だよ。

だれかの木琴

(C)2016『だれかの木琴』製作委員会

女優を撮らせたらこの監督!!

先輩 というわけで、「だれかの木琴」の話に入るわけだが、この映画の監督が東陽一。「もう頰づえはつかない」を撮り、その後「四季・奈津子」「マノン」「化身」「ザ・レイプ」など、女優を美しく撮ることには定評のある監督だ。

後輩 その東監督と、常盤貴子というカップリングは、やはり凄い顔合わせなんですか?

先輩 常盤貴子って20代の頃、ずっと連続ドラマに主演していて、彼女のラブストーリーが1年中オンエアされていた印象が強いほどなんだよ。その彼女も結婚し、40代を迎えた。以前ほどたくさんのドラマや映画に出演せず、自分が納得のいくものだけを選んで出ているらしいね。

後輩 「だれかの木琴」を一言で言うと、ちょっとストーカーっぽい主婦の話ですね。

先輩 まあストーカーというほどではないけれど、たまたま入った美容院でイケメンの美容師がついてくれて、その後営業メールを送ってきた彼に、いきなりベッドの写真を送るなど、大胆な行動に出る。ついには彼の自宅を探してチャイムを押してしまう。つまり、主婦としての生活で、ぽっかりと心に穴が開いていたんだな。それを埋める対象を探していたところ、池松壮亮演じる美容師と出会い、惹かれていくというお話だ。

だれかの木琴 常盤貴子

(C)2016『だれかの木琴』製作委員会

女性が髪の毛を触らせるのは、特別な異性。

後輩 主婦と男性美容師というところが鍵ですね。女性って、髪の毛を触らせる異性を選ぶじゃないですか。

先輩 ああ、それはよく言うね。嫌いな人には触って欲しくないというか、いい男に髪を触られるとうっとりするとか。

後輩 一種の性感帯なんでしょうかね(笑)?

先輩 そうかもしれないな。だからイケメン美容師は固定客が多いんだな。この映画の常盤貴子も、髪をセットさせている時、恍惚とした表情をするんだよ。

後輩 きっとダンナさん以外の異性に髪を触られるのは、久しぶりなんでしょうね。

先輩 演じる常盤貴子が、40代になってほどよく力が抜けたというか、20代の頃みたいに元気で明るい女性役じゃないところがいい。退屈な毎日に疲れた主婦。

だれかの木琴 追加

(C)2016『だれかの木琴』製作委員会

40代を迎えた常盤貴子が醸し出す、危険な色気。

後輩 昨年でしたっけ。常盤貴子が主演作の舞台挨拶をした時、「実は先日、『野火』という素晴らしい映画を見まして・・」と、自分の映画でもない作品の感想を舞台から延々と話しているのを見て、なんて自由な人だと思いました(笑)。

先輩 そんな40代の常盤貴子が、孤独な気持ちを秘めた主婦を演じる。この映画を見て改めて感じたのは、常盤貴子は今が一番セクシーだということ。

後輩 セクシーって、つまり色っぽいという意味ですか?

先輩 もうちょっとでこの人、たがが外れてしまう。ダンナや子供、生活を捨てて、男の元に走ってしまうかもしれないという、そんな危険な色気が、この映画の常盤貴子からは感じられたりする。

後輩 映画を見る観客としては、そこにハラハラしたり、もしかすると、自分が口説けば落とせるかもしれないと希望を抱いたり(笑)。

先輩 一種の疑似恋愛感覚だよな。そういう気持ちって、男は女優に、女性は男優に抱きがちだし、そんな気持ちにさせるのが俳優の魅力なんだな。そうすると今の常盤貴子は無敵ってわけだ(笑)。

後輩 この映画、女性が見てどう思うでしょうかね?憧れるでしょか?それとも嫌悪感を抱くでしょうか?

先輩 どうだろう。東陽一監督は常盤貴子に「役作りをしないで現場に来て欲しい」と言ったそうだから、この映画での彼女は、プライベートの彼女そのものかもしれない。

後輩 ・・ということは・・・色々と妄想しちゃいますね(笑)。

先輩 この映画の宣伝なんかで時々TVに出ているけど、トークも出来る女優さんなので、自分のブライベートなこともネタにして、あっけらかんとした話術で、周囲を楽しませるあたり、現在は仕事もプライベートも、とても充実しているんだろうね。

後輩 女優ってどこまでも演じるんですねえ。

先輩 まさに魔物だね。君も気をつけろよ。といっても、女優と知り合う縁もないだろうけど(笑)。

(文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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